現パロデュラホです。2人が幼馴染のご近所さんで多分高校生くらい。遅刻のクリスマスネタ。ホちゃん視点でややHoM設定もあり。妹のサンタさんをやらなきゃいけないデュくんをからかうホちゃん。イチャついてるだけです。
ウェンディちゃんは都合により6歳くらいの感じです。
サンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるなんて、信じていたことはなかった。サツバツとした家庭環境だったとかいうわけじゃなくて、単にオレの親にやる気がなかっただけだと思う。だからって、まだ小さい妹の、可愛らしい夢を守ろうとしている彼を茶化すような野暮はしない。オレだってあの子が生まれたときから知ってるし、妹同然に可愛がってきたんだから。
オレと彼はそういう付き合いのご近所さんで、呼び習わすなら幼馴染。しかもまあまあ距離が近いやつで、お互い初めて下の毛が生えた時期まで知られている腐れ縁だ。でも今は、具体的に言うとここ二年くらいは、それだけじゃない。こんな日にちっとも相手をされなかったら、文句を言ったり拗ねてみせたり、浮気を疑ったりしてもいいような仲なんだけど。今夜、可愛い妹の可愛い夢を壊さずにプレゼントを届けるにはどうするか、大真面目に考え込んでいるにわかサンタクロースを見ていると、やっぱり笑えてくる。
「大体さ、キミはサンタの何知ってんのよ」
思い出すとまた笑える。デュランは口をへの字に曲げてこっちを見下ろした。小学生の頃からずーっと同じやつを使ってる、学習机の椅子がぎしっと軋む。机の上に広がっているのは、デュランのお母さんのお姉さん、つまり伯母さんから支給されたという真っ赤な衣装。もちろんサンタさんが着る例のあの感じの服だ。
「じゃあお前、あの状況でどうしろってんだよ」
「なんか適当に話題変えるなりなんなりできるだろ」
「最近アイツそういうの通用しねぇんだよ」
「それはキミが下手くそなだけでしょ」
彼はむうっと黙りこむ。さっきの彼ら兄妹の様子を思い出せば、そろそろ妹を口先だけで丸め込むのが難しくなってきて、いろいろ考えた挙句に彼が自爆しているのではないかというのは簡単に想像がつく。
今日この家に上がり込んだとき、リビングにいた兄妹は何やら暗いムードだった。いつも元気な彼女らしくないと妹のほう、ウェンディに訳を尋ねると、一生懸命話してくれた。サンタさんは前にも来てくれたけど、自分のところには来なかったという子もいる。なんで来てくれる子と来てくれない子がいるのか。悪い子のところには来ないというけど、来たっていう子の中にだって嫌な子はいるし、来なかったっていうあの子はそんなに悪い子じゃないと思う。とすると、もともと全部の家には来ないんじゃないか。今年は私の家にも来ないんじゃないか。だって、煙突がないから。結論がちょっと飛躍したけど、なかなか筋の通った言い分で感心した。そんなガチの煙突がついてる家の方がここらへんでは珍しいんじゃないかなぁなんて言いつつウェンディを宥めようとしていたら、そこまでただ聞いているだけだったデュランがやたらはっきり言い放った。
「どっからでも入ってこれんじゃねぇか。煙突がねぇくらいでごちゃごちゃ言いやがるようなケツの穴の小せぇジジイじゃねぇだろ」
子供に夢を与えるおじいさんに向けるにしてはちょっとあんまりな言葉だろう。オレとウェンディは一瞬ぽかんとして、気を取りなおすのは彼女の方が早かった。目をキラキラさせながら宣う。じゃあ今日は捕まえられるかな。なにそれ物騒。そうツッコむ間もなく、彼女はリビングを走り出ていく。お母さーんと呼ぶ高い声。苦虫を噛み潰したような顔のデュランに手招かれて、オレ達も彼の自室に向かった。託された衣装を引っ張り出してきて彼が言うには、妹は去年からサンタクロースの確保を試みていて、プレゼントをセッティングするのが難しくなっている。今年は急にサンタの来訪自体を疑いだしたので、来てくれるだけですごくラッキーなんだみたいな結論に導いてサンタさんに会いたい熱を鎮火したかった。でも、あんまりしょんぼりしているのでついつい励ましてしまったと。
「アイツ、去年は罠しかけてやがったんだぞ。部屋のドアに糸つけて、開けたら鈴が鳴るみたいなやつ」
「忍者屋敷かよ」
「今年は監視カメラもしかけるとか言ってるけど、家はそういうの無いから母さんのスマホ借りようとしてる」
「貸す? そんな理由で」
「……多分貸すな」
仕方ない、年が離れて生まれた末っ子、しかも待望の女の子なウェンディを、彼らは一家をあげて甘やかしている。まんまと借り受けたスマホをどこに潜ませたか、彼女は当然誰にも言わないだろう。あの、優しさの権化みたいなお母さんが、「見ないでね」と頼むだろう娘がすることを盗み見てまで息子に隠し場所をリークしてくれる可能性も低い。ということは、今夜の彼の任務は家のどこかに仕掛けられているスマホを探し出すことから始まるわけだ。
「親父さんはしょうがないにしてもさぁ、キミの単独犯になるの? こういうの普通親がやるんでない?」
彼の父親は長らく単身赴任中で、今年の帰省もイブには間に合わなかったそうだ。味方は母親と伯母、と思いきや、デュランの微妙な顔を見ているとそうでもないらしい。
「……母さんはあんな感じだし、お前がどうにかしろとさ」
「ステラさんが」
「父さんも」
「そりゃ大変」
肩をすくめてやると、デュランは鼻の頭に皺を寄せて睨んできた。そんな顔されたって何も出ない、なんせオレは部外者だし。見ている分には面白いけど。
「お前んちは無かったな、こういうの」
「あー、うち? クリスマスとかやらなかったからなぁそもそも」
「なんで」
「親父が、うちはクリスチャンじゃありませんの一点張りさ」
「うちだってちげーよ」
「きょうだいも年近いのばっかだしねぇ」
そうだな、と淡々と受け流す彼は、付き合いも長いからほとんど気にしていないけど、うちはちょっとばかり複雑な家庭というやつだ。親父と言ったのは実は祖父で、若くして身籠った娘が生んだ子を、自分の子として引き受けた。その子がオレだ。兄と妹がいるけど、家系図を書けば彼らはオレの叔父叔母にあたり、オレの母親とは腹違いのきょうだい──って情報が多すぎる。でも、まあ家族ってことでいいんじゃないかという、ある意味ゆるい認識で繋がって、それなりにうまくやっている。あくまでオレたち三人の姉として振る舞う母親とも、今では彼女の夫になった、オレの父親と思しき男とも。
クリスマスってなんだかんだ言っても家族のイベントだよなぁ。そう思うとなんだか体の芯がひやっとするような感じだ。今一緒に住んでる親父と兄貴と妹は家族で間違いないけれど、オレを産んだ人達は、オレをやんわり否定しているとも言えるわけだ。そんなことないってわかっちゃいても、ちょっとは寂しい。のかもしれない。
デュランは、真っ赤な三角形の帽子を手元でいじくっている。さっき試しに被ってみたらしいが、チクチクして痛かったとかなんとかぶつくさ言っていた。オレは手持ち無沙汰にスマホを取り出して、画面を遷移させる。サンタクロース。なんとなく検索をかけてみる。
「へー、サンタさんが今どこにいるかだってさ」
「それ毎年やってるよな」
「あ、知ってる? 公認サンタクロースだって」
「なんだそれ」
椅子から降りてきたデュランが、一緒にスマホを覗き込む。
「試験とかあるらしいよ」
「条件厳しくねーか。体重百二十キロって」
「その上でめっちゃ走って、はしご登って煙突から家ん中入るんだって。ねぇキミこれやってみなよ。ウェンディに頼んで枕元に牛乳とクッキー置いてもらってさ。オレ下で待ってて時間計るよ」
「だから煙突はねーんだわ」
「窓からとか」
「ウェンディの部屋の窓の鍵を夜開けとくとか、父さんにバレたら殺される」
「あー、わかるー」
声を出して笑ったら、デュランの吐息の音がすぐそばで聞こえた。近い。多分彼もそう思ったのだろう、床に座ったままわずかに後ずさる。せっかくいい感じの距離なのに、キスなんか何度もしてるし、それ以上のことだって、まだ片手で数えられるくらいだけどしてるのに。引っ込もうとした手に、指先で触れた。指を絡ませるみたいにして、彼の手を握る。
「ねぇ、……サンタさんをがんばってるお兄ちゃんもいいんだけどさぁ。そろそろオレの彼氏も返してくんない?」
わざとらしく上目遣いで、笑ってみせる。こういうわかりやすい誘い方とか、〝オレの〟呼ばわりされることとか、彼は意外と好きなのだ。慌てて固めた仏頂面の中、オレを真っ直ぐ見つめる目の色はごまかせない。キスしたいとか触りたいとか、そういうのを我慢しているのがぐいぐい伝わってくる。
「サンタさんが終わったらでいいからさ、ね?」
「っつってもなぁ……今日はできねーぞ」
さいごまで。低めた声が背筋をくすぐって、腰にくる。彼の腕から肩に手を這わせて、するりと首に腕を回した。
「おい、」
「いいじゃん、できなくても。キスしたい。触って?」
「今はしねーぞ、後で、」
「やだ、今。デュランがエッチな声出すから我慢できなくなった」
「なんだそりゃ……」
体重をかけたら、あっさり彼は倒されてくれた。親がかりの身の悲しいところで、家族がいる家でことに及ぶのは心情的な意味でもほぼ不可能だけど、キスしたり擦りあったり口でしたり、そのくらいだったらいくらでもしたい。
ちゅ、と音を立てながらキスをしたら、後ろ頭を抱えるみたいに捕まった。舌を引っこ抜くような勢いのキスが始まって、溺れる。すぐに硬くなり始めた股間のものを彼のおんなじところに擦り付けると、片手が滑り降りてオレの背中を抱いた。その力の強さに胸がぎゅうっとなる。独占欲が思う存分満たされる。
ごめんね、お兄ちゃんとか息子さんとか甥っ子さんとか、この子はみんなのものだけど、今はオレのなんです。
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