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りっつぁ
2021-07-02 03:41:29
3228文字
Public
ルガケヴィ
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ピンクモンスター
現パロルガケヴィ
1回ヤっちゃったら爆発的に色気付いてあんぽんたんなやり方でルガーを誘おうとするケヴィンくんの話
アホみたいなノリです。
遠目に見ても、悔しいけどかっこいい。
ガタイはいいし背も高いし、目つきは悪いけど顔もそれなりにかっこいい、と思う。人の行き交う駅前、機嫌の悪い大型犬みたいな雰囲気だけど、あれはあれで人待ち顔なのだ、多分。
ケヴィンは、律儀に待ち合わせ場所に立つ恋人をじっと見つめた。相手からはわからないくらい距離をとって、陰からこっそり。傍から見れば不審極まりないだろうが、気にしていられない。だって、今日という今日は勝負の日だ。絶対絶対、タダでは帰してやらない。こうして見ているだけで、耳が熱くなって、体の、主に下の方も熱くなって、うずうずぞわぞわして堪らない。またスマホを取り出したルガーは、時間を確かめたのだろう、苛立ちを隠しもせずギロリと一往復、周囲を見渡す。
もう少しなら、引っ張れるかもしれない。遅れるって連絡しなくてもいいギリギリのところ、最大限焦らして気を引きたい。身を隠した柱の陰に引っ込んで、ニヤつく口元を手で隠す。自分自身も焦らしているみたいで、少し楽しい。
世に言う初体験は、ケヴィンにとっては天変地異だった。あんなことをみんな経験しているなんて、信じられない。それくらい、気持ち良くて気持ちよくて幸せで、ものの見事にハマった。彼を受け入れたところはなんでもない時にでもむずむずしだすし、そういうときにぎゅっと力を入れてみるだけで気持ちいい。今までは溜まったモノを吐き出す作業でしかなかったオナニーだって、前と後ろを一緒にいじると頭が真っ白になるくらい気持ちいいと気づいてしまって、そっちもまるで歯止めがかからない。一日に何回してるか、なんていう男子お決まりの下ネタに加われないのは、ぶっちぎりの回数を申告して引かれたくないからだ。
なのに、二度目がない。キスまでは案外あっさり許したくせに、最後の一線を頑なに守り続けていたルガーが、なんであの日そんな気になったのかすらさっぱりわからない。ケヴィンは真っピンクに染まった脳みそで一生懸命考えて、あの手この手を行使してきた。
一緒に寝ているときにのしかかって迫ってみたら、鬱陶しそうに寝返りをうって振り落とされた。ならばとちょっとエッチな格好をしてみたら、シャツが皺になると怒られ服を着せられた(ご丁寧にパンツまで穿かされた)。彼シャツで裸ワイシャツは男の夢とか言ったやつ出てこい。風呂に乱入すればきちんと洗われ拭かれ乾かされ、思わせぶりに棒アイスを咥えたりしてみれば垂れるから早く食えと怒られ、ド直球に抱きついてみたらすげなく追い払われて。なにこれ本当に好かれてるの? ヤツの職場に押しかけて、犯されたとかもてあそばれたとか喚いて社会的に殺してやろうか。そう思わなくもないけれど、そんなことまで出来るはずがない。どうしたって好きなんだから。
指定した時間から、10分経過。気が短いあの男を待たせておくにはこれくらいが限度だろう。余裕ぶって歩いて行きたかったけど、一歩目から走り出していた。すぐにこっちに気づいたルガーが、人一人物理的に殺した後みたいな目で睨みつけてくる。まっすぐ見てくるこの目も好き。服が体に擦れる感触にすら、ゾクゾクする。
「遅い」
「ゴメン」
「連絡くらいしてこい」
大体なんで、こんなとこに呼び出した。会うといえばルガーの部屋に行くのがほとんどで、ケヴィンとしてもその方が都合がいいからその疑問ももっともだ。でも、たまにはいつもと違う方がドキドキするって何かで見たから。このワンステップが無駄かそうでもないかは、これからわかる。
ルガーの腕を肩から引き寄せて、思い切り背伸びをする。これが今日の隠し玉だ、くらえ。
「今、ぱんつ穿いてない」
だから、お前の部屋に連れてけ。耳に触れるくらい唇を寄せて、早口で吹き込んだ。
踵を地面に落として、挑むように見上げる。切長の三白眼を見開いて固まるルガーは、なにも言わない。
これでコンビニでパンツ買われたら別れる。でなけりゃ問答無用で襲いかかってやる。物騒な決意を固めて、鼻息も荒く見つめた。呆気に取られていたらしいルガーの目に意思が戻ってくる。と、盛大に舌打ちされた。
「お前は、
……
」
その後はなくて、もう一回舌打ち。ベロ、ちぎれるぞ。そんな軽口は黙殺されて、がっちり腕を掴まれた。
「ルガー、」
「来い」
ぐいぐい腕を引っ張られて歩き出す。けつまずくくらいの強引さで、これはもしかするともしかするかも?と胸を高鳴らせた。
けれど。
「
……
あの、オイラ、」
「なんだ」
「
……
なんでもない
……
」
何かまずいことでもしでかしたか。今聞くのはさすがにまずい。鈍い勘が働いて、言葉を引っ込める。
ベッドにぽいっと放り投げられて、両方の手首を掴んでのしかかられて、なんて理想的なシチュエーション。でも空気が不穏。口元を引き攣らせるケヴィンを見下ろしながら、ルガーは冷静そのもののようにも見える。
ベッドと言っても、慣れた部屋のルガーの匂いがするベッドじゃなくて、やたらとシーツがパリッとしていて前後左右にバカでかい、ホテルのベッドだ。てっきり家に行くのかと思ったら、そういうことのためのホテルにずんずん連れ込まれて、意外と部屋の中はスッキリしてるなぁなんて思っているうちにこの状況。機嫌を伺うようにおずおず名前を呼んでみたら、ルガーが笑った。効果音をつけるとすれば“ニヤリ”とかそういう類の悪そうな笑み。これは、かなり怒っていそうだ。耳のすぐ横に顔を寄せられて、体が竦む。近くなった体温に体全部で反応してしまう。早く抱きしめてキスして、その先も。怒らせたとわかっていたって、真っピンクの頭は先走る。
「全くお前は、人の気も知らずにいい気なもんだな」
自分がしたことの意味も、わからないか。
口が開くほんの微かな水音、温い息。噛みつかれる前兆みたいな息遣いを聞きながら、昂っていく。この間開かれたばかりのソコがきゅうきゅう切なくて、体が芯から熱くなる。“濡れる”ってわかんないけど、こういうことかも。早く暴かれたくて仕方ない。
満足。腰と股と脚、それと、太くて硬くて熱くて大きいのをいっぱいに押し込まれたところ。体のそこかしこにものすごく違和感があるけど、満足。裸のままベッドに転がるケヴィンの隣に、ルガーがどすんと腰を下ろした。風呂上がりの匂いがする。大きな手で髪を撫でてくれるのが心地よい。お前も入ってこい、なんてまともなことを言われたから、一人じゃいけないと甘えた。そうしたら、「後で入れてやる」だって。たまには甘えてもみるもんだ。嬉しくてにまにましていたら、今度はルガーの方から爆弾が放り込まれた。
「お前の親の連絡先教えろ」
「
…………
なんで?」
「合法的にお前を手元に置くなら、それなりの筋を通すしかない」
こんな色気づいたガキ、野放しにしておいたら何をしでかすかわからん。
言われたことをゆっくりゆっくり噛み砕く。それって、つまり?
「スジって?」
「お前の年を考えろ。このまま黙ってる弊害の方がでかい」
「
……
父さんに、言うってこと?」
「そうなるだろうな」
放って寄越されたケヴィンのスマホがぱたんとベッドに落ちる。
これは、親に挨拶にいくってやつか。娘さん(息子だけど)をくださいってやつか。要するに、いわゆるプロポーズなのでは。すぐは無理だろうけど、ケッコンしたら毎日一緒でヤり放題? なにそれすごい。
瞬時に膨れ上がって破裂しかけた嬉しさは、けれどすぐ、穴が空いた風船みたいに萎んでどこかへ飛んでいった。だって、コレじゃない、こうじゃない、今じゃない。ケヴィンはがばりと起き上がる。
「ルガー! 今のやっぱりなし! やり直して!」
「は?」
コイツはまたバカなことを言い出した、とでも書いてあるような顔に、ふっかふかの枕を叩きつけてやった。
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