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梶木鮪
2024-03-26 00:45:13
1130文字
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夢と黄色と嫉妬心
ぽむぽむ殿に対抗心燃やしてるお豊
月山さんハッピーバースデー!!
気に食わない、と思う。
時計の針はもう夜中をさし、しっとりと静かな夜の気配が辺りを包む中、腕を組んだままむすりと考える。
齢三十にして大人気ないとは思うが、しかし嫌なものは嫌だ。
そうささくれた心のままに、愛おしい相手がその腕に抱えた黄色い綿畜生を睨んだ。
「
……
随分、そん黄ゆて丸っこい犬が気に入っちょっようじゃの」
「にゃむ」
少しだけちょっかいを出したくなって、ふかふかの布団でぐっすり眠る相手の頬をつんと突くと、へにゃっと柔らかく笑って寝言を溢した。
その、純粋な子供のような姿に癒されて、ふっとこちらも笑ってしまう。
……
が、如何せん相手にぎゅむぎゅむと抱えられている黄色い犬が気に入らない。
元々そこは俺の定位置じゃったんだぞ、と可愛らしい顔の犬をむんずと掴み上げようとして、眠っている相手が身じろぎをしたのでやめた。
少し前に、抱えていたのを無理に引き抜いてその辺に放っておいたら、翌日起きた瞬間に相手にカンカンに怒られたことがある。
その上、その日は一日口を聞いてもらえなかったので、勝手に動かさない方がいいだろう。
いくら気に入らない犬ころだとしても、相手が大事にしているものならば無碍にはできない。
できないが、それはそれ、これはこれだ。
「んー
……
とよひしゃ
……
」
「む」
そこを退けとぽんぽんぷりんだとかいうぬいぐるみを睨んでいると、相手がむにゃむにゃと自分の名前を呼んだ。
ぐりぐりとふわふわの黄色い布地に顔を押し付けて、何か楽しい夢でも見ているのか笑っている。
くふくふと微笑む相手に愛おしさが溢れて、少し乱れた髪をそっと指で梳かしてやり、そのまろい肌をすりすりと撫でてやった。
「むじょか」
すやすやと穏やかに寝ている相手を見ていると、何だか妙に心が暖かくなって、綿のこともだんだんどうでもよくなっていく。
布団の中での一番はこの犬かもしれないが、しかし彼女を抱いて眠りにつけるのは俺だけだ。
ろくに抱擁すら返せない物言わぬ綿畜生をふんと鼻で笑って、彼女が寝ている布団の中に潜り込んだ。
掛け布団を捲った際に、中に入り込んだ冷たい空気が嫌だったのか少し唸った彼女を背中からぎゅっと抱きしめて、その柔らかい髪に鼻っ面を埋めた。
相手の体温や鼓動が心地よく、すんと息を吸えば鼻腔を満たすほのかに甘い匂いがとろとろと意識を眠りへと誘う。
「明日は、お前の行こごちゃっ場所へ、どこでん連れっいってやっでな」
もう半分ほど夢の世界に浸かった意識のまま、彼女の頭を撫でる。
映画でも何でも、彼女が満足するまで付き合おう。
そう、うとうとと考えながら瞼を閉じた瞬間、眠っている相手の寝息がふと笑ったような気がした。
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