「セリア
……」
真夜中、ドルマヤンが眠るベッドの中でフレディは目を覚ます。
帥父がまた、女の名前を呼んでいる。
自身の隣を見ると、彼は背を向けて苦しそうに唸っていた。
女の名前を呼んで呻く彼の背をフレディは後ろから抱きしめる。
強張った身体がフレディにドルマヤンの苦しみを伝える。
ーー帥父。
抱き止めたまま、フレディは彼の頬に耳を当てて、じっと彼の声を聞き続ける。
セリアと呼ぶ声はだんだんと小さくなり、穏やかな寝息しか聞こえなくなった。
師父、貴方が毎夜苦しげに呼ぶその名は、貴方にとってどんな存在なのですか?
俺では彼女が開けた穴を埋められないのですか?
慕う思いを心の内に無理矢理押し込む、その痛みにフレディの目から一筋涙が流れる。
俺が貴方の心の中に居ない事は始めからわかって居たことだ。
それでも愛して居るのは俺自身のエゴ。
そして何より、俺自身が
俺を目に映さない、遥か向こうを思慮する貴方を好きになってしまったから。
フレディはドルマヤンの呼吸音を耳に感じながら目を閉じる。
師父。
俺が生きている限り、俺はセリアの代わりを演じましょう。
それが俺を見ない貴方を好きになってしまった、俺にできる愛だから。
朝日が昇る前、フレディは寝息を立てているドルマヤンからそっと離れ、部屋を出ていった。
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