今日は変な客が来た。
企業の兵士だ。
一応は身分を隠そうとボロのジャケットを羽織っているが、首元から見えるデバイスが明らかに綺麗で質が良い。
解放戦線の勢力圏内に、単身堂々とやってくる奴がいるとは思わなかった。
所詮はルビコンの端にある小さな町、大した武装も無いと思ったのだろうか。
その見当は当たっているので、仕方なく対応をする。
「親父さん、合格祈願のお守りってどれですか!?」
威勢のいい声で若者が私に尋ねる。
うちをお守り屋だと思っていたらしい。
「ウチは花屋だからお守りは無い。」
そう言うとあからさまに肩を落としてしまった。
なんでも、今度レッドガンとかいう部隊の正式パイロットになれるかどうかの試験があるらしい。
願掛けにどうしてもお守りが欲しかったと言うので、ガーベラ柄のブレスレットを渡してあげた。
ガーベラの花言葉は『希望』
そのことを伝えると無邪気にありがとうと喜んでくれた。
明日にはルビコニアンを殺す敵になるかもしれないが、今この瞬間だけは彼の夢を応援してあげようと思う。
追記
元気のいい若者を見ているとついつい優しくしてしまう。
恨むべき相手と思っていても実際の人間を見ると、相手も生きていると実感してしまう。
このことはあまり考えたくない。
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