千代里
2024-03-22 07:47:05
7586文字
Public 君ふれ短編
 

ケイとミィハの話・短編・1話

依頼を引き受けた話

 ここ最近、リムサ・ロミンサは全体的に浮かれた空気に包まれている。
 第七星暦の開始がうたわれ、帝国軍を追い返した英雄の話はあちらこちらでひっきりなしに語られている。グランドカンパニーへの入隊希望者も、現在は増加傾向にあると言う。
 近頃は、酒場で歌を披露する吟遊詩人の詩は、新たな英雄の話でもちきりだ。彼らは手を替え品を替え、時にグリダニアの森を守った英雄の慈悲を謳い、時にウルダハの大地を守った英雄の勇気を語る。
 あちらも商売と割り切っているのか、リムサ・ロミンサの中でも殊更有名な酒場兼冒険者ギルドの受付がある『溺れる海豚亭』では、英雄の姿を筋骨隆々のルガディン族として語ることが多い。時折、俊敏で抜け目ないミコッテ族の場合もあるが、どちらの英雄像も『力強く勇ましい』ことに変わりはない。海都で暮らすものたちは、総じて逞しい人物が多い。彼らが喜ぶ物語も、それに準じたものとなるのだろう。
 今日も今日とて、吟遊詩人はまるで見てきたかのように英雄と侵略者の戦いを吟じている。小芝居も混ざっていてなかなかの盛り上がりを見せているようだ。
 外はすでに空が赤く染まっており、早くもワインやエールで酔っ払った冒険者や仕事帰りの労働者が、やんやの喝采を浴びせている。
 そんな喧騒をよそに、ケイは一足先に注文した串焼きを齧りながら、冒険者ギルドの掲示板を眺めていた。
「俺も、もしかしたらあっち側で拍手してたのかもしれないなあ」
 そんなことを悠長に言えるのは、ケイが実際に英雄に会ったことがあるからだ。
 英雄として名高い彼女は、ケイと大して歳の変わらそうなミコッテ族の少女だった。とてもではないが、吟遊詩人が語るような屈強な英雄像とは程遠い。先日は一度手紙を送ってきていた。現在はモードゥナに滞在して、アラグ帝国時代の遺跡を調査しているらしい。新たに派遣されてきたシャーレアンのお偉いさんが、大層元気のいい方でおかげで飽きない日々を送っている、とのことだった。
 酒場を彩る歓声たちに片耳を向けながら、ケイは再び掲示板を眺める。ここには、ギルドから提示された冒険者向けの依頼が紙に書き出され、所狭しと貼り付けられている。受付に行って直に一覧を見せてもらう方が一度に見られるものの、ケイはこうして掲示板を眺めて依頼を見つけるのが好きだった。
 受付に行くと、どうしても後ろがつっかえていないか気になるし、細かい字でまとめられているため、少々見づらくもある。文字を読むのが苦手なケイとしては、これぐらい大きな文字で簡潔に内容が記されている方が好ましかった。
「次の依頼、どうしようかなあ。この近辺の依頼は、そろそろ他の新米冒険者に譲ってやれってミィハに言われたところだしなあ」
 その友人ことミィハは、今はケイのそばにはいない。彼はリムサ・ロミンサの自警団――イエロージャケットに薬を納品する必要があるからと、ケイと別れてコーラルタワーに向かっている。
 次の納品の打ち合わせが長引きそうだと連絡があったので、もう暫くはかかるだろう。その時に、魔道書の修繕も終わったのでそろそろ次の依頼を探しておいたらどうか、と言われたのだった。
「この依頼はいつもの街道の警備。こっちはリムサ・ロミンサの港で荷物の見張りと品出し。こっちは街を出てすぐのところにできた魔物の巣の掃討……
 やはり、冒険者ギルドがある主要な街であるからか、目につくところに貼られている依頼のほとんどは駆け出しの冒険者向けのものが多い。
 かの英雄が冒険者であるという噂も手伝って、現在冒険者になって一旗あげることは小さなブームになっているようだ。そんなひよっこたちが生きながらえるように、冒険者ギルドの担当者も頭を捻っているのだろう。
 しかし、ミィハに「そろそろ新人は卒業」と言われたケイとしては、いつまでも後輩の仕事を奪うわけにもいかない。かといって、実入のない仕事を選んだら、ミィハの居候として肩身の狭い思いをする。ミィハは気にしないでいいと言うが、ケイとしてはやはり多少気後れはしてしまうものだ。
(報酬が魅力的で、できれば新人じゃちょっと厳しい内容で……そういえば、ミィハはここ最近俺の魔道書を作るのに時間を割いてたよね。それなら、気分転換になるような少し遠方の場所にしたいな)
 たとえば、ラノシアではそれなりに有名な保養地――キャンプ・ブロンズレイク辺りまで足を伸ばすような依頼はないだろうか。目標を付け加えて、改めて貼り紙を隅から隅まで眺めていたケイは、とある貼り紙の上で視線を止めた。
「これなら……ちょうどいいかも?」
 依頼先はコスタ・デル・ソルに滞在している人物。地名に聞き馴染みはないが、あわせて記されている地図を見る限り、ケイたちが現在拠点としているリムサ・ロミンサを有するバイルブランド島の一つだ。
 内容は、依頼主が所持している物品の護衛。そして、肝心の報酬は――
「うわっ、すごい値段……。いったい誰が依頼を出したんだろう」
 思わずケイの尻尾がぴんと持ち上がるほどの桁を目にして、ケイは目を丸くする。かつて、商人の下働きをしていたときですら、こんな額は見たことがない。間違いなく、ただの冒険者に支払うには破格の値段だ。だが、依頼主の中には、ギルドに掲示している報酬はあくまで予定金額であり、実際に会うとその半分も支払ってくれない場合もある。
 そのような不届きものは、次から依頼そのものをギルドが受け付けなくなるのだが、冒険者を安値で使う方法として未だに根強く残ってもいる。
「実際に会ったら色々注文をつけられて、結局減額ってなっちゃうかもしれないな。でも、そうだとしても……これなら丁度いいかもしれない」
 場所は遠方のようなので、ミィハの気分転換にもなるだろう。あの友人は、ケイが率先して外に連れ出そうとしなければ、リムサ・ロミンサと家の往復だけで何十日も過ごしかねない。その上で、自分は十分出かけているなどと言い放つのだ。
 それも悪くないが、ケイとしては、もっと日常から外れた場所で彼と過ごしてみたいとも思っていたところだった。
 早速貼り紙を外して、小走りで受付に向かう。カウンターにいた案内員のほとんどは、他の冒険者と話しているようだったので、ケイは空いているもう一つの受付へと近寄った。
「すみません。この依頼って、まだ受けられますか」
 ケイが示した貼り紙を、まだ年若そうなミコッテ族の女性案内員が受け取る。彼女はざっと紙面を確認すると、一度首を傾げ、
「すみませーん、先輩。依頼番号〇五三の件って、まだ空いてましたっけ?」
「空いているも何も、それならたった今、こっちの冒険者さんが受け付けたところだよ。兄さん、悪いけどそういうことだから、今回は辞退してくれるかな」
 二つ隣のカウンターにいたエレゼン族の先輩案内員が、仕切りごしに顔を覗かせてケイへと頭を下げる。冒険者ギルドの依頼の多くが早い者勝ちだ。こういう衝突は往々にしてよくあることであり、その場合は受注者と直に交渉するか、後からやってきた側が辞退する場合がほとんどだった。
「あ、そうなんだ。じゃあ、仕方ないかな」
 そう言って、ケイが引き下がろうとしたときだった。
「待ってください。その声、もしかして……ケイさん、ですか?」
 すでにカウンターに背を向けかけていたケイは、聞き覚えのある銀鈴のごとき涼やかな声に足を止める。ケイが振り返った先、二つ隣のカウンターの前に立っていた見覚えのある二人組。彼らの顔を目にした瞬間、ケイは目を丸くした。
「ユキハネ! それにフェリキシーも! えっ、じゃあこの依頼を受けるのって――
「はい。私とお師様です。お師様、この依頼は人数不問とありましたし、せっかくですからケイさんも誘ってみてはどうでしょう」
 ユキハネが話しかけた先にいたのは、ケイにとってもお馴染みの灰肌のシェーダー族――フェリキシーだ。相変わらず相手を値踏みするような剣呑さを纏った目つきをしているものの、強面な見た目に反して彼が実は面倒見がいい人物であることをケイはよく知っている。
 とはいえ、いくらフェリキシーが面倒見のいい人物であろうと、彼が依頼に関してはシビアな面もあることをケイはよく知っている。ユキハネの意見に賛同して頷いてくれるかは。五分五分ではないか。ケイがそう考えたときだった。
「その話をすんなら、まずはあっちにいるお前の連れも交えろ。後から同じことを二度も説明すんのは面倒臭え」
 フェリキシーが親指で示した先、酒場の入り口前に立つ見慣れたアイスブルーの髪を目にして、ケイは自分の友人へと大きく手を振ってみせた。
 
 ***
 
 ラノシアの東部――ブラッドショアと呼ばれる地域を近年開拓してできたリゾート地。それが、コスタ・デル・ソルだ。ブラッドショアは開拓地として整備を進めていたそうだが、土地が貧しいために農地としては向かず、広大な土地をどうしたらよいかと持て余していたらしい。
 その地をウルダハの商人が買い取り、一転して観光地として整備。コバルトブルーの美しい海は海水浴場へと方針を転換して、見事に生まれ変わった。民間人へと解放したことにより、今では観光客が絶えず訪れる有名なリゾート地帯となったらしい。
 魔物を討伐するための傭兵も常に雇われており、安全面にも配慮。おかげで、近頃は魔物自体が寄り付かなくなっているようだ。その結果、近隣施設の宿泊費は決して安くないにもかかわらず、客入りは上々。貧しい開拓地を観光地に切り替えるように舵取りをした商会主は、優雅に自身の開発したリゾートを楽しんでいるとの話だった。
 そんなリゾート地が、此度の依頼の集合場所である。
 そのように説明してから、ミィハはケイが渡した依頼に改めて目をやり、額に小さく皺を寄せなて内容の確認をしていた。
 ケイはミィハと合流してすぐに、酒場の一角に腰を下ろして、早速フェリキシーたちに同道の交渉を始めていた。
 とはいえ、今更己の腕前を売り込む必要がないほど、互いを知り尽くした仲だ。話の論点が、目の前の依頼をケイたちも受けるかどうか、という方向にずれていくのは当然の流れだった。
「報酬は……少なくとも一ヶ月は依頼を受けずに遊んで暮らせる額だな。確かに、通常の依頼に比べれば破格の額だが、そもそも依頼主は誰なんだ?」
 先んじて正式に依頼を受けたフェリキシーに対して、ミィハは至極もっともな疑問を口にする。だが、フェリキシーは唇を曲げると、
「依頼を受けるかどうかも分からねえ奴らに、誰が依頼主かなんざ言えるわけねえだろ」
 フェリキシーの応対はもっともだ。依頼主も秘匿事項の一つであるならば、彼は契約に準じて口を閉ざすしかない。
「確かに君の言う通りでもあるな。だが、推察は不可能ではない。コスタ・デル・ソルに来るようにわざわざ指定した上で、宿泊費は依頼主が持つと言っている。そうなると、恐らくはリゾート地に遊びにきた観光客だろうか。オフシーズンとはいえ、僕らの宿泊代だって安くないはずだ。それなら、富豪か豪商の可能性もあるな。そういうことなら、この法外な報酬も納得だ」
 ミィハはフェリキシーの顔色を窺いつつ、自分の予測を並べ立てる。とはいえ、分かりやすい変化を見せるほどフェリキシーも愚かではない。どれが正解かなどとわからぬように、軽く瞑目して沈黙を守るだけだった。
「報酬の額もすごいけどさ。ここってリゾート地なんでしょ? 俺、この場所行ったことないし、できるなら依頼が終わった後にちょっと遊んでみても……いいかなって。そういうの、ミィハはだめかな?」
 わかりやすいケイからの遊びの誘いに、ミィハは強張っていた表情を緩める。依頼が終わった後にどう過ごそうが、依頼主に文句を言われる筋合いはない。自分の無二の友人に一度頷き返してから、
「依頼内容は、荷物の護衛とあるな。フェリキシー、君は具体的に何を護衛するか知ってるのか」
「いちいち教えてやるか……って言いてえところだが、そいつは俺も聞かされてねえ。ただ、こんな報酬をポンと出すやつだ。金じゃ買えないようなもんを守れって言われる可能性の方が高いだろ」
「もし守り切れなかった時、君はどう言い逃れするつもりなんだ?」
 失敗の話を先んじて出すミィハに、ケイは小さく瞠目する。ケイにとって。このような荷物の護衛はありふれた依頼の一つであり、その中に失敗するという選択肢は今までほとんどなかったからだ。無論、失敗すれば損害を弁償したり報酬から差し引かれたりするが、せいぜい潰れた農産物の分を数点差し引く程度のものだ。金では買えないものの護衛と聞いて、自然とケイの表情が引き締まる。
「依頼が失敗の場合については、向こうも契約の一つとして呑んでいる。護衛が達成できなかったら、報酬の半額を支払う。あとは実際に出会った後にゴタゴタ言ってこなけりゃ、悪くねえ話だろ」
……フェリキシー」
「んだよ、まじめ腐った顔をして」
 妙に深刻な顔を見せるミィハに、フェリキシーが珍しく面食らった表情を浮かべる。
「君、もしかして……明日の食事に困るほど金に困っているわけじゃ……
「んなわけねえだろうが! 一発ぶん殴るぞ!」
「わあ、フェリキシー、待って待って! ミィハ、今障壁張ってるから殴ったらフェリキシーの手が痛くなるよ!」
「ケイさん、指摘する場所はそこでいいんでしょうか……
 慌ててフェリキシーを抑えるケイと、冷静に突っ込みを交えるユキハネ。そんな一行を見て、再びミィハが真顔で言う。
「悪い。ただの冗談だ」
「てめえの顔じゃ、冗談も冗談に聞こえねえんだよ!」
 ミィハはにこりともしていなかったので、フェリキシーが青筋を立てながら指摘するのもある種当然と言えた。彼の冗句は、全くもって分かりづらい。
「えっと、それで話を戻すけど。ミィハ、この依頼を受けるっていうのはどうかな」
「僕は受けても構わないと思う。ただ、報酬は人数で割ることになるが、フェリキシーはそれでいいのか?」
「四分割した上での二人分でも十分な量ですから。それに、お師様も面倒な仕事になりそうだから、勝手を知ってる知り合いに声をかけるつもりだと言っていました」
 答えたのはフェリキシーではなく、彼のそばで成り行きを見守っていたユキハネだった。
 彼女の補足を聞き、ケイたちは揃って素直ではないシェーダーの男を見やる。ユキハネの話が本当なら、フェリキシーがケイたちを誘いにきた可能性もあったわけだ。それでいて、無理強いせずにこちらの選択を待っていたと考えるのは甘すぎるだろうか。
 だが、ケイたちの予想を裏付けるような行動を彼がしてくれるわけもない。今も、フェリキシーはケイが注文した茶を、明後日の方向を向きながら飲んでいるだけだった。
 形はどうあれ、彼はケイたちを誘うつもりはあったようだ。それなら、断る理由もない。
「よし、それなら決まり! 俺たちもこの護衛の依頼を引き受けるよ」
「では、改めてよろしくお願いしますね。お二人がいるなら私も心強いです」
「俺のほうこそ、二人がいたらすっごく頼もしいよ! じゃあ、俺、追加要員について受付の人に話してくる!」
 フェリキシーが押し付けるように渡してきた、共同参加を許可する旨を記した用紙を受け取り、ケイは受付へと駆け出した。その背中には、すでに見知らぬリゾート地への期待がこれでもかと詰め込まれている。この分なら、装備の準備よりも先にリゾート地への宿泊準備を始めかねない。
 はしゃぐケイの背中を見送りつつ、ミィハは不貞腐れた様子を頑として崩さないフェリキシーを見やる。
「この荷物の護衛依頼、本当に『ただの荷物』の護衛なのか?」
「さあな。依頼主はウルダハの商人だそうだ。金持ちの酔狂なんざ、俺にはわからねえよ」
 先ほどまで伏せていた依頼人の情報を、フェリキシーはあっさりと披露する。正式に依頼を受けるとなれば、隠す意味もないと判じたのだろう。
「こんな目に見えた厄介ごと、君なら避けると思っていたんだが」
「そういうてめえはどうなんだよ」
「僕も基本的な考えは君と同じだ。厄介ごとに巻き込まれない方が、賢い生き方だと知っている」
 そこで、ミィハは注文していた紅茶に口をつける。すでに湯気の消えたそれをじっくりと味わってから、彼は続ける。
「だが、厄介ごとがあった上で知らず存ぜぬを貫き通したとして。その後に、どんな被害があったかと知る方が、僕にとっては寝覚めが悪い」
 ちょうど、嘗てのミィハが中毒作用のある回復薬の調査に自ら首を突っ込んだように。それだけで動く理由になるのだと彼は言う。
「それに、僕ならその後悔すら見ないふりをできるかもしれないが、ケイは絶対にできない。それぐらいなら、僕は彼が悔いない選択をしたい。それだけだ」
……へっ、損な考え方だな」
「でも、君は僕が誘拐された時、慌てるばかりだったケイを助けてくれたんだろう? ケイから聞いたぞ」
 少々意地の悪い笑みを浮かべて、ミィハは先だっての事件でフェリキシーが手を貸してくれたことを指摘する。フェリキシーは唇をひん曲げて、ミィハから目を逸らした。
「お師様はこんな風に言っていますが、自分でやりたいと思ったことをやっているだけなのですよ」
「ユキハネ、余計なことを言うな」
 フェリキシーはいつもより強めにユキハネの背中を叩くも、あいにくユキハネは素知らぬ顔をしていた。どうやら、彼女も数ある修羅場を潜り抜けて成長してきたらしい。
「自分が決めたことに自分でケチつけてどうすんだって話だけだ。それに、実入りの良さに目ぇつけたってことには変わらねえよ」
 法外な報酬は、確かに目を引くものはある。だが、それは何事もなければの話だ。
 その高すぎる報酬は手練れの冒険者に『何かある』と二の足を踏ませるきっかけになっている。故に、フェリキシーが手を挙げるまで、依頼が放置されていたのだろう。
「何かあるのは間違いないだろう。最悪、僕はケイの無事だけを確保して身を引くことになるかもしれない。それでもいいか」
「こっちも似たようなもんだ。ウルダハの連中は、揃いも揃って腹の中に黒いもん買ってやがる。そいつらに全部付き合ってやるほど、お人好しになったつもりはねえよ」
 最初の依頼は依頼品の護衛のみ。それ以上の内容は引き受けない。
 そうして二人の間の結論が出た頃、ケイが依頼受諾の紙を持って机へと戻ってきた。