HAZURE_Mapo
2024-03-20 01:28:43
2294文字
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【SO3】あるアーリグリフ兵士の独り言

うろ覚えで書いたので、多々違う部分があるかと思います。断末魔を書きたかっただけの文章です。

 ここは惑星エリクール2号星と呼ばれているらしい。俺はそこに存在するアーリグリフ王国軍に所属する一兵士だ。つい数ヶ月前まで隣国シーハーツと領土戦争を行っていたのだが、その中で俺は血みどろになりつつ辛うじて生きながらえてきた。互いに疲弊の色が見えた頃に最大規模の合戦を敢行したが、その最中に突然見たこともない巨大な空飛ぶ物体が現れ、そこから発射された得体の知れない光線によって一瞬にして幾人が人の形も残さずなくなった。それを見た時はこの世の光景とは思えないほど残虐で悲惨だと思ったのも束の間、またしてもパッとその光線の発信源が消え去ったのだ。あれは夢幻を見ていたのだろうか。今だに信じられないが、その結果が戦争終結と両国の和睦である。痩せ細った大地が領土を占める我が国が緑豊かで肥沃な土地を求め起こした戦争だが、あの様な予想外の犠牲まで出てしまっては大義も唯の戯言だと判断したのだろう。俺もこれ以上人の心を無くした駒になりたくなかったから安堵した。この決断をしたアーリグリフ王を尊敬する。出来ればもっと早く決断して欲しかったのだが。

 しかし、数ヶ月前まで敵対していたシーハーツ。国の上層部は友好関係を築こうとしているが、俺のような一般兵まで中々その意識は浸透しない。
 だが、ある噂を聞いた。
 尊敬するアーリグリフ王の想い人が、なんとシーハーツの軍事責任者だという。一体何の間違いかと耳を疑ったが、王が若かりし頃にシーハーツに留学していた時があることを思い出した。その頃に出会った人だろうか。何故そんな大事な人が住む国と戦争しようと思ったのか凡人である俺には理解出来ないが、王が惚れるシーハーツの国民とは、少し興味がある。
 丁度数日前に同僚がシーハーツの女の子との飲み会を計画したからお前も来いと誘われていた。あの時はまだシーハーツに対して複雑な気持ちを抱えていたところもあり、女の尻を追いかけるのが得意な同僚に女なら誰でも良いのかと嫌悪すら抱いていた。だからあまり気乗りがせずに返事を保留にしていた。だが考えてみると、これはまたとないチャンスかもしれない。軍に所属している身分として、女と話す機会に恵まれないのだ。せいぜい軍事施設に併設されている食堂のおばちゃんか、救護班の看護師か。ここの女看護師は全員既婚者だから、お近づきになりたくとも俺より筋骨隆々の強者が背後に見え隠れする。明らかな負け試合に首を突っ込む趣味はない。まぁ俺も20代後半のいい歳だからな。これをきっかけに身を固めることになっても、誰も文句は言わないだろう。この際だから参加しておくか。





 昨日の飲み会、あれは何だったんだ。
 相手の女ども、見た事あると思ったらシーハーツ王国女王直属の隠密集団の一員じゃねぇか。数ヶ月前まで殺し合いをしていた同士だぞ。それが何故ここに来て何事もなかったかのように酒飲んで談笑してるんだ。
 しかも酒が進むにつれ、ふざけて戦争延長戦とか言って始まった腕相撲大会。俺たちは金髪の女に誰一人勝てなかった。何なんだよあの馬鹿力。少し酔っていた紫の髪色をした仲間から脳筋と揶揄されていたが間違いない。俺もそう思う。だが公式戦ではないとは言え、女に筋力のぶつかり合いで負けたというのはかなり後味が悪い。これもまた夢幻であって欲しい。
 とにかく、最悪の飲み会だった。これを機に身を固めるかもしれないと思った過去の自分を殴ってやりたいぐらいだ。

 ……うっ、まだ酒が残っている。具合が悪い。今日の演習は程々にしてほしいところだが、俺は本当に運が無い。今日はあの重騎士隊漆黒の団長、通称「歪みのアルベル」が組んだ地獄のスケジュールだ。通常時でさえ嘔吐者続出の演習内容だと言うのに、今日はとてもじゃないがこなせる気がしない。何とかして回避出来る言い訳はないものか……

 ん?あれは噂をすれば、歪みのアルベル。まだ演習前だと言うのにこんな軍事施設の廊下で顔を見る事になるとは、今日は厄日か何かか?
 しかも隣には赤髪の女……
 あれは、あの女は……シーハーツ王国女王直属のクリムゾン・ブレイド!
 何故ここに?しかも何やら打ち解けてる様子、あの歪みのアルベルが?クリムゾン・ブレイドと?一体何があったんだ!?

「あ、あの、団長。
 不躾を承知でお聞きしますが、その女性は団長のお仲間でしょうか?」
「あぁ? そうだ、俺の(仲間の)女だ」

 えっ……団長の、女!?
 俺は、俺にはもう何が何だかわからないぞ。
 このままではシーハーツにアーリグリフが乗っ取られるんじゃないか?やんわりとした女特有の雰囲気を醸し出したと思えば突然鬼のように凶悪な怪力を出すし、アーリグリフ軍中枢に配属されている団長を色仕掛けで攻略しようとしている。
 武力ではなくとも、内外から攻められているようなものじゃないか。
 ……そうなると、もしかして俺の故郷が無くなるのか?そんな事考えたくもない!うわあぁぁぁぁ


「アーリグリフに栄光あれー!!」


……何だ、あのクソ虫は」
「どう考えたってあんたが一言足りないのが悪い。まるで私があんたと付き合ってるみたいな言い方じゃないか。虫唾が走る」
「どこをどう勘違いしたらそうなるんだ」
「大変だね、あんたの部下は。
 可哀想に。あの兵士、勘違いしたまま泣きながら走って行ってしまったよ。私はこの国の人間じゃないから噂が立とうがどうでも良いが、あんたは違うだろう」
「俺がそんな噂を気にするとでも思うか、クソ虫が」
……先が思いやられるね」