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浦山野あずま
820文字
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一次創作
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目的地はドイツとスイスとデンマーク
「海外に行きたいんだよね」
そう呟いたのは、酒呑童子だった。全日本童子親睦会の最中のことだった。昨今、童形の者の飲酒に対する視線が厳しくなって久しい。その手に握られているのがノンアルコール梅酒になったのも致し方ないことだった。
「そう、それ!だから海外なんだよ!!」
叩きつけられた梅酒がカンッと高い音を響かせる。
曰く、海外ならば、飲酒可能年齢がもっと低い。人ではないのに人の法に従うのも癪に障るが、令和の世まで生きてしまったのだから仕方がない。しかし、従う法は選ばせてもらおう、という理屈であった。
「とりあえず独逸に行って
麦酒
ビール
が飲みたい。
麦酒
ビール
。いいよな、
麦酒
ビール
。平安京にはなかった味だよな」
日本人はみんな童顔だと思われてるから、逆に16歳で通ると思うんだよ!俺、童子としては高身長な方だし!!と力説する。酒に対するこの熱量はなんなんだろうなぁ、と周りの童子仲間はスナック菓子を食べながら呆れていた。
「というわけで」
手渡された化粧道具とタブレットに、茨木童子は首を傾げる。
「女装!させて!服は任せる。好きに買っていいから」
「いや、なんで?」
なぜ女装するのかと、なぜ自分が手配するのかと、二重の意味で。
「だって、茨木くん、昔してただろ?」
渡辺綱を騙そうとしてたじゃん。
「それはそうだけど
……
。いや、そうじゃなくて」
「ギリ成年の男子は無理だけど、童顔の女子大生なら余裕でいけるって!たぶん!!俺たち、顔は良い!!」
自信満々に言う酒呑童子に、まずデパートのコスメ売り場でパーソナルカラー診断を受けてから出直してこいと、茨木童子はため息をついたのであった。
そんな話も記憶から薄れた頃、全日本童子親睦会のLINEグループに写真が送られてきた。女子大生風の
出立
いでたち
の酒呑童子と茨木童子が、国際線の待合室で自撮りした写真であった。
「行ったのかぁ、デパートのコスメ売り場
……
」
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