梶間
2024-03-15 20:15:58
860文字
Public カブライ
 

毛布を奪い合う二人(カブライ)

寒いので大きな毛布にくるまる。あいつも入るかな、と思っていると声をかけるより先に無言で毛布を奪おうとしてくる。分け合うつもりだったのに反射的に毛布争奪戦が始まった。
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メリニの地にも冬がきた。雪はほとんど降らない温暖な地域だが冬はそれなりに寒い。

カブルーは私室に閉じこもってベッドの上で頭まで毛布にくるまり暖をとっていた。
「寒い……
寒い。今年の冬はとにかく寒い。冬が始まってから厚着をし重ね着をし暖炉を灯し打てる手はそれなりに打った。生まれ故郷は今となっては常夏とも思える暖かさだったし、エルフの都がある北中央大陸は寒かったけれど住居には冷暖房が完備されており、家にさえ入れば常春のような環境だったので暑さ寒さで不自由を感じたことはなかった。
カーカブルードに来るまでは温暖な地域で生まれ育ったため、寒さには滅法弱くなっていたらしい。
火鉢や懐炉も欲しいところだが薪や燃料が足りない。
土壌を改善した森の木々はまだまだ開発途中で木材の切り出しは人員不足であまり進んでいない。産出された木材も建築や最低限の生活のために消費されてしまうため過剰な暖房のためには回せないのだった。

「カブルー、いるか?」
「開いてますよ……

毛布にくるまっていると扉をノックする音とライオスの声が聞こえた。少しだけ顔を出すとライオスが扉を開ける。
部屋に入ってきた北方人はとても身軽だった。長袖に中綿入りジャケットを羽織っただけ。一応防寒はしているのだろうが、見ているこちらが凍えそうな軽装だ。さすが北国生まれ、寒さに強いらしい。

「なんですか……扉閉めてください……
「布団暑くないのか?」

何も前置きなしに布団を剥ぎ取られる。

「寒い!バカ!布団返せ!」
「動いた方が暖かいよ」
「俺は寒いんです!いいから返せ!」
「ちょっと話したいことがあって」
「それ!返してから!聞くんで!」

寒さと厚着で動きが鈍いカブルーと、寒さには慣れた身軽なライオスでしばらく布団争奪戦は続いた。
ひとしきり部屋の中を駆け回り、さすがに暑くなったカブルーが上着を一枚脱いだところでライオスが布団を返却する。

「ほら、動いたら暖まっただろ」
「あんた基準で物事をはかるなって言ってるでしょうが」