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わらびもち
2024-03-13 16:15:08
1594文字
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山頂の景色
VOID自探索者(HO1)のSS
ほぼ独白みたいなもの
げんみ✕
一歩進むごとにサクリと、足の裏から土と草横たわる感触が伝わる。
車から降り、少し進めば目的の建物はすぐ目の前に現れた。
それは建物という形状を辛うじて保っているだけの、蔦に覆われた廃墟ではあったが。
それを見ても何の感慨も浮かばない。それはそうだろう、記憶が仮に残っていたとしても、おそらく目の前のものには面影すら感じないだろうと想像出来るほど、かつて人が暮らしていたなどとは到底思えないほど、朽ち果てているのだから。
自分が、天城遥が父母と共にかつて暮らしていた家。確かに存在したのに記憶に残っていない事実に、時折やるせなさのようなものを覚えることがある。
自分には大切な思い出がある。黒田矢代や赤星透也と共に過ごした10年間の記憶。今の私を形成する10年間だ。
しかしここで父母と過ごした時間は、それよりも長い12年間。きっとそれも大切な時間だったのだろう。自分にとっても、父母にとっても。けれどそれを、誰も覚えていない。父母は死に、自分は記憶を失った。
10年間誰も踏み入れていない庭は草が生い茂り、所々木が生えてもいる。玄関までは敷石で舗装されているお陰か辛うじて歩いて行くことが出来たが
……
全体を覆う蔦の隙間から見える壁はこびり付いた煤で黒く、そこであった火事の規模を物語っていた。少しの衝撃で崩れ落ちてしまいそうな建物に入ることはやめておいた方がいいだろう。どちらにせよ、記憶に引っかかるような何かは燃えおちてしまっているだろうし。
庭をもう一度振り返れば、草陰から飛び出したブランコや小さなアスレチックのようなものも見えた。おそらく幼い自分はああいったもので遊んでいたのだろう。
……
やるせなくなる、と言ったが正確には、恐怖だ。共に過したはずの父母を覚えていない罪悪感。しかしそれよりも、今自分が大切にしている記憶すら、いつか失ってしまうのではないかという恐怖。そうでなくとも人間はすぐに忘れる生き物だというのに、ふとした事故で、事件で、何の前触れもなく全て失ってしまう。ヤシロさんのことも、トオヤさんのことも
……
イツのことは、二度と忘れたくないのに。
車に戻ろうとして、1本の細いけもの道が見える。それを見た時に、何とはなしに懐かしさを覚えた。直感のようなそれに従い、道を進んでいく。
十数分ほど歩いた頃、山頂に到着し、目の前が開ける。眼下に拡がる日に照らされた街並みを見てようやく思い出す。そうだ、幼い頃もこの道を通ってここまで来た。同じように幼かったイツと共に。
山頂から見た景色は、記憶の中とそう変わらない。ところどころは変わっているのだろうが
……
それでも、日に照らされキラキラと光るビルや、街の端に存在する田畑、流れる川。
──あれがイツの家?
──多分。場所的に
──あ、学校。
──大きいから目立つね。
──あの緑の塊もしかして森林公園かな?
──上から見ると何が何だかわからないね。
浮かび上がったものは、おそらく過去の記憶だろう。
何も解決なんてしていない。記憶を失うかもしれない恐怖は、依然として燻っている。
けれどきっと、取り戻せるものだってあるのだろう。
全部を思い出した訳じゃない。でも全部を失った訳でもない。
目を覚まさなくてもヤシロさんは生きているし、明日仕事に行けばまたイツと一緒に仕事をして、ご飯を食べて、くだらない話もして。
それを全部、もう二度と失わないために。もっと頑張らないと。もっと強くなって、明日からも笑って過ごすために。
……
幸せに生きるために。
──────────
遥って趣味らしい趣味ないんだよな。多分体を動かすのが好きってぐらい(多分母親に似た)→そういやほいほにってロボットの絵を描く以外はどんな遊びしてたんだろう→ほいちの家って山の中にあったな→いまここ!
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