神の作りしもの、その名は


 神はまず薄力粉とベーキングパウダー、砂糖を大雑把にお混ぜになった。神はズボラであったため、バターは電子レンジで軽く温めてそこそこに溶かし、労力を省かれた。そして先ほどの混ぜた粉類とバターを、これまたかなり大雑把に混ぜた。全ては大雑把に行うのがコツであると、神は一人で御納得なされていた。そして大雑把の権化に今度は卵と牛乳を加えて、混ぜて練って、一つの塊をお作りになった。

 それらは一度冷蔵庫で寝かせることにして、神は別のものも同時に作ることにした。

 しばし考えた神は、白玉粉を取り出してきた。白玉粉に砂糖を加え、水を注ぎながら混ぜる。神はそれを電子レンジにお入れになり、牛皮を作られた。その牛皮に黒豆の甘納豆を混ぜ込み、パットに広げて片栗粉を振りかけた。天使が持って寄越したあずき缶を開け、小分けにしたそれを先ほどの牛皮で包む。そうして、神は豆大福をお作りになったのである。

 豆大福を作り終えた神は、冷蔵庫で寝かしていた大雑把の塊をお取り出しなされた。少し引き延ばして広げた大雑把を、さらに大雑把に丸い型で抜いていく。鉄板の上に並ぶ小さな塊に、精霊たちが小粒で艶々とした葡萄を二つずつ乗せていった。大きな塊全てが小さな塊に分かれた時、神はそれを180度のオーブンにお入れになった。

 オーブンが焼き上がるまでの間、神は天使と精霊に命じて紅茶と緑茶を煎じられた。天使と精霊は各々マイカップにそれを注ぎあい、テーブルに並べた。こうして焼き上がったスコーンと丸め終わった豆大福が、円卓に満ち満ちた。

 そして神は音頭を取られた。
「乾杯!」
天使と精霊も唱和した。
「かんぱーい!」「かぱぱー!」
 それぞれが紅茶と緑茶を飲みながら見守ると、茶色のスコーンは艶々の葡萄の目を持った犬に、もちもちの豆大福は黒斑の猫に変わった。
 円卓の上は犬と猫で溢れ、天使と精霊も一緒になって転げ回った。そうしてこの世は光に包まれたのである。

 その光景をひとしきり眺めた神は、腕を捲ってこう宣われた。
「さあ、次は栗饅頭からタヌキを、厚揚げからキツネを作るぞ!」


参考:富澤商店のレシピ
『基本のスコーン』
『豆たっぷりの豆大福』