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雨月 ひより
2024-03-11 17:10:42
6428文字
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Christmas for just the two of us on a Ferris wheel
Twitter(X)のハッシュタグ『#観覧車を17文字以内で表現する』
『#クリスマスイブを17文字以内で表現する』
『#私をサンタだと思ってお願いごとを言ってください』で書かせて頂きました!
『とても楽しそうなクリスマスのお話をください!!特にCP等の指定なし、お任せ』とのことでしたのでリヒシモで書きました!
タイトルは『観覧車の中で過ごす二人だけのクリスマス』と言う意味です。
※Google翻訳にて。
※キス描写があります。
この日は誰でもそうなのかもしれないが、俺達にとっても大事な日だ。
『クリスマス』
老若男女問わず、誰もが大切な人と過ごす日だ。
恋人とだったり、或いは家族とだったり、友人とだったり、仲間達とだったり
…
それぞれが大切な人とその日を一緒に祝う。
クリスマスが近付いてくると何だか街中もそわそわしてき出してきて、当日にもなると更に賑やかさが増していた。
街全体がクリスマスらしい装飾で溢れている。
建物に目をやると、イルミネーション用の電飾が取り付けられていて、昼間に見たら『何だこれは?』と疑問に感じるが、夜になるとその意味が分かる。
辺りが暗くなると建物に取り付けられた電飾が一斉に灯って、とても綺麗なんだ。
俺が来た世界にはないもので、この世界に来て初めてイルミネーションなるものを見た。
俺も今ではイルミネーションと普通に言っているが、この世界に来た時にこの飾り付け全体を『イルミネーション』と言うのだと教えてもらった。
冬の寒さで辺りの空気も澄んでいてイルミネーションに施した色とりどりの灯りが更に綺麗に見せてくれている。
昨日は、クリスマスイブだったからスマブラの皆でパーティーを催した。
クリスマスにはそれぞれが大事な人達と過ごしたいと前から聞いていたので、パーティーをするならクリスマスイブにしようと決めていたんだ。
イブ前日から屋敷全体もこの街同様、クリスマス仕様にしていた。
飾り付けやパーティーで振る舞うご馳走の準備など、各自分担した。
そして大人達はこっそりと子供達の為にプレゼントも用意していた。
スマブラがあるこの国では夜、寝静まった子供達が前もって用意していた大きな靴下の中にサンタクロースが来て子供達を起こさないようにプレゼントを入れて行く
…
らしい。
サンタクロースの存在を信じている子供達には夢を潰してしまう言い方をするが、この国でのサンタクロースの正体は身近な大人達なんだ
…
と言うのもスマブラに来て初めて体験した。
完璧なサンタクロース
…
とはいかなかったが、服装だけはそれらしく揃えて夜、寝入った子供達の部屋に行って枕元に飾ってあった大きな靴下にこの夜の為に用意したプレゼントを入れて、バレないように部屋を出たのはヒヤヒヤした。
そんな一仕事を終えての今朝、スマブラの屋敷を出る時、起きたばかりの子供達が『サンタクロースが来ていた!』と喜んでいた。
自分の欲しかったプレゼントを貰えて嬉しそうに俺達に見せてくれた。
子供達の笑顔を見て屋敷を出て来たんだ。
クリスマス当日の朝までに子供達にバレないようにプレゼントを選んだ甲斐がある。
俺は今、麓の街にある大きな噴水の広場で大切な人と待ち合わせをしている。
本当は一緒に此処に来るはずだったが、出かける時になってその人に用事が入ってしまった。
俺は用事が終わるまで一緒に待つと言ったんだが彼に『俺には先に行っていてほしい』と言われてしまったので先にこの場所で待つことになった。
(折角のクリスマスなのにな
…
)
ずっと前からクリスマスは朝から大切な人と一緒に過ごすと決めていたのに、うまくはいかないもんだ。
(それにしてもシモン、遅いな
…
)
この噴水広場に来てからずっと俺の大切な人、シモンが来るのを待っているが彼は中々来ない。
支給されたスマホにメッセージを入れると少し経ってから返信が来たが『まだ終わらなくてもう少しかかってしまう』と言うものだった。
『分かった』とだけ返したがそれからはシモンからの連絡はなく、ただ時間だけが過ぎていった。
朝から来たものの、もう日も暮れてきた。
辺りが暗くなってくると街中に飾られたイルミネーションに光が灯り始める。
イルミネーションに光が灯り始める瞬間もシモンと見たかったのに、隣に彼はいない。
「はぁ
…
」
今日は今季一番の冷え込みだと、出かける前に観た天気予報どおりだ。
日中も寒かったが、日が暮れたことにより寒さが増した。
俺が吐いた息は白く、空へと昇っていった。
イルミネーションの灯りに照らされて、その様が見えたんだ。
「リヒターっ
…
!」
自分が吐いた白い息が空へと昇っていくのを眺めていると、後ろから名前を呼ばれて振り返る。
「シモン!」
朝、出かける前に見た姿のままのシモンがいて、走って来たことにより息が上がっていた。
「あれから連絡出来ずに、済まないっ
…
」
俺の傍まで走って来ると、まず先に連絡出来なかったことを謝られた。
些細なことでも必ず連絡を入れてくれるシモンがしなかった理由は何となく分かった。
「他の者達からも用事を頼まれてしまい断れず、更に君にも連絡出来ずに、今まで待たせてしまって、本当に、済まない
…
」
出かける際に入った用事を皮切りに次々とスマブラの皆にお願いされ、断ることが出来なくて全てこなしてから来たんだろう。
シモンも皆からお願いされたら断らず全て引き受けてしまうのも問題があるが、それも彼の良い所でもあった。
それにしても、スマブラの皆はシモンに頼り過ぎだと思う。
(もしシモンが病気や怪我したり、急用があって帰れなかったりした場合はどうするつもりだ?)
俺やシモンは一般の人間からしたら丈夫な体ではあるが、生きている以上、病気や怪我もするし、誰だって緊急の用事だってあるんだ。
スマブラには小さな子供達もいるが、断然、大人の方が多い。
流石に自分のこと位は最低限出来るようにしていて欲しいと思った。
(俺達だって二人だけで出かけたりしたいんだよな
…
)
ただ、普通の恋人同士のようなことをしたいだけだ。
付き合っている二人の、二人だけの時間を邪魔される
…
と言うのは大所帯ならではの悩みのタネでもあった。
(スマブラも付き合っている人達にはそれなりに配慮してくれるようにするとかな
…
)
このスマブラに来て早、4年だ。
今までで不便なことはないが、ちょっとしたことに不満を感じるようになった。
「リヒター
…
?」
呼ばれてシモンの方を見ると困ったような顔をしていた。
「えっ
…
?」
「君が怒るのは当然だな。私は何時も『必ず連絡をくれ』と伝えているのに、自分では其れを破ってしまったのだから
…
」
シモンは謝ったのに、俺は色々な不満が頭に浮かんできて何も答えなかったから、彼は俺が怒っていると勘違いしていた。
黙ったままでいたから俺はシモンに勘違いさせてしまっていた。
「違う!それはっ
…
!」
理由を大きな声で慌てて訂正しようとしたが、それで更に勘違いを起こさせてしまった。
俺達を見る周りの視線が痛い。
今日はクリスマスで、誰にだって幸せな日でもある。
そんな折角のクリスマスに喧嘩とかなんか最悪だ。
「シモンっ!」
ギュッ!
シモンの手首を掴んで引くと、早足で噴水広場から出た。
「ど、何処に、行くのだ
…
っ!?」
これから何処に行こうかとかまだ決めていなかったが、とりあえず俺達を見る痛い視線から逃げたくて早足で噴水広場を離れた。
シモンの手首を引きながら早足で歩いて行く。
シモンから『何処に行くのか』と聞かれても答える余裕がなかった。
シモンの質問に答えられずまた黙ったままにしてしまって、それっきり彼も何も言わなくなった。
さっきまで気にしていた街のイルミネーションには目もくれず、ただ真っ直ぐ歩いて行くとさっきまで待ち合わせていた噴水広場よりももっと広い場所まで辿り着いた。
「シモン、今からこれに乗りますっ!」
「なっ
…
?!」
さっきまで待ち合わせでいた噴水広場から見えていた大きな建物の下まで来ていた。
遠くからだと円上の大きな建物としか分からなかったが、その下まで来るとそれが何なのか分かった。
スマブラに来て初めの頃に皆で行った『遊園地』と言う遊べる場所に出かけた時にもあった建物と同じだった。
その遊園地にある建物よりも此処の方が遥かに大きい。
さっき俺は『これに乗る』と言った。
これは建物でもあるが同時に乗り物でもあると、それも遊園地に行った時に教えてもらったんだ。
「お一人様○○○円です」
「はいっ!」
その建物の下にいた人に二人分の料金を払い、中へと入る。
空を見上げると、鉄で出来た円上の何かには幾つもの扉が付いている部屋があり、その一つずつが静かに、ゆっくりと登り、降りていくを繰り返していた。
その何かにもイルミネーションが施されていて綺麗だった。
「30分程かけて登っていきます。頂上もですが他の景色も最高なのでごゆっくりとお楽しみ下さい。くれぐれも暴れたり等はしないようにお願いします」
「分かりましたっ!」
ゆっくりと降りてきた部屋の一つが俺達の前まで来ると、先程、料金を渡した人がその部屋の扉を開けてくれた。
この人がこの建物を管理している人なんだろう。
その人から軽く説明を受けると俺達は開けてくれた扉の中へと入った。
「それでは、暫し空の旅をお楽しみ下さい〜」
バタン
ガチャッ
外側からしっかりと鍵を閉められその人に見送られると、俺達を乗せた部屋は少し大きく揺れて上っていった。
入ったこの部屋は窓が大きく、360度景色が見られる。
初めて遊園地に行って乗った時や少しの風でも大きく揺られて驚いたことがあったが、これまでで数回、乗ったことがあったのでもう慣れた。
「シモン、座りましょう」
「あ、あぁ、そうしよう
…
」
備え付けられている鉄製の椅子に対面になるように座った。
本当なら隣に座りたいが、この部屋は揺れる程の不安定さがある。
幾ら丈夫に造られているとは言え、最悪なことが頭によぎると少し恐い。
もし
…
となったら、どうしよう。
その言葉を口にすると本当になりそうだから止めた。
『
………………………
』
俺達を乗せた鉄製の部屋は少しずつ上に登っていく。
残念ながら辺りが暗くて何があるのかが見えないが、遠くにある街の明かりが光の束になって見えて綺麗だ。
それに今の俺達にはこの暗さがちょうど良い。
この鉄製の部屋に入ってから今でも沈黙が続いているんだ。
対面で座ることになったが、気まずい雰囲気も辺りの暗さのおかげで和らいでいるように感じる。
だが、いい加減にこの気まずさから抜け出さないといけない。
折角のクリスマスだと言うのに、恋人同士なことが一つも出来ずに日が暮れて、とうとう夜が訪れてしまったんだ。
クリスマス当日、朝からシモンと一緒にしたいことを考えていたのに結局、これまでの所何も出来なかった。
せめて、何か一つだけでもしたい。
それには俺から話してこの気まずさから抜け出すしか方法はない。
「シモン。さっき、広場では、声を荒らげてすみませんでした」
暗がりの中で目の前にいるシモンに対して、先程のことを謝った。
「俺は貴方が連絡をしなかったことに怒っていたのでもなく、遅れて来たことに怒っていたのでもない
…
っす。ただ
…
」
あの時、俺が黙ってしまったのはシモンに対してのものではなく、別のものだからだ。
「理由を説明しようとしたら、つい、大きな声が出てしまって
…
。周りも俺達を見てくるし、それで居心地が悪くなってすぐにでもそこから離れたかっただけだった、んだ
…
」
この二人だけの空間で少し落ち着いたのもあるのか、理由を話すことが出来たと自分では思う。
ポン
…
「シモン
…
?」
話し終えた俺の肩にシモンの手が乗った。
「其の様な理由だったのか。私の方こそ、誤解させてしまって、済まなかった
…
」
顔を上げたが、辺りが暗くて目の前にいるシモンの姿は見えなかったが、肩に乗せられた手と彼の優しい話し方で俺達が同じ空間にいることが分かる。
シモンも俺と同じようにまた謝った。
「あ、そろそろ頂上みたいだ
…
」
俺達だけを乗せた鉄製の部屋は、ゆっくりと時間をかけて登っていくと、頂上へと近付いてきた。
頂上近くまで来ると空と街の光がくっ付いているように見えた。
今夜の夜空には沢山の星が散らばっていて、それが街に落ちて光っているんじゃないか
…
と思わせる程に綺麗だ。
「
……………………
」
いつの間にか肩からシモンの手はなくなっていた。
暗くて見えないがシモンも俺と同じく今、この景色を見ているだろう。
シモンの持つあの深い青色の目には夜空の星と街の光が映っていて綺麗だろうな。
その目に夜空の星と街の光だけでなく、俺自身も映してほしい
…
。
「シモン
…
」
目の前にいて、恐らくこの鉄製の部屋の窓の外を見ているシモンの両肩を掴んで、俺の方へと身体を向かせた。
「メリー、クリスマス
…
」
イブの昨日にはスマブラの皆に沢山言った言葉だが、恋人であるシモンにはまだ言っていなかったんだ。
二人だけの時に、きちんと言いたかった。
屋敷に戻ればまた賑やかな日常へと変わり、言う機会がなくなってしまう。
言うなら今しかない。
「メリー、クリスマス。リヒター
…
」
いつもなら、こう言うことをすると恥ずかしがってしまう恋人のご先祖様だが、今夜は特に何も言わず、俺に『メリークリスマス』と言ってくれただけだった。
辺りが暗くてシモンの顔が見えないのがとても残念だ。
どんな顔をして言ってくれたのか、見てみたかったな
…
。
来年も二人だけで過ごせることが出来たら見せてくれるかもしれない。
それに期待しよう。
俺達を乗せた鉄製の部屋が頂上に着いた瞬間、俺は目の前にいるシモンに顔を近付け、その唇に自分の唇を重ねた。
俺達が乗ったこの鉄製の部屋、と言うか乗り物は『観覧車』と呼ばれる乗り物だ。
家族は勿論のこと、友人、仲間そして恋人、少ない人数で乗って互いの仲を深める為の乗り物
…
だそうだ。
夏は暑く、冬は寒く、風に吹かれると揺れる
…
と環境自体は過酷なものだが頂上へと向かう僅かな時間の中で、この小さな部屋から見られる景色と大切な人達との会話などを楽しむんだ。
だから俺達も星が散らばる夜空と街の光を目に焼き付け、この観覧車から降りる瞬間までを二人だけでゆっくりと過ごす。
「もう直ぐ、地上に着くのだが
…
」
唇を離し、シモンを抱き締める為、彼の隣へと座った。
俺達を乗せている小さな部屋はもうそろそろ地上に着く。
乗ったと思ったら、もうすぐ地上に着こうとしているなんて
…
恋人と乗るととても短く感じた。
「そうだな、でも
…
」
地上が近付いてきていても俺はまだシモンとこの中で一緒の時間を過ごしたかった。
ガゴンっ
地上に近付いてくると部屋が大きく揺れ出し、暗いながらも先程、話した人の姿が見えてきた。
「リヒター
…
」
「頼む、あともう一周だけ
…
」
俺はシモンが立ち上がろうとしたのを止めて頼んだ。
これで終わりなんて寂しすぎる。
「
…
分かった。では、もう一周だけだぞ」
「ありがとう
…
!」
シモンはもう一度、鉄製の椅子に座り直した。
この部屋が完全に地上に来たのと同時に俺は先程、案内してくれた人に急いで告げた。
「もう一周します!」
すると外にいたその人は頷いて手を降って見送ってくれた。
二周目の料金は降りた時に払おう。
最初の時は気まずいまま乗ってしまったが、誤解も解けた二周目は話しながら、勿論、恋人同士の特別な甘いひと時を過ごす。
今夜はスマブラに来て一番の特別なクリスマスとなった。
『メリー、クリスマス』
再びこの鉄製の部屋が頂上に着いた同時に言うと、また互いの唇を重ねた。
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