スサ
2024-03-06 22:52:13
2297文字
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【ゲ】芸能パロ、実は非喫煙者の水

何億番煎じだし詳しくないけど、水木役の水木が実は非喫煙者だったら…みたいな話です。ゲゲ郎、ゲタ吉、鬼太郎がそれぞれ役者などで存在する適当なパラレル。3人とも水が好き。ごめんなさい!

「嘘でしょ?」
 台本通り、というにはその顔は本気の驚きに彩られているように見えた。演技なら大したものだし、実際そうであると考えても差し支えはないだろうが、それでもやはり、本当に驚いているように見えた。
「いや、本当に」
 苦笑して首を振る。手もつけて。
 ──大変ありがたいことに最近W主演の片方で出してもらった映画がなかなかのヒットをした。当初の予定を上回る、じわじわと増える上映回数と館数には関係者一同大喜び。それは勿論、ある程度は手堅い反応はあると思われたのだが。
 しかし、困る程ではないが、おかげで最近増えたのがこの手の質問だ。つまり──
「やってあんだけサマになっててカッコイイのに!? ほんまに水木さん普段煙草吸わへんの?」
 ハイ、と苦笑する。とても昔には吸ったこともあったけれど、どれもこれも仲間うちで何となくというものだったから、好んで吸ったことはなかった。
「でも、そう思ってもらったんなら役者冥利につきますね」
 ふ、と口角を上げる。
 舞台には長く立ってきたけれど、TVやまして映画にはほとんど出たことがなかった。そういう意味では、番宣で呼ばれたバラエティの中では新顔もいいところだった。
「じゃろう〜? こやつやたらカッコイイのよなぁ」
 と、そこで流れるはずだった会話に割り込んだ人間がいる。染めたわけではないらしい白い髪、一見細身に見えるがその実引き締まった肉体美を誇る長身の男。数年前に現れ、あれよあれよと人気者になった実力派俳優だ。
「かっ、いやいや、とんでもない」
「なんで謙遜するんじゃ」
「ゲゲ郎さん、ほんとに普段もその喋り方なんですね」
 そうじゃ、とでも言いたげに、白髪の男は無言でピースサインをした。
「あざと!なんや腹立つわ
「はは
 苦笑いする水木だったが、がっしりと横から肩を組まれてバランスを崩す。
「こやつ、車の中で吸おうとしたらめちゃくちゃ怒っての、降りろって言われたんじゃ
「ばっ、」
 慌てて水木はW主演の片割れの口を塞ごうとするが、何しろ相手の方が上背もあれば腕も長いのでまったく上手くいかない。
「わし、あんな冷たくされたこと今までないわ
「ちょ、人聞きの悪い!」
 しょぼんとしているのはわざとだろうが、しかし妙に愛嬌があり、自然と慰めたくなってしまいそうな気配があった。恐るべしである。
 口調こそ作品で変えることはあっても、髪色など含めあまり大きな変更をせずともあちこち抜擢されているのは伊達ではない、のかもしれない。
「それ以前に車乗った時って?」
「プライベートでも仲いい感じ?」
「水木さん車何乗ってんの?」
 ゲゲ郎が抑え込んで水木がもがく横で、ひな壇の他の芸能人からツッコミが続く。しまったと思うものの、何しろ体格ではまったくかなわないのだからどうしようもなく
「わし車詳しくないからわからんが、黒?紺色の車じゃ!」
「そんなんいっぱいあるわ!」
「じゃって、わしわからんもん」
 えへんと胸をはるゲゲ郎に笑いが起こる。
「灰皿置いてないし、汚れるから煙草NGなんです」
 いい加減離せ、と言いながら水木がやや早口で言う。
「や、でも吸ってないようには本当全然、じゃあなんか、研究して?」
「研究って程は」
「こやつはすごいんじゃ!」
 わかったわかった、と周りも微笑ましく苦笑する。
 それで、いったんキリよく終わるかと思われたのだが。
「僕も水木さんにファブられたことありますよ」
 それまで静かに見守っていたひょろりと背の高い青年、髪色といいゲゲ郎とよく似ているが血縁はないという話になっている田中ゲタ吉が口を挟んできたのだ。彼は元々水木と同じ劇団に所属しているのだが、すこし前ドラマがきっかけでブレイクした。そんなこんなで、今日は同じバラエティに出ていたわけだが。
「どういうこと?」
「除霊じゃない?」
 水木はびっくりした顔でゲタ吉を見た後、しーっ、と言うように人差し指を口の前で立てた。子どもっぽい仕草は落ち着いた佇まいや色気とギャップがあり、なんだか可愛らしい。
「車が禁煙なんですよ? 当然家も禁煙なんですよ、水木サン」
「ふーん、て、何、家に遊びに行く関係? 仲良しじゃんてかそれリハで言ってなくない?!」
 最後のところで笑いが起こった。
 水木は頭を抱えてしまった。ゲゲ郎とゲタ吉の視線が意味ありげに絡む。
「煙草吸わないのに吸う人にくっつかれるの嫌じゃないですか?」
 それまで事態を静観していた、水木の隣、ゲゲ郎の反対側に座っていた栗色の髪の少年(ゲタ吉はすこし席が離れている)が口を開いた。大きなどんぐり眼で隣の水木を見上げ、そっと流れるように大人の手を取る。恐ろしい手腕だ。
「僕は子どもだから吸わないので、水木さんは僕といるといいと思います」
 有無を言わせさぬ様子でニコッと笑ったのは、妖怪少年を演じてお茶の間の老若男女に惜しみない愛を注がれている少年、鬼太郎だ。
 水木は困ったように笑う。鬼太郎にはなぜか懐かれており、子どものいない、というか家族のいない水木もつい可愛がってしまうのだけれど、ここでそうだな!なんてギューっと抱きしめたりなどしたら問題になる気がする
 
 それはもう困った様子の水木を真ん中に、ゲゲ郎、ゲタ吉、そして鬼太郎という年の違う3人の男達(小なりとはいえ鬼太郎の態度は子供ではなく大人の男のそれだった)がバチバチ花火を散らしている様子は、SNSに様々なトレンドを生み出すことになったのであった。