雨月 ひより
2024-03-04 18:10:48
4506文字
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Dating feeling after making up

Twitter(X)のハッシュタグ『#私の嫌いな食べ物を当てた人に小説を献上する』で書きました。
リクエストは『フォクリ』とのことでスタフォコマンドの話を含めたものを自由に書かせて頂きました!
タイトルは『仲直り後のデート気分』と言う意味です。
※Google翻訳にて。

クリスタルと喧嘩をしてしまった。

この前も喧嘩してやっと仲直りしたばっかりなのに、日を置かずまた喧嘩してしまった。



理由はこの前も今回も息子のマーカスのことだ。

俺とクリスタルとでは価値観が違う。

そんなことは彼女と結婚する前から分かっていたことだ。

お互いの価値観が違うからこそ付き合う前や、付き合うことになったあとでもぶつかることがあったが、好きな人と家族になることが出来た。

そして、新たに家族も増えた。

とうとう新たに増えた家族のことで揉める日が来ようとは。

結婚すればそれも避けられない問題だったが、思っていたよりも早く訪れた。

「はぁ

息子のマーカスは成長し、そろそろ進路のことを考えなければならない。

彼はもうすぐ士官学校を卒業するんだ。

マーカスが卒業予定の士官学校はかつて俺も通っていた母校でもある。

だけど、俺は卒業間近で辞めた。

(理由は色々あり過ぎてまとめられない)

息子はもうすぐ士官学校を卒業予定でもあるのに進路のことは何一つ聞いていなかった。

彼なりに決めてはいるだろうから、こちらからとやかく言う必要はないと思って聞いていないのもある。

学校が卒業間近になると俺も悩んだから何だか懐かしい気持ちにもなるけど、別に息子のことを心配していない訳ではない。

それがクリスタルは気に入らないのかもしれない。

今日も朝からそのことで揉めた。

卒業予定ではあるが、まだ学校に行かなきゃいけないマーカスにとって朝から母親の小言を聞くのはキツいことだ。

早々とマーカスを送り出してクリスタルの話を聞いてきたが俺もついカッとなってしまって、また喧嘩してしまったのだった。

「はぁ

俺は何回ため息を吐いただろう。

今朝はこの前よりもお互いがヒートアップしてしまって収拾がつかなくなってしまった。

因みに今は休戦中である。

クリスタルは出かけてしまって今、家にいるのは俺だけだ。

今日は依頼もなく久々にのんびり出来るかと思っていたらこれだ。

(クリスタルは今頃、スリッピーの所かな?)

スリッピーに用があると言うよりかは彼の奥さんであるアマンダの所に行ったんだと思う。

スリッピーも俺の家族と同じような悩みがあるし、お互いが旦那の愚痴を言っていると思うと

(もしかしたら、スリッピーも彼女達の愚痴聞きたくなくて出かけたかもな

少しの間だけでもお互いが離れれば頭を冷やせるだろうし。

(問題はこのあとだよ

この前のような謝り方はもう使えない。

何か考えないといけないが、何も浮かんでこない。



(俺が卒業間近だったのに士官学校を辞めたのは

父さんが突然の消息不明になったと伝えられて色々考えた末に、父さんが遺したスターフォックスを継ごうと決めたからだ。

卒業は決まっていたからあとは卒業式まで学校に通って、式に出て卒業証書を受け取るだけだったけど、早く継ぎたかったから辞めたんだ。

もし、マーカスもそんな運命になったら彼はどうするだろうか。

彼は俺の時とは違う。

彼には母親がいて、一人じゃないから。

俺は自分一人で決めなきゃいけなかったからそうしただけだ。

『スターフォックスを継ぐのは学校卒業してからでも遅くはないんじゃないか?』と周りから散々言われたな。

何を言われても俺は自分で決めたことを貫いた。

その選択をして後悔したことは今までで一度もない。

だからこそ、今もスターフォックスはあるんだ。

(相変わらずローンとかに追われているけどな)

ピピッ

テーブルの上に置いていた携帯電話が鳴った。

「マーカスからか

携帯電話を開くと画面には息子の名前とメールが表示されていた。

「友達とご飯食べてくるか」

卒業間近だから思い出を沢山作ってほしい。

『分かった。気を付けてな』とメールを送った。

多分、クリスタルにも同じ文章を送ったと思うが、返事はなくともマーカスからの連絡があったとメールだけはした。

と、言うことは今日は久々にクリスタルと二人だけか。

いつもは息子もいて三人だから、クリスタルと二人だけになるのは何年ぶりだろうか。

それは彼女が帰って来ればの話だが。

「気晴らしに外に出るか」 

ズボンのポケットに携帯電話をしまうと、戸締まりをして家を出た。



春が近付いてきたのもあってか、昼間は暖かい陽気だが夕方になると冷たい空気がやって来ていた。

ピピッ

歩いているとズボンのポケットにしまっている携帯電話が鳴ったから立ち止まって取り出して開いた。

マーカスから絵文字が一つだけのメールが届いていたが、クリスタルからのメールはなかった。

(マーカスに、クリスタルにもメール送ったか聞いておけば良かったな

今更そんなことに気付いても、もう遅い。

携帯電話をもう一度、ズボンのポケットにしまい、歩き出す。

少し歩いていると公園が見えて来た。

(マーカスが小さい頃は良く来たっけ

自宅近くにある小さな公園で、息子が小さい頃は良く遊びに行っていた。

小さな公園の割には遊具が沢山あるのだ。

そこで遊べば丸一日、過ごせた。

子供達は遊具に夢中になるし、大人達も子供達を見守りながらもお喋り出来る。

俺達家族もそうだった。

そんな懐かしさも合わさって公園の中に足を踏み入れた。

公園の中に来たものの、もう夕方なので人の姿は疎らだった。

最後の一家族らしい集団とすれ違ったのを最後に人の姿は見えなくなった。

俺のいる場所からではもう人の姿は見えない。

この公園にいるのはきっと俺一人だけだろう。

「あ、そうか今日は平日だったな

土日や祝祭日ならこんな小さな公園でも人は来る。

でも今日は平日だった。

全く来ないと言う訳ではないだろうけど、休みの日と比べたら少ないだろうな。

キィ

「ん?」

遊具の鎖が風に吹かれて揺れた音だろうか。

音がした方向へと更に歩いて行く。

キィ、キィ

音は規則的に聞こえてきた。

風に吹かれただけではこんな規則的に聞こえてくる筈がない。

まだ誰かいるんだろう。

俺一人だけではなかった。

キィ、キィ

音が聞こえてくるのはブランコがある方向からだ。

ブランコが揺れていると言うことは暗くなっても誰かがまだ遊んでいるんだ。

キィ

音に引き寄せられるように近付いていくとブランコの揺れが止んだ。

そして、見覚えのある姿が現れる。 



「え、クリスタル?」

キィ

「その声、フォックス?」

俺の声に答えて聞こえてきた声で分かった。

夜が近付いている公園の中にいた姿は、朝から喧嘩してしまったクリスタルだった。

「スリッピーの所に行って、アマンダとお話していたんだけど、彼女に早く帰りなさいって言われちゃってでもまだ帰る気にもならなかったからこの公園に来たの」

「そうか」

俺の予想は的中した。

クリスタルはやっぱりスリッピーの所、アマンダに会いに行って旦那(つまり俺達)の愚痴を言っていたんだ。

でも、アマンダに帰るように言われたものの帰る気にはならなくて、この公園に来ていたんだ。

「マーカスが小さな頃は良く来たっけ。殆ど毎日来ていたのよ」

「そうなのか」

「フォックスは依頼がない時じゃないと来なかったものね」

「うっ

そうだ、俺は依頼がない時にマーカスとクリスタルと一緒に来ただけだった。

クリスタルが息子を毎日この公園に連れて来ていたことは知らなかった。

それを言われてグサッと刺さる。

「隣、良いか?」

「どうぞ」

クリスタルの隣りにあるブランコに俺も腰をかける。

流石にブランコを漕ぐ気にはならないからベンチのように座る感じだ。

キィ

ブランコに座ると繋がっている鎖から音が鳴る。

「マーカスからメール来ていたか?」

「えぇ、友達と食事してから帰るって来たわ。返事もしたし。フォックスの所にも?」

「あぁ、俺も同じように返信しておいた」

「そう」

キィ

それぞれが座るお互いのブランコの鎖の音がした。

「今朝は、ごめん

暗くなり始めているおかげで、隣りにいる彼女の顔は見えない。

本当ならちゃんと顔を見ながら謝るべきな所だけど、朝のことがあってまだ何となく気まずかった。

「私も言い過ぎたわ。ごめんなさい、フォックス」

クリスタルも今の俺と同じかもしれない。

隣りにいても周りが暗くてお互いの顔が見えないから、どんな表情をしているのかも分からない。

俺が先に謝ったことにより彼女も謝ってきた。

クリスタルの気持ちも分かる。

お互いにマーカスの将来のことを心配している。

俺は息子から言ってくるまでは敢えて言わないが、彼女はそう楽観的には見られないんだろう。

大事な一人息子だからこそ、ついキツく言ってしまうんだ。



『そこまで言わなくても良いだろ』

『じゃあ、どう言えば良いの?』

『言わないで、自分から言ってくるまではそっとしておこうよ』

『今が一番大事なの。そんな甘いこと言っていられないわ』



あぁ、こうして喧嘩になったんだった。

今朝の出来事が俺の頭の中を駆け巡ってきた。

最初はマーカスのことから始まったのが次第に感情的になってきて、遂にお互いに感じていた日々の鬱憤が一気に溢れ出して言葉として吐き出された。

言葉に言葉が重なり合って収拾がつかないで休戦となっていたが、暫くお互いが離れたことによって冷静になれた。

そして夜が訪れようとしている今、俺から謝ったことにより彼女も謝ってきたので今日の喧嘩は終わりを告げたと俺は思う。

「そろそろ帰ろう」

喧嘩は終わり(だと思う)周りがすっかり暗くなった所でブランコから立ち上がった。

「えぇ、そうしましょ」

クリスタルの声が近くなった。

周りが暗くなって見えないが、彼女もブランコから下りたんだろう。

ギュッ

「クリスタル?」

二の腕を掴まれる感触がしてたから、きっと彼女が掴んで顔を寄せているんだろう。

クリスタルがこうしてくれたのは何年ぶりだろうか。

残念ながらその顔も仕草も見ることが出来ないから想像するしかない。

マーカスが生まれる前いや、結婚する前の付き合って間もなくの頃以来かもしれなかった。

それ位、久々だ。

「行きましょ、フォックス」

「うん」

少し恥ずかしいけど、何だか恋人時代に戻った気分になった。

(まぁ今は夫婦なんだし、しようと思えば出来るけど

流石に両親のこの姿を息子には見せられないな

いや、見せるつもりはないけどさ。

ひとまず今日は仲直り出来たので良しとするか。



俺とクリスタルは束の間の恋人気分を味わいながら小さな公園を出て帰路についた。