破壊
2024-03-04 17:28:02
2048文字
Public 伏せ
 

VOID:3日目


秘匿を大体ポロッと出せて肩の荷降りたかな。どうしようかなあ~て感じだったので詳細には出してないけど会話の流れでかいつまんで話せてほっとした。予想通りだったから特にこう、ドヒャッ!て感じで腰抜かさずにいられた。秘匿とか出てくる情報とか、それらを全部ひとつのシナリオ解決に向かう"ヒント"として冷静に自分の中で処理出来るのは私の長所かも。



ぼにをボニヌで持って来て良かった。コイツで良かった。
屑星が元々人間であった事、黄海が姉な事、母親の死をきっかけに父親が悪い方向に走り出している事。その父親が杏梨の家族を殺している事、狙っている事。父親の手で自分を救う為に自分をアンドロイドの身体に移した事。そういうの全部屑星は淡々と受け止めてる。事実を事実として、在るがままの"人間の歴史"として。だから屑星はこれらの事に全くといっていいほどショックを受けていない。
ぼにって目が覚めた時から『アンドロイド』だから、自分が元々人間だと知りその記憶が蘇っても『アンドロイド』としての意識が1番にあるから何も無いんだよね、マイナスの気持ちが。ああそうなんだ、そう思う事しかない。正直これの事、屑星の明るさとか大らかさとか優しさとかではなく、アンドロイドとしての淡泊さだと思ってる。まだ屑星にしっかりとした"感情"というものは芽生えてないんだよ。

赤星に向かって言った「アンドロイドにも感情が宿る事がある」というのも、ただスパローで他のアンドロイドと会話したときに言われた事を事実として話しただけで、屑星自身に感情があるわけじゃない。感情があったら身を呈して杏梨を逃がそうとする赤星の通信にもっと心を乱す発言をした筈。
あの時の屑星はただ『ロボット工学三原則』を考えただけなんだ。人間である杏梨を危険から守る事、それを順守しただけ。赤星自身はどうなるのか聞いたのは杏梨の心の為。屑星も赤星はこのまま消失するだろうと思っていたし、赤星自身が自分の消失を理解して受け止めていたから彼からの任務をそのまま承諾した。杏梨に赤星からの通信と彼はもう存在しない事を伝えたのは伝える義務が自分にはある為。それだけ。
赤星に向かって銃を撃つイチハに攻撃したのも、赤星の下にいる杏梨や周りにいる風間やキョウにいつ被弾するかわからないから止めただけで、赤星の身を案じた事はない。赤星との戦闘で赤星を狙うのを少し躊躇っていたのも、杏梨にとって彼が特別な存在だったと知っていたから。

それでも多分、恐らく、杏梨が自分を信頼して親しみを向けている事に喜びは感じてる。それは杏梨のパートナーロボットとしての喜びであって、幼馴染だった頃の情などではないんだよね。ぼいちとぼにのバディタブでの会話も頑なに『アンドロイド』という言葉を使ってる。でもそれって冷たさではなく、確かに愛情なんだよ。アンドロイドしての、杏梨の唯一の最高のパートナーとしての愛情で。だから信頼されて、一緒に行こうって名前を呼ばれた事に「アンリのパートナーとして認められた」、「起動した自分というアンドロイドを認められた」って感情で喜んでる。
屑星は人間であった屑星では無い。アンドロイドとして目覚めたときからアンドロイドである。それって寂しくて虚しい事かもしれないけど、屑星は今在るままで満足してるよ。これが不幸とは思わない。


それはそれとして、屑星って父親に愛されてたんだな。有馬という人間、愚かだけど、愚かであればあるほど愛おしさが湧くわ。可哀想に、壊れちゃったんだね。
屑星の神羅万象に対する大好きという気持ちはプログラムされたものなのだろうけど、もしかしたら父親や母親、姉、そして幼馴染だった杏梨やその父親である天城から受け取った『愛』というものを知っているからなのかも。愛を知らない人間は愛を与える事なんて出来ないから。アンドロイドとして目覚めてからも意識が飛んだ先にいるウイルス、天城との穏やかで楽しい会話で愛を受け取り、メンテナンスしたり色々な事を教えてくれたり苦手な会話を続けてくれる青木からも優しさを受け取り。そうやってプログラムされた0と1以上のデータを機械の身体に仕舞い込んでいたからなのかも。

有馬と黄海と対面する事がこの先あるだろうと思っていて、そのとき屑星は彼等を何と呼べばいいんだろうな。お父さん?お姉ちゃん?でも屑星はアンドロイドなんだ。難しいだろうな、屑星にとって。難しい事考えるの苦手だし。


ぼさんとぼよん、可哀想で可愛かったな~!こたさんと眠井さんがグチャグチャになって嗚咽しながら苦しんでるの見てケタケタ笑っちゃったけど、赤星含めあそこは本当に良いシーンだった。赤星もキョウもとんでもない男達だったよ、あんなの大好きになっちゃうじゃんね?泣くのもわかるよ。蛇の目さんの読み上げが本当心に刺さる。黒田の手紙も、もう机に頬杖ついて目閉じてうっとり聞き入っちゃったもん。何遍でも聞ける、ほまに良い。嬉しい。