破壊
2024-03-04 17:18:02
3166文字
Public 伏せ
 

灰よか:感想


灰になってマジでよかった~ッ!!名前の通り灰になれたし、愛や欲望の話も出来た。心に生じる『感情』を存分に表に出せたし、傲慢で罪悪で愚かで怠惰で人間的な『煩悩』をぶつけて両者ロスト出来たのが本当に嬉しい。気持ち良い、これ。

本当に描写が美しかった。我儘を通してしまった気もするが、これがエモですかって腕組んで頷いちゃったな。私にも探索者にも覚悟が決まりすぎてて、出目が面白かったですね。完全勝利では?今、お前何かしたか?俺は燃やすぞ、この身諸共な。シージャの相手が阿摎沙羅という男で、シージャが灰になった理由が、カーマが灰になった理由と同じシヴァで良かった。マジで合わせてくれるの超絶嬉しくない?沙羅~ッ!!お前の生涯の相手はこの俺だよ。


設定読みました。こんな福利厚生が厚くて良いんですか?蛇のタトゥーが背骨に向かって垂れている?見せろ。脱げ。
問題のない家庭で、裕福で、才能にも溢れてた。それを母親の自分を心配するような干渉的な一言で絶たれた。悲しすぎる。対極のようでありながら自分達の意志は家族によって壁を作られている部分、合わせてくれてるんですよね全部。クラブでバイトもしてたの?一緒じゃん。はあ、そういう事ですか。俺達って似た者同士だったんだね。全然似てねえよ、シージャを選んだお前が悪い。見て、家、燃えちゃったよ。綺麗だね。

沙羅がさ、ずっと優しいんだ。本当に誠実で、この家に留まらせようとしての言葉だとしても噓って吐いてなくて。それがシージャにとっては悲しいくらい欲しかったもので、嬉しくて、優しくて、ずっと狡かったんだよね。自分だけを見て緩く微笑んでくれる姿がいもしない兄のようで、あったかどうかも分からない記憶上の父のようで、自分が求めていたような母の姿で、生温くて、それが狡かった。周りが見る好奇心のような目や何かを欲するような視線や、見返りとか好かれたいっていう感情も感じなくて居心地が良かった。彼が求めているのはシージャという個人じゃなくて"存在自体"で、それは自分が愛宕シージャという名前と見た目と中身じゃなくてもよくて。だから結構最初から沙羅に対して心は開いてたのかも。赤の他人で誘拐犯で犯罪者っていうのもある。それ以上悪くなりようがないから。
試し行動もあったね、鍵を盗むのとか。怒られるかな?でも怒ってるところも見てみたいかも、ってのが。赤ちゃんなんだよな、初めて誰かに対して我儘になった。だって沙羅が言ったんだもん、「周りの幸福の為に自分を後回しにしなくていい」って。そんなの嬉しすぎるよ。


1日目の夕飯の会話、両親の事とか沙羅の職業の事とか、話せて良かった。あと飯の描写が飯テロすぎる。何?灰よかって飯を食うシナリオなんですか?そうだよ、豚になるシナリオです。よくもこんな美味そうな描写が出来たもんだ。
シージャは両親の仕事の事を否定したくなくて、でも寂しいとか一緒にいたいとかどうして帰って来ないのとか、そういうネガティブな感情も本当で。だから仕事というものが多くの人間にとって自分が思うより夢のないものだって言われたとき「じゃあ自分が我慢している意味って何?」て思っちゃって、そんな事を思う自分が本当に嫌で苦しくなってた。だから自分のその我儘だと思っている部分を肯定されて、どうしようもなく遣り切れなくなっちゃったんだな。だってこんなにも愛に臆病で、愛に飢えてる。

リルケの詩もまさかオリジナル部分だとは思わなかった。天才なのか?何の違和感もなく普通に灰よかにあるものだと思って処理してた。おい、まさかそんなバカな。こんな近しい詩が?見つけてきてくれてありがとう、すげぇ悩まされたよ。私は芸術とか詩的センスが一切ない人間だから。何を言っているんだお前は?になってた。伏せの全文も読んだけど、震えちゃったな。か弱い命だからさ。



3日目昼から怒涛だったね。探索順、結構ばらけさせたつもりだけど上手い事情報の整理がしやすい感じで助かった。3日目昼に書斎へ向かったの正解だったな。ここで急に"わかり"始めて面白かったよ。それまで沙羅の事もしかして殺人鬼だったりしてとか頭のおかしい人なんだと思ってたけど、「ああ、さらさんって可哀想な人なんだ」になった。まあ頭はおかしかったんだけど。
離れの最初の描写、本当好きだな。灰、灰の側に立てば形あるものは全て虚しい、貴方も虚しい。この言葉好きだ。ここでの沙羅の全く感情を感じ取れない言動も好き。この事態を全く"異常"だと感じていない、感じる者が無くなってしまった状態がわかって怖かった。

今まで問題事を全て見ないふりして回避して、都合のいい人間とか八方美人とか、そういった生き方をしてきたシージャにとってこれから自分に求められている事を考えるのが苦痛だったな。自分で全て決めないといけない、自分で選んだ道の責任を取らないといけない。自分だけじゃなく沙羅の事も、もしかしたら数多の全くの赤の他人まで巻き込む事になる。その責任感がシージャには耐えられなかった。ここで沙羅が「帰る」という言葉を出さなかったら、家が燃やされる事って無かったのかも。シージャの中で帰る『家』というのは既に存在していなかったから。帰る"人"しか。『何も考えたくない、正しい道がわからない。貴方はここまで一人で歩いてきて、そこにはどこにも、分かれ道なんてなかったような気がするのだ。けれど今、貴方の前には、いくつもの道が並んでいるのが見えている。』この言葉、染みたな。

沙羅を2度嘔吐させたわけだけど、させてよかったよ。ここ気持ち良かった~ここからずっと俺のターン。沙羅の弱点を見つけたみたいな、弱い部分を見つけてそこを突いて本格的に"可哀想な人なんだ"って愛おしさが湧くみたいな。自分を強いものだとは感じた事が無くていつもどこか弱者だと思ってて、そんな中自分より弱くて可哀想でおかしくなっちゃって憐れで愚かでバカバカしい姿を見て、愛になっちゃったんだな。可哀想で可哀想で、そんな沙羅の事を抱き締めて大丈夫だよって守ってあげたくなった。誰かにずっとそうしたかった。父親が身を呈して家族を守るような、真っ先に駆け出して恋人に抱き着くような、初めて我儘を通して譲ってもらったぬいぐるみへの愛着のような。そういう犠牲的で自己的な愛を見つけちゃったんだなあ。沙羅に抱き締めてもらったとき、全部を投げ出そうって決めたんだよ。沙羅が大人しくシージャの腕の中に来てくれれば、このまま住む選択肢にもなったんだけど。我儘に甘えるか、受け止めて甘えさせるか、その2択だったから。
え?じゃあやっぱ沙羅の所為じゃん。3ターンで戦闘終わったのもお前の"覚悟"が弱い所為。格が違ェよ、上がって来いこの愛のフィールドまで。


シージャの行動で逐一独り言を書いたりしたんだけど、普段得たものをそのままフンフンって流して進めてもらってたから今回「どういう人なんだろう」とか「明日から運動しないと」とか書く事によって次に探索者が何をするかの指針になってやりやすかったなと思った。行動宣言、するが良しなんですね。これに慣れていきたい。
一人称も普段は「あーし」なんだけど、自分の意志をはっきり主張したり真剣みを持たせたりしたいとき「あたし」に変えててちょっと自己満足してる。探索個所の宣言でも『見る』『眺める』『覗き込む』とか些細だけど変えられてよかった。こういうのも楽しいね。あと沙羅の名前をわざと下っ足らずなあざとい感じの「さらさん」にしたのもわざとです。名前を平仮名で呼ぶのは私なりの可愛さアピールなので。

なんかあまり上手く言語化出来ないな。取り敢えず今はこの辺で終わってやる。