雨月 ひより
2024-03-04 00:30:05
4560文字
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Break time to think about small ambitions

Twitter(X)のハッシュタグ『#怒らないから正直にどんな小説を書いて欲しいか言ってごらんなさい 』で頂いた『ビッグモス×オートスティンガー』のお話。
CPよりかビッグモス←オートスティンガーな感じのお話です。
タイトルは『小さな野望を考える休憩時間』と言う意味です。
※Google翻訳にて。

ドゴゴゴゴ!
ガガガ!!

俺達、オートローラーズは今日も地下でいつものように作業に追われている。

デストロン軍と言えど俺達は所詮、雇われ兵。

基地の中になんて今まで行ったためしがない。

俺達は惑星ガイアに来てからずっとこの地下で作業しているんだ。

地下にも基地を造ろうと考えているらしく、俺達はずっと穴を掘ったり、穴を掘ったり(他にもやっていることはあるが)を繰り返している。

今の所、地下の基地は半分も完成していない。

当初の予定よりも作業がかなり遅れているんだ。

遅れているのは俺達の所為ではない。

明らかに人数が足りないからだ。

俺を入れてもたった四人しかいないんだ。

四人で作業を分担しても一日に出来ることは限られている。

何処かが足りなければそこに応援に行かなければならない状態が続く為に、効率良く進まないんだ。

それなのに上の連中ときたら、こっちのことは何も分かっていない。

毎日催促やら説教やらの通信してくるから気が滅入る。

あ、今日も来やがった。

ガチャッ

「だー!腹立つな!ったく!!」

オートジェッターが乱暴に通信機を置く。

催促やら説教やらをくらうだけで一日の作業のモチベーションが下がる。

催促も説教した所で作業効率が上がる訳がないのに、上の連中はそれしかしてこない。

そんなに催促するなら自分達も此処に来て俺達の作業を手伝えば良い。

何なら、アイツ等が俺達の代わりにやれば良いとさえ思う。

地下に基地を造れとの命令は初めに惑星ガイアに降り立った時に、デストロン機甲軍破壊大帝ガルバトロン様から仰せつかった。

それ以外の指示はあとは他の上の連中となった。

はっきりと催促するのや、おかしな話し方で説教するのもいるが、嫌味ったらしいのもいる。

どれも嫌だし、腹が立つがはっきり言ってくれた方がまだマシだ。

「お、そろそろ休憩時間か」

ずっと地下にいる為、時間の感覚がまるでない。

共に作業をしているオートクラッシャーの体内時計で把握した。

何故か奴の体内時計は現実時間ピッタリなので役に立っている。

「オートスティンガー、先に休憩に行ってきてくれ」

休憩時間は最低でも一人一時間程は取るように最初に決めた。

だが、人数が四人ではあまり休憩時間を決めた分まで取れないので、ほぼ口約束な状態だ。

また時々、休憩時間を返上している位だがそれでも足りない。

ただでさえ作業は遅れているのに代わる代わる休憩で抜ければ更に遅れてしまうと言う悪循環に既に陥っていた。

体内時計が正確なオートクラッシャーから先に休憩に入るよう言われる。

「分かった」

「ほらよ!」

一旦、作業の手を止めると、オートジェッターから休憩物資を投げられ、それを受け取る。

トランスフォーマーも栄養を摂取しなければ体力が保たない。

休憩物資を手に持ち、俺は地上に出る。



「クソ暑い

地上に出ると辺りは拓けているだけで何もなかった。

少し進むと崖の上と出る。

崖の上からは惑星ガイアの青い海が広がって見えた。

太陽の光で水面が輝いていて崖の上からでもかなり眩しい。

おまけに、惑星ガイアは今は真夏だ。

太陽に照らされ、俺の鋼鉄な身体も暑さと熱で溶けそうだ。

「今は大体、昼か」

太陽は俺の真上にあるから、どおりでいつもよりも暑く感じる訳だ。

「どっこいせ」

日除けを探すのも面倒くさいからその場で腰を下ろすと、地下で受け取った休憩物資を齧る。

ガリッ

これが俺の今日の飯だ。

トランスフォーマーの飯はこのエネルゴンを固めた物だ。

色も沢山あるし、形だって様々だ。

俺の今日の飯はエネルゴンをキューブ型に固めた物だ。

これを食っておけば一日どうにかなる。

味なんかはしない。

飯にこだわりはなく、ただ腹に収められればそれで良い。

空腹感が満たされるだけで構わない。

ゴリッ、ゴリッ
ゴクッ

「ふぅ

飯を食い終わったらあとは時間まで休憩するだけだ。

その間、特にやりたいこともないし、こんなクソ暑くては戦いたくもない。

…………………………

この崖の上からでも遠くの海は見える。

その海の音が此処にも聞こえてきたが、それ以外は何も聞こえてこない。

クソ暑いが外はこんなにも快晴なのに生き物の音は何も聞こえてこないんだ。

あまりの静けさで、少々恐い。

ブブブブ

しかし、海の音に混じり僅かに違う音も聞こえてきた。

それは鳥の羽ばたきではなく、虫が羽を擦るような音だ。

何処かで虫が飛んでいるのだろう。

「あ

空を見上げると羽音を出している者の姿があった。

(ビッグモス!)

かつて、傭兵だった頃に助けてやったビッグモスだった。

ビッグモスの隣には違う虫の奴もいる。

その場でホバリングをしながら二人で何かを話しているようだった。

二人の羽音は聞こえるが、何を話しているのかまでは此処からでは分からない。

(奴等は奴等で何か考えているんだろう

ビッグモスが所属しているのはインセクトロンだ。

あいつ等はデストロンにも、デストロンの最大の宿敵でもあるサイバトロン、どちらにも属してはいない。

インセクトロンの連中は全員、戦いが大嫌いだ。

トランスフォーマーに生まれてきた以上、常に戦いが付き纏う。

戦いを避けることは出来ないのが宿命だ。

それなのに敢えて避けようとしているのは腑抜け以外の何ものでもない。

それをあの時、ビッグモスに教えたかった。

傭兵だった頃に助けてやった恩もだが、俺はあいつと組みたいと思ったんだ。

この惑星ガイアで久々に会ったあいつは何とも情けない奴になっていた。

俺が知っているビッグモスと言うのはそんな奴ではなかった。

何があいつを変えたんだ?

何故あいつは戦いを嫌うようになってしまったんだ?

「チッ

このクソ暑さの所為で考えがまとまらない

その間に、ホバリングをしていたビッグモスともう一人の虫は話が終わったようだ。

ビッグモスともう一人の虫は二手に分かれる。

もう一人の虫のことを見送るとビッグモスはこっちを見た。

あいつと目が合ったような気がした。

いや、気がしたではなく本当に目が合ったんだ。

あいつがこっちに向かって飛んで来たんだ。

「スティンガーじゃないか」

「よぉ、ビッグモス。元気そうだな」

この惑星ガイアでビッグモスと会うのはこれで二回目だ。

久々に再会したあの時からまた大分、時間が経っていた。

さっき別れたもう一人の虫と話していた時と同じように、ビッグモスはその場でホバリングをしている。

「ツレは良いのかよ?」

「あぁ、トンボットのことか?あとで落ち合うことになっている」

「ふーん

傭兵だった頃とは随分と違う。

話し方も表情も穏やかだ。

今のビッグモスはそんな話し方と、顔をするんだな。

それをさっきの虫の一人や他の連中にも見せているのか。

俺はあの頃のビッグモスの方が良かったのに、今じゃあの頃の姿はなくなって、すっかり腑抜けたツラをしてやがる。

こんな戦いを忘れた奴に今の俺の気持ちを言った所で伝わる訳がないな

本当は、再会したあの時に一度断られたが、ビッグモスとまた会うようなことがあった時に、俺はもう一度誘う気でいたんだ。

『俺と共に組まないか』と。

傭兵だった俺達は互いに敵対する者同士だったが、あいつの実力は知っていた。

敵ながらあっぱれと言うやつだ。

だからこそ、あの時あいつを逃すことで恩を売った。

俺もオートローラーズではなく、あいつもインセクトロンとしてではなく、それぞれが一人の傭兵として、二人でまた傭兵になろうと本気で思っていたんだ。

今度は互いに組んでだ。

俺達だったら何があっても必ず成し遂げられる。

俺達が組めば最強だ。

誰にも負けはしない。

俺達を雇った主に勝利をあげられる。

さっきは腑抜けになった奴に俺の気持ちを伝えた所でとは思ったが、やっぱりそれは諦めきれない。

「なぁ、ビッグモス

そのことを伝えようとあいつの名前を呼ぶ。

「飛んでいたらたまたまスティンガーが視界に入ってきたから来てみたんだ。すまん、今日はこれから用事があってまたいずれな!」

地に降りずホバリングをしていたのはその為だったんだ。

きっと、さっきの虫の一人の所に行くんだろう。

それから、他のインセクトロンの連中の所にもな。

「お、おう。またな

「じゃあ、また!」

俺に背を向けるとビッグモスはそのまま飛び去ってしまった。

「チッ!」

用事があると言ったあいつの声はとても楽しそうだったし、顔も嬉しそうだった。

それはきっと、さっきの虫の一人と他の連中の所に行くからだろう。

結局俺は、そのことを伝えられなかった。

うまくいかなくて舌打ちをする。

あの時、惑星ドロスから逃したあいつのことを気にかけなかった日はなかった。

ずっと、生き延びていてほしいと願っていた。

ビッグモスを逃がす時、あいつは最後に『いつかまたお前と会った時に必ず恩を返す!』と言った。

だからそれを待っていたんだ。

再会した時に二人で傭兵を組むことを願っていたんだ。

結局はあの時、売った恩は別の形で返されたがな。

だが、もう恩は関係ない。

何が何でも俺と組んでもらう。

その為にはあいつをインセクトロンから引き離さなければならない。

(どう言う風にしてビッグモスをインセクトロンから除隊させて、俺の所に引き入れるか



ピピピッ

『オートスティンガー!休憩時間終わったぞ!早く戻って交代しろ!』

あれこれ考えていた所に腕の通信機が鳴ってボタンを押すと、オートジェッターの不機嫌な声が辺りに響く。

また上の連中の誰かから催促か説教の通信があったんだろう。

実際に見てはいないが、オートジェッターの不機嫌な顔が目に浮かんだ。

休憩時間の開始の時には俺の真上にあった太陽が少し傾いていた。

幾らかは時間が経ったんだろう。

こうなると俺の休憩時間は終わりだ。

「あぁ、すまん。今から戻る」

ピッ

通信機を切ると立ち上がって元来た道を戻る。

今日の休憩時間はこれで終わりだ。

次はまた明日の予定だ。

今日の今頃になるのか、早くなるのか、遅くなるのか、それとも無しかはまだ分からない。

とりあえず、上の連中からもう煩い催促やら説教をくらわないように作業していくしかない。

今までは特に目標もなく作業してきたが、新たな目標が出来たから早く完成させてそれに取りかかりたい。

いや、これは目標と言うより野望だ。

世界征服よりは小さな野望だが、俺にとっては大きなものだ。

(少しずつ作戦を立てていかないとな

作業しながら考えていこう。

新たな野望への考えを練りながら、地下での作業を再開する為に降りて行った。