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雨月 ひより
2024-03-03 23:42:47
4572文字
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秘密だらけの私
Twitter(X)のハッシュタグ『#私の嫌いな食べ物を当てた人に小説を献上する』
『#ふぁぼした人の絵を勝手に小説にする』でリクエスト頂き書いたお話。
内容は『スマブラDXリンク×スマブラXポケトレ
スマブラXのポケトレがもしも女の子だったら…のお話。
(女の子だと言うことがバレるか、バレないかはお任せ)』なので色々妄想しながら書きました!
※キス描写が含まれますのでご注意下さい。
スマブラ第三回大会には本来、招待されることのない人達が何故か紛れていた。
かく言う私もその一人だ。
ただ、このスマブラの主催者であるマスターハンドから事前にその許可を貰っていた。
私は本来此処に招かれているある人の代わりに来たんだ。
主催者であるマスターハンドには一応、そのことを伝えると『諸事情であるなら今回は特例として認める』と許可してくれた。
本来なら代理は認めないことらしいのだけど、今回は特別みたい。
どうして今回だけなのか理由を聞こうとしたら、マスターハンドはもういなくなっていて出来なかった。
「はぁ
…
」
今大会が開かれてからもう数ヶ月が経っていた
…
。
主催者であるマスターハンドを除いて今大会の参加者誰一人にも代理がバレないようにこのことを隠して今日まで生活して来た。
私は今大会が初めての参加もあって分からないことだらけだ。
此処に来て初めて会う人達ばかり、名前を聞いても誰一人として知らないので、名前も顔も一致しないし、話せる人もいなくて馴染めていなかった。
けど最近になって話せる人がやっと出来たんだ。
(あ、リンクさんだ)
私の前を(前と言っても少し離れているけどね)リンクさんが通り過ぎて行くのが見えたんだ。
リンクさんだけが私が唯一話せる人だった。
彼は前大会の参加者だったけれど、今大会では違う世界から来たリンクさんが参加することになっていて
…
。
同じ名前なのに全然違う世界から来たって言われても何だか分からないことになっていた。
私も全く理解出来ていない。
でも、彼の場合は私とは違い今大会では選ばれなかったけれど、此処にいたければ好きなだけいても良いとマスターハンドに言われたって聞いたからお言葉に甘えてそうしているみたい。
リンクさんは誰にでも優しくて、おまけにカッコ良くて他の女性からも慕われていてとても良い人だ。
信用出来るし、唯一話せる仲だけど私が今大会の代理で来ていることを話すことが出来ていなかった。
これはリンクさんだけじゃなくて他の人達にも言えていないけど。
そして、代理のこと以外にももう一つ言えていないことがある。
それは私が女であるってこともリンクさんにも、今大会に参加している人達全員にも言っていない。
勿論、主催者のマスターハンドにさえ言っていなかった。
最初は言わなくても良いと思ったからそうしたんだけど、ここ最近はそのことに何か疲れてきたんだ。
バトル以外の生活が息苦しく感じてきていたの。
あぁ、性別を隠して生活するのも楽じゃないなぁ
…
。
私と一緒に来たポケモン達だけでなく、人間ではない人達もいて、その人達は匂いにはとても敏感で危うく私が女であるのがバレそうになったことがあった。
私のポケモン達には代理だと言うことを此処に来る前に伝えていて、彼等も理解してくれて話も合わせてくれる。
その時の彼等のおかげで私が女であることがバレずに済んだ。
此処はとても不思議な場所なんだ。
此処に来たら何故だか自分の持っているポケモン達とも話すことが出来るようになったからだ。
主催者兼管理者でもあるマスターハンドの力のおかげらしいんだけど誰も詳しいことは分からないって、これもリンクさんから聞いたことだった。
ポケモン達と話すことが出来たら良いのにな
…
ってずっと思っていたから、それが叶ってビックリしたのと同時に嬉しさも溢れたんだ。
彼等の気持ちも聞くことが出来るようになって嬉しかったことは、いつか此処を去ることになってもずっと忘れない。
「ん?レッドくんじゃないか」
私に気付いたリンクさんはこっちに歩いて来た。
リンクさんは私のことを『レッドくん』と呼んでくれている。
でも私の本当の名前は『レッド』じゃない。
本物のレッドくんはまだこのスマブラには来ていないんだ。
私はまだ来ることが出来ない本物のレッドくんの代わりに此処に来たんだ。
レッドくんは今やっていることが終わったら此処に来ることになっていて、ついこの前、彼から連絡があった時に『もうすぐ終わるから近々こっちに行けそうだ』と言っていた。
つまり、私がレッドくんと変わる番が近いってことだ。
代理での参加もそろそろおしまい。
レッドくんが此処に来ることになった時、私が此処を去る時がもうそこまで来ていた。
「レッドくん、顔色悪そうだけど大丈夫か?」
そうだ、今、私の具合を心配してくれているリンクさんともお別れが近いんだ
…
。
折角話せる相手が出来たのに、寂しくなるなぁ
…
。
あ、そうだ、リンクさんにもお別れの挨拶した方が良いかも
…
。
(でも
…
)
リンクさんには私が女であることを未だに話していないし、きっと私のことを本物のレッドくんだと信じているから、このまま本物のレッドくんが来るまでは今までどおり接していた方が良いのかもしれない。
これから此処に来るレッドくんに負担をかけないようにするのも代理を任された私の仕事だもんね。
そうだ、そうしよう。
普段どおりに話そう。
「大丈夫、です
…
」
言葉を発した同時に目の前に来てくれたリンクさんの顔が滲んで見える。
目の奥も熱くなってきたと思ったら頬には冷たい何かが流れてきた。
(何で、私
…
)
全然、大丈夫なんかじゃなかった。
これじゃ、リンクさんに大丈夫だと言ったことが嘘だったとバレたようなもんだ。
「っ
…
」
頬に流れた冷たい何かを隠すように慌てて帽子を深く被り直して下を向いた。
下を向くと床には水滴が落ちていた。
これはたった今、私の頬から流れ落ちたものだ。
私の、涙だ
…
。
バッ!
突然、被り直した帽子が取られた。
「えっ
…
?!」
バサァ
…
顔を上げると、それまで帽子で隠していた私の長い髪が露になる。
私の長い髪の一部分と私が被っていた帽子を手に持つリンクさんが視界に入ってきた。
突然、私の帽子を取り上げたのはリンクさんだったんだ。
「か、返して下さいっ
…
!」
グイッ!
帽子を取り返そうとリンクさんへに手を伸ばすと、リンクさんは私の頭の後ろに手を添えて引き寄せ、そのままキスをしてきた。
「っ
…
!?」
帽子を取り返そうとして何故かキスをされて、何がどうなっているのか分からない。
私にキスをしているリンクさんは目をぎゅっと閉じている。
頬も薄赤くなっているから、咄嗟にしたことだったのか。
いや
…
普通、咄嗟のことでキスをしたりするんだろうか?
誰かが通るかもしれないこんな廊下で、しかも目立つ所でキスされるなんて
…
。
「う、っ
…
」
キスで唇を塞がれて苦しいし、手を伸ばしてもリンクさんの方が背が高くて届かないので帽子を取り返すことは諦めた。
パサ
…
私が被っていた帽子はリンクさんの手から離れ床に落ちた。
キスをしたままリンクさんは帽子を離した手を今度は私の頬に添える。
手の甲を覆う焦げ茶色のグローブとグローブから僅かに出ている指、二つの違う感触が私の頬に触れてくれる。
私の頬は先程、流れた涙で濡れているのに、そっと指で拭ってくれた。
(リンクさん
…
)
キスで唇を塞がれていて話すことが出来ない。
色々話さなきゃいけないこともあるのに、リンクさんは離す気がなそうだ。
話が出来る唯一の相手であるリンクさんから突然、こんなことされるとは思わなかったけど、決して嫌じゃない。
優しいし、顔が整っていて綺麗で、とてもカッコ良くて他の女性にもモテるし
…
で私も良いなって思っていたから嬉しいことだった。
だから突然のことだったけど私も自然に受け入れられたんだと思う。
それに、今ならリンクさんを独り占めに出来るし、こんな間近でリンクさんの見たことない表情も見られる
…
。
お別れになるかもしれない寂しさもあるけど、今はこの時間を大切にしたい。
私も目を閉じてリンクさんが与えてくれるキスの感触を味わうことにした。
目を閉じた時に、また涙が頬に流れたのが分かった。
そのあとリンクさんに抱き寄せられたような気がした。
それが何だか私のことを慰めてくれるように感じて、応えるように私はリンクさんの肩へ腕を回した。
リンクさんはきっと私が女であることを知っている。
でなければ私にキスしたり、抱きしめることなんかしない。
私が女であることを隠しているのも知っていて敢えて気付かないフリをしていてくれたのかもしれない。
何かの拍子に気付いて驚いたかもしれないのに、私には何も言わないでずっと普通に接していてくれたことも嬉しかった。
キスのあと、あの距離から近かった私の部屋で二人で一夜を過ごした中で色んな話した。
そこで本物のレッドくんが近いうちにスマブラに来て私は此処を出ることも話すと『それなら自分と同じように好きなだけいれば良い』と言ってくれた。
そのことを決めるのはマスターハンドだけど、自分がそう出来ているのなら多分、問題はないだろうと思うって教えてくれた。
それなら私はこれからもリンクさんと一緒にいられるし、バトル以外でもリンクさんと何処かに行くことも出来る。
それと最後にもう一つ
…
。
私達はこっそりと付き合うことになりました。
勿論、私が女であることはポケモン達とリンクさんだけが知る秘密で、本物のレッドくんが此処に来るまでは他の人達にも秘密にするつもり。
でも、バレそうになった時には隠さないで正直に話すことにします。
自分のポケモン達だけでなく唯一、話せた相手のリンクさんと秘密を共有出来るようになったことが一番嬉しい。
バレることにヒヤヒヤして疲れていたことが少しでも解消されて本当に良かった。
これからも楽しく生活出来そう。
あ、でも今度は違うヒヤヒヤを味わうことになるのか。
スマブラは恋愛禁止って訳ではないみたいだけど、私達は他の人達とはちょっと事情が違うから内緒のお付き合いになるので。
秘密のお付き合いは楽しいからこれはもう少し味わっていたいかも
…
。
バレたら他の人達はどんな反応するのか見てみたい気もするけども
…
。
「レッドくん、行こうか」
「はい!」
今日はバトルが入っていないので、これからリンクさんとお出かけすることになっているんだ。
何処へ行くかはまだ決めていないけど、決めながら歩くのも悪くない。
それに今日、これがリンクさんとの初めてのデート。
と、言っても私は『レッド』としているから周りからだと友達と遊びに行くようにしか見えないけど、私達にはデートなんだ。
リンクさんも気を遣って他の人達がいる時は『レッドくん』って呼んでくれるんだけど、二人だけの時には私の本当の名前で呼んでくれるんだ。
あの夜に私の本当の名前も教えたんだ。
私の本当の名前は
…
。
『行ってらっしゃ〜い、気を付けてね〜!』
「は〜い!」
バタン!
他の人達の挨拶に送られて私達はスマブラのお屋敷を出た。
これで私達の秘密の共有がまた一つ増えたのだった。
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