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雨月 ひより
2024-03-02 23:05:31
3978文字
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date of encounter
Twitter(X)のハッシュタグ『#リプきたキャラもしくはCPの小説を書く』で書いたお話。
リクエスト内容は『ビグライプラスジュニアで、ほのぼの系かギャグ系』とのことでしたのでライオジュニア視点でのお話にしてみました。
タイトルは『遭遇日』と言う意味です。
※Google翻訳にて。
部屋を出てすぐのことだった。
「貴方って人はっ!」
「君こそ!」
誰かが何か言い争っている声が聞こえてきた。
(何を揉めているんだろう?)
僕がいる場所からでは何を言っているのかは分からないけど、声色からすると和やかな雰囲気ではないことだけは分かる。
他にも何か色々言っていて、僕がそこへと近付く程に声は大きくなっていく。
「あっ
…
」
角を曲がると二つの影が廊下を塞いでいるのが一瞬だけ見えて慌てて僕は元来た道を戻った。
別に僕は何も悪いことをしていないから隠れる必要なんてないのに、何故かつい隠れてしまった。
(困ったな、こっちに用があるのに
…
)
此処以外にも他にメインルームに行くルートはあるけど、此処が一番近いからいつも通っているのに、今は二つの影に塞がれてしまって通ることは出来ない。
(誰なんだろう?)
僕の行く手を塞いでいる二つの影の正体を知りたくもあり、少しだけ覗こうと曲がり角から顔を出してみた。
(父さんと、あの人は
…
)
二つの影のうち一人は分かった。
僕の父でもあり、このサイバトロンの総司令官であるライオコンボイだ。
父
…
ではあるけど、今は任務中だから司令官、もしくはライオコンボイと呼んでいる。
(あ、思い出した。あの人はビッグコンボイ
…
さんだ)
もう一つの影、ライオコンボイと何かを話していた相手は同じくサイバトロン所属(ただし、僕達の隊とは別の所属)のビッグコンボイさんだ。
僕は直接、ビッグコンボイさんと会ったことはなく今初めて彼の姿を見た。
彼のことはライオコンボイから、休憩中に少しだけ話を聞いた程度だ。
(来ていたんだ
…
)
彼もライオコンボイと同じく司令官の立場にあるから忙しいと思うのだけど
…
。
この基地に、と言うかライオコンボイに用があったから来たんだろう。
通信では伝えきれない部分があったから直接会って話し合うことになったのだろうか。
こうして二つの影の正体は分かったけど、二人は何を話していたんだろう。
僕が今、見ている状況で言えば、仲良く話しているとは思えない。
何らかの理由で言い争いにまでなってしまったのか。
部屋を出てすぐに聞こえたさっきの声は恐らくあの二人から発せられたもののはずだ。
僕以外には他には誰もいなかった。
廊下を塞ぐ二人の間には妙な空気が流れているようにも見える。
あれからお互いに何も話さないでただ、見つめ合っているだけなんだ。
二人共、マスクで口元を覆っていてその下ではどんな表情をしているのかは想像しか出来ない。
(下唇を噛み締めているか、それともへの字に曲げているとか
…
?)
考えてみたけど、二人がマスクの下でどんな表情をしてお互いを見ているかの想像はこの辺でやめておこう。
さて、どうしたら良いのか。
あの二人の間を素知らぬ顔で通り過ぎる勇気は持っていない。
何より二人の間を漂っている空気が重たすぎてその中に飛び込みたくない。
見なかったことにして、このまま引き返して別のルートからメインルームに行こうかな
…
。
此処の方がメインルームに行くには近いけど、あの状況を見ると、わざわざあの二人の間を通って行かなくても引き返して別のルートから行った方が早いかもしれない。
「はぁ
…
」
こんなことになるなら部屋を出た最初から別のルートで行くことも考えておけば良かったな
…
。
そこの所を把握出来ないようじゃ僕もまだまだだ。
でも今、こうして学べたから次に活かせるはずだ。
良い勉強になったかな。
…
そう思うことにしてため息を吐いて曲がり角から顔を離した。
「すみません、でした
…
」
僕が曲がり角から顔を離してそのまま行こうとしたらまた声が聞こえた。
もう一度、覗くとビッグコンボイさんがライオコンボイに頭を下げていた。
さっきの謝った声は彼から発せられたものだったんだと分かった。
「いや、私の方こそ、済まなかった
…
」
ライオコンボイもビッグコンボイさんに謝っていた。
何かを言い争っていたのは間違いないけど、どんな理由で謝る状況になったのかはこれだけじゃ分からない。
最初から見ていた訳ではないから情報が足りなさすぎる。
(いや、見たかった訳じゃないけど
…
)
今はたまたま遭遇しただけであって僕は人の口喧嘩を覗いたり、あれこれ考察したりする趣味はないよ
…
。
確かにどんな状況であの二人が言い争いになったのかは気になることではあるけども。
普段は物静かなライオコンボイが声を荒らげるなんて、それは余程のことかもしれないから。
「その、貴方が余りにも無茶をしていて
…
」
「あれ程のことが無茶をしているように君には聞こえたのか?」
「そうですよ!俺がどんな気持ちで貴方のことを思っているのか、まるで分かってない
…
」
「ビッグコンボイ
…
」
(え
…
?)
僕は何を見せられて、聞かされているんだろう。
いや、勝手に見て、聞いていただけなんだけども。
それまでの重たすぎの空気は一気になくなり、二人の間には和やかな雰囲気が漂い始めた。
(何だろう、この状況
…
)
上官でもあるけど自分の父親と、その後輩(前にライオコンボイから聞いた)の些細な揉め事
…
の後のこの良い雰囲気と言うものを何が楽しくて見て聞くことになってしまったのか。
(これが痴話喧嘩ってやつ、なのかな
…
)
少しだけ見て聞くことになってしまった二人の些細な揉め事を簡単にまとめるのなら、ライオコンボイが何か無茶なことをしてビッグコンボイさんを心配させてしまって、そのことで言い争いになった
…
と言うことか。
そして今、仲直りをしようとしている。
(だめだ、展開が早すぎてついていけない
…
)
この際、仲直りしてくれるんだったら何でも構わない。
さっきまでは別のルートから行こうと思っていたけど、何だか決着がつきそうだ。
僕だっていつまでも此処にいる訳にはいかないから、退いてくれるのなら助かる。
「では、その続きは部屋で聞こうか」
「はい」
廊下を塞いでいた二人がやっと退いてくれそうだ。
『話の続きは部屋で
…
』とライオコンボイがビッグコンボイさんに促した所で二人が歩き出した。
二人の姿も声も足音もしなくなってやっと曲がり角から全身を出すことが出来た。
「はぁ
…
」
偵察の時よりも疲れるのは何故だろう。
敵の動向以上に自分の身近な人のプライベートに踏み込んでしまったからなのか。
何回でも言うけど、僕は別に見たかった訳でも聞きたかった訳でもない。
今回たまたま遭遇してしまってあの状況を見て、聞いてしまっただけなんだ。
(それにしても途中から何か良い雰囲気になったのは気のせいかな
…
?)
任務が終わってもライオコンボイのあんな顔(マスクで口元は隠れているけど何となくで)を見たことがなかった。
ビッグコンボイさんだけには見せるのだろうか。
素のライオコンボイを唯一、引き出してくれる存在。
つまり、それは
…
。
(二人はそんな関係
…
)
父さん、貴方いつの間に
…
。
いつも任務、任務と忙しなくしていてたまの休暇でも寝ているのを見ていたから、勝手に恋人はいないと思っていたんだけど突然、こんな日に遭遇するとは
…
。
でも、良かった。
僕よりも長くライオコンボイのことを知っている人だったら安心して任せられる。
ビッグコンボイさん、ライオコンボイ
…
父さんのことを宜しくお願いします。
父さん、おめでとう。
末永くお幸せに。
「若、こんな所で何しているんですか?」
既に見えなくなった二人の幸せを心の中で願っていると、後ろから声をかけられた。
「えっ?!あっ?!」
突然声をかけられたことによってびっくりして変な声が出てしまった。
振り向くと僕のほぼ真後ろにスカイワープとサントンがいた。
そして、僕に声をかけたのはスカイワープの方だった。
「二人共、何でそこにいるの?!」
「若こそ、曲がり角でずっと立ちっぱなしで何していたんですか?」
「えっと、それは
…
!」
言える訳がない。
ライオコンボイとビッグコンボイさんの痴話喧嘩を見ていたなんて、言える訳がない。
見ていたと言うか、見せられたと言うか
…
。
どちらにしろ言える訳がない。
「な、何でもないよ!ただちょっと考え事をしていただけさ!」
「それなら別に良いですけど
…
」
少し苦しい言い訳だったけど何とか信じてもらえた。
多分、気にはなっただろうけどそれ以上のことは聞いてこなかった。
二人共、詮索するタイプじゃない所がありがたい。
「それよりも早く、メインルームに行きましょう。他の者も待っていますし」
スカイワープの隣でサントンも頷く。
「分かってるって、もう
…
」
もうライオコンボイもビッグコンボイさんの姿も見えないし、音も聞こえないから此処を通っても大丈夫だろう。
それに、いつまでもこんな所にいてもしょうがない。
スカイワープの言うとおり、早くメインルームに行かないと他の皆も待っている。
今日はライオコンボイは非番だったことを思い出した。
(だから、ビッグコンボイさんが来ていたのか
…
)
ライオコンボイが非番の時、僕に慣れさせる為にあれこれ用事を任せることがある。
勿論、副官のアパッチ、スカイワープとサントンも補佐してくれる。
他の皆も色々教えてくれるし、期待に応えられるように頑張らないと!
「じゃあ、行こうか」
『はい』
途中で会ったスカイワープ、サントンの二人を引き連れて僕はメインルームへと向かった。
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