Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
雨月 ひより
2024-03-02 21:18:41
2144文字
Public
Clear cache
パン言葉
Twitter(X)のハッシュタグ『#リプもらった番号のワードを使って文を書く』でリクエスト頂いたフォファル。
指定番号4番 ブリオッシュ『触れる、心地、秘めた想い』です。
リビングに入るととても良い香りが漂っていた。
でも、その良い香りはリビングではなく、その先のキッチンから漂ってきたもののようだ。
誰かが料理したあとだろう、キッチンを覗くと誰もいなかったが、テーブルの上には焼き立てのパンが置いてあった。
この香りの正体は焼き立てのパンの匂いだったんだ。
「良い匂い
…
」
皿の上に焼き立てのパン、かなりの大きさが乗っており隣にはメモ書きが添えてあった。
『ブリオッシュ
…
を焼いてみた。良ければ食べてみて欲しい シモン』
料理をしていたのはやはりシモンさんだった。
スマブラに来て料理にハマったみたいで、様々な国の料理を作ったりすることもある。
本を読みながら、調べながらだから初めて作った物ばかりだったがとても美味しい。
スマブラに来ての俺の楽しみが、シモンさんが作った異国の料理を食べることだ。
分量通りに作っているようで今の所ハズレがない。
そして今日はパンか。
焼いてくれた本人は出かけてしまったらしくいなかった。
このパンは『ブリオッシュ』と言うらしい。
このブリオッシュが焼き立ての甘い香りを放ち辺りに漂ってきたのだ。
「そろそろ小腹が減る時間だし、少し貰おうかな」
『食べてみて欲しい』と書いたと言うことは、味の感想が欲しい。で良いのか。
焼き立てのブリオッシュを傍に置いてあったナイフで切る。
切り口から湯気が昇ってきて更に甘い香りを漂わせる。
切った一口をナイフと同じように傍に置いてあった皿に取ると、ちぎって食べてみた。
「美味しい
…
」
柔らかくて食感が心地良い。
流石はシモンさん、今日も当たりだ。
「お、旨そうな匂いがするな」
この香りにつられてファルコもキッチンに顔を覗かせる。
「シモンさんが作ったみたい。本人は不在だけど」
美味しいのでもう一口分ちぎって食べる。
「俺も少し食おうかな」
まだ大きなブリオッシュをそのまま素手で触ろうとしていたから止める。
「これからまだ他の人達にも食べてもらうんだから、こっちにしろ」
俺が切り分けたブリオッシュをファルコに渡した。
皆からの味の感想が欲しいと、言うことは味が分からなければ伝えられない。
残しておかなければいけないので、素手で触ってしまったら他の人達が食べられなくなってしまう。
「ちゃんとナイフで切ったし、まだ焼き立てだから温かいよ。あと、食べかけじゃないから安心しろ」
「俺、まだ何も言ってねぇだろ
…
」
俺が切り分けて二口位ちぎった残りのブリオッシュを渡した。
渡したブリオッシュをファルコも一口ちぎって食べた。
「旨い」
「だよな」
もう少し食べたいが皆の分も残さないといけないから諦めた。
美味しい物を食べると本当に無口になるもんだ。
『旨い』と呟いたあとはお互いに何も言わず、切り分けたブリオッシュを少しずつちぎっては食べたていた。
「分け合うのも、良いもんだな」
「ちっと足りねぇけどな」
「美味しかったし、またシモンさんに作ってもらおうか」
「そうだな」
甘い香りと柔らかな感触が心地良かった。
ふと見るとファルコの口端にブリオッシュの欠片が付いていた。
ファルコは気付いていないみたいだ。
「ファルコ、付いてるよ」
手を伸ばし指の腹で軽く拭き取ってやった。
「おまっ
…
!!」
突然のことでビックリしたようだ。
驚いたような声を挙げ顔を真っ赤にさせていた。
子供のように甘い物に夢中になって口端に欠片を付けても気付かないのが何とも可愛いこと
…
。
口端を拭っての反応も可愛いかった。
「お前の方が食いかけ食ってんじゃねぇかよ
…
」
言われるまで気が付かなかった。
ファルコの口端に付いていたブリオッシュの欠片を取ったは良かったが、どうやら無意識にその欠片を自分の口に入れてしまったようだ。
「そうだったか?」
「忘れたとは言わせねぇぞ」
無意識とは言え、知らんぷりを通すのは無理か。
「まぁ、お前だから良いけどな
…
」
「え?何か言ったか?」
ファルコが何かを言ったような気がしたが分からなかった。
「何も言ってねぇよ、じゃあな」
ブリオッシュを食べ終えるとファルコはキッチンから出て行ってしまった。
「何だよもう、リヒターと同じようなこと言って
…
」
本当にブリオッシュの焼き立ての匂いにつられて来ただけだったんだな。
キッチンは再び俺だけになってしまった。
「知ってるか、ファルコ
…
」
既にいない恋人に向かって呟く。
「最近、パン言葉と言うのを見つけてさ、思い出したんだ
…
」
その中に今日、味見で食べたブリオッシュも入っていたことをさっき思い出した。
「ブリオッシュのパン言葉は『秘めた想い』だ
…
」
秘めた想い。
お前への、だ。
「まぁ、お前がパン言葉なんて知る訳ないな
…
」
ファルコには正直に想いを伝えているから俺には『秘めた』は付かないが。
「言えなかったこの呟きが、『秘めた想い』かな
…
」
そうしておくか。
ナイフと皿を洗い、残りのブリオッシュをラップで包み俺もキッチンから出た。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内