雨月 ひより
2024-03-02 21:08:54
7193文字
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デートはお預け

Twitter(X)のハッシュタグ『#リプきたセリフでSS書く』 でリクエスト頂いたお話。
最後の方少しフォファル要素ですが、子供達に振り回されるギャグです。

「フォックス」

出かけようとシモンさんに伝えると呼び止められた。

「何ですか?」

「大変、済まないのだが



「で、ガキ共のお守り任されたって訳か」

「ごめん、だって

『子供達だけで屋敷の留守番をさせたくない』とシモンさんにお守りを任されてしまった。

「大変、済まないのだが、子供達のお守りを頼まれてくれないだろうか?」

「えっと、あの、他の人達は?」

大人達は全員出かけてしまっていて留守にしているとのこと、シモンさんもこれから用事があるらしく出かけなければならない。

「私も出掛けるから子供達を連れて行きたいとは思うが、生憎、今から出掛ける場所は危険が伴う故、連れて行く事が出来ないのだ

「そうですよね

そんな危険な所に子供達を連れて行きたいとは誰も思わない。

幾らスマブラに参加する程の実力を持つ子供達でもだ。

シモンさんの気持ちは十分、分かった。

「分かりました、俺が一緒に連れて行きますから」

「有難う。折角のファルコとのデートなのに申し訳無い」

出かけるとだけしか伝えなかったのに、シモンさんにはファルコとのデートだと見抜かれていたようだ。

「ファルコにも申し訳無いと伝えてくれ」

「はい」

そして



『行ってきま~す!!!』

俺と子供達は屋敷を出て、ファルコとの待ち合わせ場所に向かった。

それが今。

「シモンさんが『申し訳無い』ってさ」

「へいへい、分かったよ」

ファルコにシモンさんから預かったメッセージを伝え、渋々だがファルコも納得してくれた。

「ねぇ、早く遊びに行こうよぉ~」

子供達が早く行きたくてウズウズしていた。

「はいはい。でも、何処に行きたいんだ?」

『せーの、シュークリーム動物園!!!』

子供達からの行きたい場所のリクエストは動物園だった。

シュークリーム動物園と言うのはネスの世界にある動物園の名前だ。

何故お菓子の名前を付けたのかは分からないが。

第三回大会の時、タブーが支配していた『亜空間世界』と言う所にもその動物園はあったので、恐らくはネスの世界にある動物園の模倣した物だと思う。

「でも、その動物園って確か、廃墟になっているんじゃ?」

今じゃその動物園は廃墟になってしまっている。とネスが言っていたのに何故

「あ、ぼくの世界のシュークリーム動物園はまだ廃墟のままだけど、こっちはマスターがタブーから亜空間世界を解放した時にその世界の施設を全部新しく直したんだって。ぼく達だけじゃなくて、外の世界のお客さん達にも来てもらおう!ってことらしいよ」

80人以上の大所帯をこの世界で住まわすにはかなりの金額がかかるんだろうなと予想はつく。

どの位の金額になるかは想像するだけで恐ろしくなるからやめておく。

「マスターもちゃっかりしてるな

「外の連中を連れて来て金使ってもらえりゃ、俺達の給料も上がるし良いんじゃねぇの?右手袋の癖にやるな」

マスターハンド、その名の通り『手』だ。

しかも右手。

見た目が手袋している感じだからファルコが『右手袋』と言った。

(上がればの話だろ)

ステージのギミックとして一応、グレートフォックスやアーウィンも貸し出してはいるけど、安くもなければ高くもない普通の額。

誰かのステージと比較した訳じゃないから知らないが。

スマブラは催し物的な感じだが初回から参加しているこっちとしてはもう仕事の一部のような物である。

「よし、じゃあ、そのシュークリーム動物園に行こう」

『わ~い!!!』

目的地が決まった所でその場所をあとにした。



待ち合わせ場所から歩いて少し経ち、シュークリーム動物園に着いた。

「お客さん、あまりいないね」

出入口を見てカービィが辺りをキョロキョロ見渡す。

「だって、まだ新しくして日にち経ってないらしいよ?」

出入口には動物園が開園した日付が書いてあった。

日付を見ると数週間前にリニューアルオープン!となっていた。

「まだまだ宣伝途中って感じなんだな」

「でも、騒がしくなくて良いんじゃねぇ?」

来園客達の声よりも動物達の鳴き声の方が大きく聞こえてくる。

まだ出入口にいるのにだ。

「ねぇねぇ、早く行こ~!」

ネスがファルコの腕を引っ張りながら歩く。

「分かったよ、だから、引っ張んな!」

「フーちゃんも早くぅ~」

俺の頭の上に乗っているカービィも急かしてくる。

「はいはい、皆もついて来てー!」

『は~い!!!』

他の子供達も俺のあとに続く。

出入口で入場券を買い、中に入る。

「何から見る?」

パンフレットを貰い、描かれている園内の地図を開く。

「ゾウさん!」

「キリン!」

「ライオン!」

「ゴリラと猿!」

各々が見たい動物達の名前を挙げていくが、ゴリラと猿

「ゴリラと猿はスマブラにもいんだろ?他の見ろよ」

「それってドンキーとディディーのこと?」

「おう」

「ドンキーとディディーはいつも見てるから本物のゴリラと猿見たいの!」

こどもリンクが『猿やゴリラが見たい』と言ったらファルコが『ドンキーやディディーを見ろ』とおかしなことを言っていた。

それにしても二人共、ちょっと失礼だぞ。

ほら、ディディーがめちゃくちゃ怒っているじゃないか。

握り拳でファルコを叩いている。

見た感じは軽めだが、ただ何を言っているかは分からない。

いや、そもそも『ドンキーはゴリラじゃない』ってマリオが言っていたような気がする。

「あー、ゴリラとか象は糞投げるみてぇだからやめとけ」

「やだ!きちゃない!」

「げっ!そんなバッチィんだ!じゃあやめよ~」

ファルコがおかしな雑学を吹き込んだので、早々と諦めたようだ。

いや、諦めさせるなよ。

こどもリンクも言われたからって諦めるなよ



「じゃあ小動物広場はどう?!」

ゴリラとかは諦めたらしく?次は小動物広場を提案。

小動物広場はその名の通り、小さな動物達だけがいるエリアだ。

「カピバラさんが見たいな~」

ネスが小動物広場の看板を見ながらカピバラの絵を指差した。

パンフレットによると、カピバラは世界で一番でかいネズミの仲間らしいと書いてある。

「ネズミならピカチュウとピチュー見りゃ良いだろ」

ここでまたファルコがおかしなことを言う。

「だからー、ピカチュウとピチューもいつも見ているから本物のネズミの仲間見たいの!」

「そんなもんか?ネズミなら屋敷の屋根裏にもいんじゃね?」

「えー!?ヤダー!!」

因みに、家にいる鼠は出くわしたら悲鳴物だ。

間違いなくルイージの叫び声が屋敷中に響き渡るだろう。

最近の話で、台所に茶色のアレが出ただけで一人大騒ぎだったからだ。

(余談、見かねたシモンさんが逃がしてあげていた)



「あっ、なら狐と狼見ようよ!」

小動物広場の近くにある犬科の動物だけがいるエリアがあるようだ。

『じゃあ、そこならどうだ?』と更に提案する。

「あ?狐ならフォックス、狼ならあのクソ狼でも見ろよ」

「フォックス兄ちゃんとウルフさんはいつも見てるから良いよ!本物見たいんだってば!」

「ファルコ、口が悪いぞ」

子供達の前で『クソ』だと言ったのがシモンさんに聞かれていたら多分、叱られそうだ。

子供達があの動物が見たいと言うが、ファルコが何かと屁理屈を付けるので、見たい動物が中々決まらない。

とりあえず、いつまでも園内の案内看板や貰ったパンフレットとにらめっこしている訳にもいかないので、休憩を兼ねて売店に寄ることにした。

売店の外に置いてある椅子に座り、子供達にそれぞれ飲みたい物を買って再びパンフレットを見ていると子供達からこんな話が聞こえてきた。

「そう言えば、ファル兄ちゃんって何の鳥なんだっけ?」

「んー?ハヤブサだっけ?」

ファルコが何の鳥類なのかの話だった。

そう言えば、ファルコの種族は教えてなかったな

因みに隼はファルコンの方だよ。

「あ、ニワトリって誰かが言ってた気がする!」

「チキン食べたいなぁ

ニワトリにしては色が鮮やか過ぎるだろと心の中で思ったその次の発言、チキン食べたいはカービィだな。

園内にあった大きな時計を見ると、そろそろお昼時だから何食べさせるか考えないとな

「あぁ?誰がニワトリだぁ?!」

子供達の話にファルコが突っかかる。

何年経っても不良気質がまだ抜け切っていない。

「だって気になったんだもん!」

「あ!じゃあさ、あっちに、鳥類館があるから見てみようよ!ファル兄ちゃんが何の種類のトリさんだか分かるかもしれないし!」

『そうしよ~!』

何を見るか早々と決めてしまった子供達が、鳥類館に駆け出す。

ファルコは半ば無視された感じだった。

「おい、誰だ今、トリって言ったのは!」

ファルコ、良い歳して子供相手にムキになるなよ



子供達のあとを追って俺達も鳥類館に来た。

猛禽類は檻の中だが、それ以外はほぼ放し飼い状態だった。

「ファル兄ちゃんに近いトリさんはぁ~

「白いフクロウだ!可愛い!!」

「や~ん、エミューがボクのことつつく~!いたぁ~い!」

きちんと調べているのはネス位なもので、あとの子達はそれぞれ好き勝手に見ていた。

カービィはエミューにつつかれていたので慌てて抱える。

「フォックスしゃん、良いんでプか?今日はファルコしゃんとデートするんじゃ

カービィを抱えつつ、子供達の様子を見ているとプリンが隣にやって来て俺の近くでこっそり言った。

「えっ?!」

「ナナしゃんとも言ってたんでプ『フォックスしゃん、本当はファルコしゃんとデートしたかったのにプリン達のお世話することになっちゃった』って

プリンとナナには今日、俺達が本当はデートに行く予定だったことが分かっていたみたいだ。

言わなくても分かるとは、流石は女の子の勘は鋭いな

「此処はプリン達に任せて今からでも二人で一緒にデートすると良いで



「ねー!ファル兄ちゃんが何のトリだか分かったよー!!」

プリンが何かを言いかけた時と同じにネスが多きな声で叫んだ。

『えっ、何!どれ!?』

「アレー!」

ネスが指差す先に見えたのはダチョウだった。

「おい!誰がダチョウだ!!」

「あ~似てるねぇ~」

「お前、適当なこと言うな!何処がだよ、嘘吐け!」

こどもリンクが適当なことを言っている隣でファルコが突っ込む。

ネス、一生懸命考えたんだろうけど、ハズレだ。

「あ、ダチョウさんがファルコ兄の所に来たよ」

何故か一頭のダチョウがファルコの近くまで来ると突然!

グワー!

鳴き始めたと思ったら聞いて数頭来てファルコに向かって襲いかかってきた。

「俺はてめぇらの仲間じゃねぇんだ!あっち行け!!」

しっしっ!と手で振り払いながら逃げるがダチョウ達は近付いてくる。

「お~、ファル兄ちゃんモテモテだねぇ~」

「あのダチョウさん達、女の子なんだよ!」

「いや、メスにちょっかい出された腹いせにオス達が襲ってきたんじゃない?」

「あ、そうも考えられるね!」

子供達はその光景を見ながら呑気に言っていて助ける様子は全くない。

そして遂には

「おい、フォックス助けろー!!」

グワー!!!

ファルコはダチョウ達から追いかけられたのだった。

ダチョウ達の雄叫びが開始合図となって。

俺はと言うと

「ファルコが何の鳥かと言うと、あの鳥だよ」

「キジさんか!」

「本当だ、目の周りの色がファルコ兄と同じだー!」

沢山考えたが、結局、何の鳥だか分からなくて『もう降参!』と手を上げたので、正解を教えてあげていた。

だから、ファルコがダチョウ達に追いかけられていることには全然気付かなかった。

そのことに気付いたのは、あとになってプリンから一部始終を聞かされたからだった。

子供達に食事させ、ダチョウ達に追いかけられたファルコを探して見つけて、連れて来て

子供達、動物達に散々振り回されながら動物園内を歩いて回るともう夕方になっていた。

本当、あっと言う間だった。



「フォックスが物知りだったから勉強になった!!」

「動物達よりもファル兄がめちゃくちゃ面白かった!」

「ボクはフーちゃんとずっと一緒にいられたから幸せだったよ~」

『楽しかったね~!』

俺達のデートはお預けになってしまったが、それぞれ楽しんでくれたようで連れて来た甲斐があった。

「喜んでくれて良かったよ

夕方にもなると俺達は疲れてしまったが、子供達はまだまだ元気だった。

ファルコもベンチでぐったりしているし、もう歳なのかな

「これで、予習出来たんだから、今度は二人で行けば良いね!」

『は?!』

疲れてベンチで少し休んでいた所にネスの一言。

これには流石に二人でハモった。

「本当は二人っきりでデートするハズだったんだよね?」

「だけど、オレ達の為にデートを無しにして遊んでくれて凄く楽しかったよ!」

『ありがとう~!!』

プリンとナナだけでなく、本当はネス達も気付いていたみたいだった。

「おい、てめぇ等!知ってたなら最初から気を遣えよ!!」

うん、それは思った。

知らなかったから今日はデートをお預けにして子供達との遊びに専念することにしたから、知っていれば今頃

「プリンは知らなかったでプ!ネスしゃん達も知っていたなら最初から言ってくれれば良かったのに!」

プリンも自分とナナだけが知っていると思っていたらしい。

「えー?!だって、フォックスとファルコ兄ちゃんと行きたかったんだもん!」

「そうそう!最近、乱闘もいなかったしさ、たまにはオレ達に付き合ってよ!」

そう、ここの所、珍しく依頼が立て込んでいてスマブラには顔を出していなかった。

そして、今日から少しの間だけだが、休暇が取れたので戻って来てデートも兼ねて

明後日は久しぶりに乱闘も入っている。

「二人はお仕事でも毎日会ってるんだし、毎日がデートみたいなもんじゃん!」

「あのなぁ

確かに依頼でも毎日顔を合わせているが、実際は忙しくてあまり話せていないのが現実だ。

毎日がデートと楽しいことを言っていられる状態ではない。

だから、スマブラにいる時がゆっくりと話せたりすることが出来る。

二人っきりにもなれるけど、俺達以外もいるから、たまには邪魔されることもあるが

そして、明後日に乱闘が入っているから今日デートして、明日は次の日に備えて二人っきりでゆっくり過ごせればなと思っていたら急遽、子供達を連れて出かけることになってしまって

でも、子供達から『たまには一緒に遊んで欲しかった』と言われてしまったら文句は言えなかった。

いや、子供達に付き合ったらもう疲れて言えなくなったの方が正しい。



動物園もそろそろ閉まるみたいだし、帰ろうか」

『はーい!』

もう夕方で、動物園も閉園時間が迫っていた。

帰ると提案すると、素直に返事してくれた。

まだ遊び足りない!と言われると思っていたが意外とあっさりだった。

子供達が我先にと出入口の方へ走って行く。

「行くぞ、ファルコ」

子供達が出入口の方へ走って行ったあと、ベンチに座り込んでいるファルコに向かって手を差し出す。

「おう

その手を握り立ち上がる。

立ち上がっても俺の手を握ったまま離さない。

そのまま握り返した。

「疲れたな

「今度さ、二人だけで此処にまた来ないか?」

出入口に向かって走って行く子供達を見ながらファルコが『疲れたな』と一言。

俺はネスが言ったように『今度は二人で』と誘ってみた。

「何かこの動物園、大人限定で『ナイトサファリ』って言うのやるみたいだし

昼間、園内の地図が書かれたパンフレットとは別のパンフレットも貰っていた。

そこには大人限定の、夜の動物園巡りなる物があるらしい。

次のデートにどうかと提案してみる。

「俺、鳥目だぜ?行っても見えねぇし

そうだ、ファルコは鳥目だった。

暗い所は例え近くに物があったとしても何も見えないんだ。

疲れているから恋人の大事なことも忘れてしまっていた。

「そうだったな、ごめん

恋人のことを考えられないようじゃ、やっぱり早く屋敷に帰って自分達の部屋でゆっくり休むとしよう。

「でも、良いぜ

握ったままの手に少し力を込められた。

「お前が俺の目になってくれるならな」

疲れていた表情から一変、ニッと歯を見せ笑った。

「分かった、じゃあ次に



『フォックスー!ファルコー!早く帰ろうよー!!』

既に出入口に着いていた子供達に急かされる。

「今行くよー!」

「へいへい」

子供達に呼ばれたことで握られていた手が離れてしまった。

それは名残惜しかった。

疲れているからもう走れないけど、やや早足で子供達の待つ出入口まで歩く。

二人きりの時間はほんの少しだったが次の約束も取り付けた。

あとは、日にちを決めるだけ。

今度は二人だけで。

誰にも邪魔されないように。

出入口で待つ子供達と合流して、皆で屋敷へ帰った。