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小椋
2020-07-12 23:53:12
1841文字
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【ランパシ】good job
ランパシ版ワンドロ・ワンライ(@LaPa1dw)に参加させていただいたもの。第11回目のお題「古戦場」
別れ際に目と目を合わせた。約束を交わしたというには些細なやりとりだ。それでもランスロットはそれによって、今夜パーシヴァルが騎空艇の自室に帰るのではなく、郊外に設けた別宅を訪れることを理解していた。
足音がやんでしばらくののち控えめになされたノック音に確信を持って、ランスロットは夜の客人を迎え入れる。
「お疲れ」
武装を解いて長剣と手荷物だけを携えたパーシヴァルは、出会い頭に眉根を寄せてみせた。
「不用心だぞ」
「悪い悪い」
どうやら相手を確認する前にドアを開けた迂闊さを指摘しているらしい。ドアの叩き方だけでなく、こちらを目指す歩き方からもランスロットはここに来たのがパーシヴァルだと察していたのだが、説明したところで念には念を入れろとさらに苦言を呈されるだけだろう。
ランスロットの悪びれない謝罪に眉間のしわを深めたものの、パーシヴァルは溜息をつくだけに留めた。普段ならまだ小言が続くのだが、さすがに連日の疲労が思考や言動を鈍らせているらしい。どこかぼんやりとした様子で立ち尽くすパーシヴァルから手荷物を預かってテーブルに置くと、ランスロットは空いた手をとってベッドへと誘導した。
ともに戦場を駆けたのは久方ぶりのことだ。
一定の期間、特定の属性を帯びた魔物や星晶獣しか現れない古戦場の性質上、もっとも得意とする属性が異なるランスロットとパーシヴァルが一緒に編成される機会はこれまで一度もなかった。ランスロットがヴェインと組んで火の力を操るようになった前回、パーシヴァルは敵との相性が悪いからと参加を見送られていたのだ。いざ古戦場に呼ばれれば、戦闘に次ぐ戦闘で精神も肉体も疲れ果てることはわかりきっている。それでもそこは思う存分に自身の力を振るうことで、日々の鍛錬の成果を確かめられる場だ。そうした貴重な機会を得られなくなる上に、仕方のないこととはいえ信頼する団長から頼ってもらえないことと同義になるとなれば、思うところもあるだろう。パーシヴァルはますますの研鑽を積んで、さらに剣技や魔法の精度を上げたらしい。予選だけ混ざったランスロットとは違い、新たに身に着けた力が今回の星晶獣への対抗策とうまく噛みあったパーシヴァルは、いまの様子からして本戦最終日まで立派に戦い抜いたようだ。
火の魔法を戦闘で活かせるようになってから、余計にパーシヴァルの操るそれとの差異を痛感した
あきらかに質が違うのだ。敵を追い詰める灼熱の炎は、仲間の行先を導く灯にも、背中を守る盾にもなる。美しい焔を自由自在に操って戦場を駆けるパーシヴァルを見つめるランスロットの瞳は、この上ない高揚の色に染まっている。共闘するとなればこんなにも心強く、相対するとなればこんなにも心躍る存在は他になかった。
ベッドへの誘いに抗いはしなかったものの、パーシヴァルは隣に腰かけたまま動かない。いよいよ限界が近いらしいと悟ったランスロットは、隣に座したまま両腕を広げてみせた。ほんのりとためらうような気配がしたのちに、パーシヴァルは半ば倒れるようにしてその間に収まる。いつになくおとなしい相手を軽く抱き締めたまま、ランスロットは後ろに倒れこんだ。ふたりぶんの体重を受け止めてベッドがきしむ。
このところ騎士団の宿舎に泊まりこんでいたから、郊外にあるこの別宅は整理整頓されて綺麗なままだ。寝る場所に困ることもない。だからこそ、ある程度の広さがあるベッドで身を寄せあう理由をひとつにできた。ただ触れていたい。それだけのことでいいのだ。
ごろりと身を横たえてから、胸元に抱えるかたちでパーシヴァルの髪を撫でてやる。鎧を脱いでいるだけでなく石鹸の香りがすることからして、着の身着のまま艇を降りたわけではないようだ。あとはもう余計なことは考えないで済むようにと、必要な支度はきちんと済ませてきたらしい。
いたわりと慈しみを込めて触れていると、安心したようにまぶたが閉ざされる。いつもなら先に眠くなるのはランスロットのほうだ。だからこそ、たまにこうしえ無防備な姿を晒してくれることがおもはゆい。
古戦場の途中で艇を降りてまで執務に勤しんだかいあって、明日からまる二日の休みを確保している。パーシヴァルと同じように、ランスロットも必要な準備を整えていたというわけだ。
ぐり、と胸元に額を押しつけられて自然と頬がゆるむ。穏やかな寝息に導かれるようにして、ランスロットも眠りに落ちていった。
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