小椋
2020-03-15 23:32:58
1280文字
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【ランパシ】さあ、みせてくれ

ランパシ版ワンドロ・ワンライ(@LaPa1dw)に参加させていただいたもの。第1回目のお題「好敵手」



 対峙するたびに背筋が正される。
 気分転換に付き合ってくれないか。そんな誘い文句どおりの軽い打ち合いで終われるわけがないことは目に見えていた。生半可な覚悟で刃を交わせる相手ではない。いつだって、全てを賭けて戦うべきだ。
 互いに得物を握る手に力を込める。それを合図にして、ランスロットは氷の刃を放った。まずは先手を取る。パーシヴァルが対応に動く間に、水属性の魔法を発動させたまま地を蹴った。一瞬で間合いを詰める。炎の壁が築かれる前に斬りこんだ。キン、と澄んだ金属音が響く。
「甘い!」
 呼吸のいとますら与えまいと、ランスロットはパーシヴァルに追撃を叩きこんだ。薄っすらとまとわせた風属性の魔力のおかげで四肢は軽くなり、いっそう双剣をすばやく振るえている。戯れの末に得た土属性の魔力の恩恵か、重心の移動と足腰の捌き方にも安定感が増したようだ。
 舞うように踏みこんでは身をよじり、回転の勢いを乗せて剣撃を浴びせていく。少なからず勢いを削がれるおかげで連撃には至らずとも、後退させるだけの威力はあった。双剣にまとわせた氷の魔法が、刃の軌跡を追いかけるようにパーシヴァルへと襲いかかる。
「ぐっ」
 その鋒が頬を掠め、一筋の赤が走る。
「おもしろい」
 好戦的に開かれた目に、ランスロットは不敵な笑みを返す。
 頭上へと跳躍しては突き進み、背後に回りこんでは続けざまに斬りつけた。それでもパーシヴァルの懐へ踏みこむには至らない。
「見えているぞ」
 炎をまとわせた長剣を器用に操って攻撃を防ぐだけでなく、隙を突いて攻勢をかけてくる。ランスロットはそれらをことごとくかわしては反撃に活かすものの、決定打には至らなかった。
「猛火に焼かれろ!」
 炎は勢いを増していく。爆ぜた火の粉がランスロットの首筋を撫でた。ひりつくような痛みに火傷を受けたことを知りながらも、躊躇わずに刃を振るう。ギン、重い金属音が耳をついた。
 相殺の勢いを受けとめきれず、両者とも距離をとる。せっかく縮めた間合いはあっけなく元に戻った。
「やるな」
 ランスロットの端的な賛辞に、パーシヴァルはふんと鼻を鳴らした。軽く寄せられた眉間のしわがわずかにゆるめられる。
――いい目だ」
 返す言葉を探す合間に、だが、と重ねられる。
「その程度か?」
――……まさか」
 手札はまだ残っている。とはいえ戦闘においては、やすやすと小細工が通用する相手でもない。
 いま持てる力、これまでに築いた技術を出し尽くした先に、きっと新しく見えるものがある。もっともっと強くなれるのだと、まだまだやれることはあるのだと、向き合うごとに教えられてきたのだ。
 かつて、そうやって切磋琢磨しあった。隣に並ぶにも背中を預けるにも過不足のない存在だった。月日が流れ、決別を経て再会を果たしたいま、違う道を歩めども志は同じだと信じている。
 どちらからともなく得物を構えて仕切り直す。
「行くぞパーシヴァル」
「来い、ランスロット」
 好敵手と呼ぶに、これほどふさわしいものもない。


小椋@OgrYtk