はなおぼろ
2024-02-29 21:08:04
1836文字
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縁巌覆面作家企画4:Lグループ感想

作品の雰囲気に引っ張られてテンションが上下左右しております。予めご了承ください。

L-1:帰らぬ季節、痛みの証明

 冒頭の、幼い巌勝が確かに思っていたであろう縁壱の兄であろうとした気持ち。物語の最後に思い出した「それ」を再び綴り、念押すようにもう一度紡がれるその言葉が、黒死牟という鬼となりあの頃には決して戻ることのできないだと証明しているようで。読んでいて胸がちくりと痛くなりました。
 伽藍で縁壱が泣くシーンですが、静かに涙を零す男も、誰にも兄について話せない、兄への気持ちを吐露することもできない状況下で兄を想って泣くときには、普段言葉を形に出来ない分、声を上げてしまうのだろうなと思わせました。
 読後暫くはこの切なさに浸っていたくなる、そんな作品でした。



L-2:みしのたくかにと

 恥ずかしながらパロ元の作品を知らなかったので、タイトルどういう意味だろう~と思いながら読み進め、なるほどなるほど。読了後には誰もが「みしのたくかにと」が素敵なおまじないになりますね。
 原作でのうたと縁壱の暮らしを上手く設定に落とし込んでいるなぁと思いました。そしてうたちゃんのナイスアシスト。本当に貴女は縁壱に必要な言葉をしっかりと言ってくれる子だね。
 童話調で可愛く、とてもほっこりする素敵な作品でした。
 個人的にそっかーと頷くうたちゃんが好き。最初のそっかーと後のそっかーで微妙に表情が違っていたりするのかも、なんて。



L-3:君よ知るや

 双子間の会話は一見成り立っているのに、互いの心中を知らないので根本がすれ違っているこの感じ。戦国時代の二人って終始こんな感じだったのかなと思わせる姿が、とある村で起こった奇妙な事件を通して上手に描かれているなぁと。皮を剥げば同じか否か、二人の答えは少し似ていて根本が違う。この絶妙な違いにタイトルの後ろに『知らずや』が見えるような気がしました。
 犬の次は猪か熊かの下り、猪や熊とか人より難易度高いんよ……とか思っていたら、巌勝が訂正してくれていて、一人頷いておりました。単独無傷でそれが出来るのは恐らく縁壱だけだぞ。
 あと己の大切な人を否定する相手に容赦ない縁壱、好きです。



L-4:その指先で愛を掴んで

 作品の空気感、ストーリー展開どれも好き。
 現パロ軸の宇髄さんや冨岡さんが欠損しているのレアだと思うのですが、エピテーゼを通すことでとても上手く設定を落とし込めるのだなと。あと宇髄さん終始いい味出していて、凄く好き。
 山屋と言われて、ああ凍傷で指無いのねぇ、でもそんなキレイに長さ揃う? と思っていたら……確かに傍から見ればイカれているなと。過去の記事の内容、写真に写っていたもの、物語が進む毎に巌勝という男のピースがはまっていく様子がとても凄かったです。特に指を蘇らせてからのやり取りが好き過ぎて、何度も読み返してしまいます。



L-5:カカオ72%

 バレンタインデー限定のパンとか、可愛いワードがあるのに、個人的には読後感がホラーを読んだ時のそれに近いです。大半が縁壱の語り口調で紡がれているから余計にそう思うのかな。タイトル通りのほろ苦さが内包されています。
 紛うことなき執着壱。GPS仕込みすぎ案件。許可している兄上もどうなのよと思いつつ読み進め、これまた立派な執着上。
 本当に夢だったのか、パラレルワールドだったのか、読者からは定かではありませんが、この後兄上は縁壱に寝室へと引きずり込まれてしまうのかなと思いつつ、色々お似合いの二人だね、うん。きっと私は今、作中の炭吉のような顔色をしている。



L-6:Overcome the sun

 なにこれ凄い。転生物で記憶なし巌勝が記憶を取り戻すお話は今まで色々読ませて頂きましたが、これはこれは……
 無惨は望んで鬼になったわけではなく、自ら望んでなったのは巌勝という部分には、改めて深く頷いてしまいました。だからこそ今世の巌勝としてだけではなく、鬼に堕ちた身の巌勝が人間としての縁壱を理解し受け入れてこその真の和解がそこにはあるのかなと思いました。
 ラストは今世と前世の人格が統合されたのでしょうか? 鬼ではあるようなので、寿命とかどうなっているのか気になります。あと太陽を取り込むって表現凄く良いです(噛み締めている)





 素敵な作品ばかりでした。流石、企画の最後を彩るグループ。
 作家の皆様、素晴らしい縁巌作品を生み出して下さり、本当にありがとうございました!