はなおぼろ
2024-02-26 22:47:00
1847文字
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縁巌覆面作家企画4:Iグループ感想

作品の雰囲気に引っ張られてテンションが上下左右しております。予めご了承ください。

I-1:弾劾訴え

 まさに訴え。第三者から見て感じた双子、ただひたすらに思いの丈を述べていく文体、とても好きです。二人に対する弾劾であると同時に、鬼となった巌勝へ懸想に近い感情を抱いていたことに対し理屈を並べて否定しようとするが想うことを止められない自分への弾劾なのかな。仲間として共に過ごした過去、今鬼殺隊が置かれている現状、先の短い痣者の身、色々と混ざり合って支離滅裂になっていく様が見事に表現された作品でした。
 しかし隊士さんの形容する兄上があまりにも美し過ぎて、この人もしかして私の代弁を?(混乱)と思った読者は、私だけでないと信じたい。



I-2:モノノ怪人喰い鬼

 縁壱が兄を鬼殺隊へと迎え入れなかった場合の、一つの可能性を見せて頂きました。再会した時点で兄の膨大で重たい感情は再発していますもんね。距離を置いても、もう遅く。強すぎる想いは人ならざるモノへと形を変えて、魂ごとその地に取り残されてしまうのでしょう。肆の章だけでなく、作品すべてを通して説法を聴いたような気分です。
 弟と連れ立って天へと召されるシーンは、寂しさから解放されて温もりを得たような心安らかさがありました。
 惜しむらくは、私はモ○ノ怪を履修していないので、この作品の100%を味わえていないという点。うぅ、勿体ない……



I-3:稀有の沙汰

 男性妊娠だ! この手のネタを嬉々として読む私と、作中の巌勝みたいに何処で育まれるのか気になってしまう私が度々脳内でバトルするのですが、こちらの作品はその辺りもしっかり補完してあるので安心ですね。診療所からの紹介状、産科での描写、母子手帳貰ってね等、ここまで丁寧に描かれている男性妊娠作品も珍しいなと。個人的に凄く好きです。
 縁壱が勘違いしてショックを受け始めたときはハラハラしましたが、弟の言葉を聞いて察してくれる兄上で本当に良かった。兄上のセリフで作品が終わるのも、縁壱はどう返すのかなぁと想像して読了後も暫くにこにこしっぱなしでした。



I-4:人になる

 幼い時分より淡く互いを想いあっており、歳を重ねて一層強くなる。それぞれの立場として振舞いつつも、兄がまたは弟しか見えていないのだと読み手に語り掛けてくる描写がとても良いです。途中アレな描写が入ってキャッ(喜)となったのは内緒。
 合わせ鏡のように神楽を舞うシーンがとても好きです。そして夢を見たあとからラストに至るまで、何処をとっても熱烈な愛の言葉ばかりに思えてしまいます。
 各設定の落とし込みも巧みで、とても素晴らしい作品でした。
 ところで、初めて禁忌を~の詳細なんですけど、全年齢ゆえに記載が無くてですね……どこに行けば読めるのでしょうか?



I-5:月を見ていた

 幸福であれと己の幸福像を押し付ける兄と、兄以外の幸福など最早なにも響かない弟。月を見続けていたんだろうな、前世からずっと、と思わずにはいられない内容でした。弟の幸福しか見ていない兄には縁壱の振る舞いは余程不気味に見えて煩わしかっただろうし、兄の行動も縁壱にとっては相当苛立っていたのかも。
 あの「よりいち」は今世で初めて兄が読んだ名前だったのかな。あの人とかあなたとかお前としか記載が無かったし。縁壱自身を漸く見てくれていたからこその笑みだったのかなぁと思うなどと。
 もうね、この作品を読んであのMVのラストに映る双子の胎児が継国兄弟にしか見えなくなる呪いがかかりましたよ、ええ。



I-6:今なお青く

 Hに引き続き手紙形式の作品をもう一作読むことが出来るとは。
 回を重ねるごとに成長を感じる弟の手紙を微笑ましく思う反面、弟の習熟度に応じて文字の大きさを変える優しさを持ち合わせていた兄が、思いを書き殴り破り捨てるに至ることが苦しいやり取りでした。そして互いが絶対に許さないとする事柄は一緒なんですね。離れたこと、一緒に居なかったこと。縁壱の最後の一通に綴った想いが優しくも苛烈で、何度も読み直してしまいます。
 タイトルも秀逸。今なお残る光が確かにあるのだろうな、と。
 あとリアリストで物知りな無惨様めっちゃ好きです。「これはサイエンスである」好き過ぎて頬が緩んじゃいます。





 素敵な作品ばかりでした。また様々な形式の作品が集うところが企画の楽しいところですよね。
 作家の皆様、素晴らしい縁巌作品を生み出して下さり、本当にありがとうございました!