
ある遠征での出来事───
軍の人間しかいないはずの宿の部屋から見知らぬ者が出てきた。誰かが娼婦でも連れ込んだのだろうか、しかしそれは男だった。見回りをしていた者がその男を呼び止める。やけに色気があり、背は高く、肌は色白。なるほど、男娼というものか
…見回り兵士はそう思うしかなかった。だが長い髪から覗く顔立ちに見覚えがある気がする、やはり兵士の内の1人だったのだろうか?その男に尋ねた。「お前は誰か?」───
その晩の後───見回りの男が殺されていた。
何故殺されたのかは不明だが、例の男娼が絡んでいるのは間違いないだろう。上官のお気に入りか、はたまた男娼を装った侵入者か 人ではないと噂する者もいる。その正体もまた不明だが、男は必ず軍が泊まる宿に現れるという噂があるため、遠征先では「男娼の幽霊話」として兵士の間で広まっている
噂にはいくつかのパターンがあって
「戦場から生きて帰れないことを示唆する死神」や「その人が昔ひどい仕打ちをした知り合いの顔」「次は自分が夜伽相手に選ばれる」「名前を聞いたから殺されたor名前を聞けば退散する」「殺されたのは兵士が弱かったから、戦地でも殺されないために訓練に励むためのホラ話」など日々何かしら追加されている
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