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はとこ
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どきどきバスタイム(ミルアイ/翔藍)
シャニ学のミルラビ×アイ。付き合っていない。#翔藍春待ちチャレンジ
どうしてこうなった。
オレはただアイの家に勉強会に来ただけだってのに。
風帝家脱衣所の真っ白な扉を見つめ、オレは考えていた。いや、正確には何も考えたくなくて扉を見て思考停止してるだけだけど。だって、ちょっとでも意識したら、オレの背後でアイが濡れた制服を脱いでいることを意識し
――
してない、してない。
オレはただ風帝家の脱衣所の扉を見ているだけだ。さすが金持ちの一軒家だな、うちの倍は広いし全体的にいい匂いがするし、ドアノブも金ピカだし。
「ショウ、何してるの。早く脱いで。そのままだと風邪引くよ」
「な、なあ、アイ。オレ、やっぱりお前が出てからでいいよ。オレ、それまで玄関で待って
――
っぷし!」
扉の方を向いたまま何とかやり過ごそうとしていたら、思い切りくしゃみが出た。
やべえ、と鼻の下を擦る間もなく、視界にずいっとアイが入ってきたもんだからたまらない。
「っお、おい、馬鹿! そんな格好で何してんだ!」
「雨水でずぶ濡れのままの君こそ何してるのさ。ほら、さっさと脱いで」
怪訝そうな顔をしたアイがオレの学ランのボタンに手を伸ばしたものだから、思わず飛び退いた。
「じ、自分でやる! やるから頼む、お前はさっさと風呂に入ってくれ!」
「本当に入る? ボクが入った途端、出て行くのは無しだよ?」
「わかった! 脱ぐし入るから! だからお前は入っててくれ、頼む!!」
真っ裸の無防備すぎる片思い相手に無理矢理脱がされてたまるかと、オレはやけっぱちでずぶ濡れの学ランを脱ぎ捨てた。
ひとまずアイには先に湯船に浸かっていてもらって、オレがシャワーを使うことにした。
うちの倍あるとはいえ、浴槽とシャワーの距離は近い。だから湯船のアイにじっと見つめられながらのシャワーはなかなかの恥ずかしさだが、逆よりはマシだと思う。逆だったらオレ、速攻のぼせる自信があるから。
くそ、雨でずぶ濡れになったアイを見ただけでも心臓がぶっ壊れるんじゃねえかってくらいドキドキしたのに、一緒に風呂って。一体何の試練だよ。まだオレ、告ってすらいねえんだぞ?!
「ショウ、ちゃんと頭洗いなよ。流すの早いって」
適当に洗って済ませようとしたら、湯船のアイからすかさず注意された。真面目なアイらしいけど、今は一刻も早くこの時間を終わらせたいんだ、勘弁して欲しい。
「へ、ヘーキだよ、あんま使うと悪いし」
「気にしなくていいよ、ボクのだし。そうだ、ボクが洗ってあげようか?」
「い、いいって! お前は体あっためとけ!」
「そう? でも、ちゃんと洗うんだよ。いくら使っても大丈夫だからね」
アイの気遣いはありがたいが、違う、そうじゃねえ。
けど、雑に洗うと本当に湯船から出てきて洗われそうだから、仕方なくしっかりと洗うことにする。
あー、もー、こっちみんな、恥ずかしい。そう言いてえけど、オレに対して純粋な友情しか抱いていないっぽいアイには言えねえ。「友だち同士で入ってるだけでしょ、何が恥ずかしいの」って追及されたくねえし。
「
……
なんか、いいね。こういうの」
「な、何だよ、急に」
「友だちと一緒にお風呂に入るなんて、したことなかったから。ボク、兄弟もいないし、同じ年頃の子と入る経験あんまりなかったから」
ちゃぷ、と湯船の音を聞くたび、ビクッとしちまうのはバレてないよな。音も十分ヤバいな、一瞬湯船に浸かってるアイを想像しそうになるから。
「お、オレもダチと風呂に入る経験なんてあんまねえけどな
……
それこそ修学旅行とかそういう時くらいっていうか」
「ふふ、じゃあ今、ショウと二人で修学旅行に来てるって思おうかな」
「へっ?!
……
わっ」
動揺しすぎて湯を出したシャワーを落としちまった。その飛沫がアイの方にも行ったのか、うわ、と小さな悲鳴がした。
「わ、悪い! 平
…………
気か?」
反射的にアイの方を見てしまい、キョトンとしたその眼差しを目の当たりにした途端、大きくぶれた視線とともに声が小さくなっちまった。
「
……
ふふ。ショウ、頭泡だらけ」
「
……
お前のシャンプーの泡立ちがいいお陰だけどな」
「ねえ、修学旅行気分ついでに洗ってあげようか?」
「修学旅行でダチと洗い合うイベントはねえよ、馬鹿」
出しっぱになっていた湯を頭に掛けると、何が面白いのかアイはけたけた笑っていた。
「ねえ、修学旅行気分で今度泊まりに来てよ」
何とか洗い終わって「じゃ、先に出るな」と逃げようと思ったが、「ちゃんと湯船に入らないとダメ」とアイは逃がしてくれなかった。だから渋々入ったんだけど、アイは湯船から出ようとするどころか、そんなことを言い出した。
「泊ま
…………
れねえだろ。お前んち、厳しいだろ、いろいろ」
「そうかな。ショウなら大丈夫だと思うけど。まあ、学ランはきちんと着てもらう必要はあるかもしれないけどね」
「いや、でもな
……
」
アイが裸ですぐ隣にいるという状況もあってうまく頭が回らない。
「君の家にボクが泊まりに行くって言うのでもいいけど」
「え?! それこそ、大丈夫なのか?」
「多分。それこそ修学旅行って言えばいいかなって」
「
……
修学旅行でダチの家に泊まり行かねえし」
「そうだけど。ボクたちは学年が違うから、学校行事では行けないし」
「だからって、わざわざ泊まりに行かなくても」
「でも、ボクは君とも同級生たちみたいな思い出を作りたいよ。あと一年しか一緒にいられないんだし」
どきっとしてぎこちなくアイを見れば、湯船をじっと見つめる真剣な横顔があった。
「学年、違うけど。ボクにとって君が一番
……
友だちだから」
「アイ
……
」
「だから、特別なことしたかっただけ。それだけだよ」
恥ずかしくなったのか、いきなり湯船から立ち上がったアイに、オレは全力で視線をそらす。
程なくしてシャワーの音が聞こえたのを機に、オレはそっと口を開いた。
「じゃあ、うちならいいよ」
「え?」
「修学旅行。いいメシも広い風呂もねえけど。あ、でもゲームはあるから、教えてやるよ。そんくらいしかイベントねえけど、それでもいいなら」
「
……
うん」
弾んだその返事に、オレも思わず笑った。いつにしようかと早速段取りを決めようとするアイの言葉に相槌を打ちつつ、アイのシャワー終わるまで、オレのぼせねえといいな、と密かに思った。
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