Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
HAZURE_Mapo
2024-02-23 12:21:39
2403文字
Public
SO2文章 物語を彩るモノたち
物語を彩るモノたち【ピックポケット攻防戦】
SO2に出てくるモノ視点の話。
登場キャラはクロード。
※物が喋ってます
※この話の世界線にはロード・オートセーブの概念、リラックスアロマはありません。
予めご承知おき下さい。
ここは銀河連邦軍提督であるロニキス・J・ケニーを艦長とする戦艦カルナス内。俺は彼の部下である士官候補生の防具として乗船している。軍内で英雄と称されている彼の船に乗り、俺を装備していると言うことは、持ち主もかなり腕の立つ奴なんだろう。自分で言うのもどうかと思うが、俺も中々防御力が高い装備品で、素人では到底扱えない代物だからな。しかし残念ながら、俺は持ち主の活躍を見たことがない。一度は見てみたいものだ。
ところで、さっきから何やら艦内がざわついている。
惑星ミロキニアの事故で行方不明になっていた提督の息子が、クロードが見つかった
今すぐ転送準備しろ、連れ戻せと騒いでいる。
まただ、またアイツが戻ってくる。
どうやらこの世界は平行しているらしい。艦内でこの事に気づいているのは俺ら装備仲間のみで、人間は気づいていない。その証拠に、アイツはここに戻ってくる度に戦闘レベルが上がり、尚且つ装備が立派になっている。
そしてこの世界には、人が所持している物を盗むという「ピックポケット」という特技が公然と存在する。意味がわからないだろう。俺にも理解出来ない。しかし創造神トライアがそんな世界を創り出したというのがこの世界の理なのだから、嘆いていても仕方がない。神の考えることなんて人間はおろか、俺たち装備品だって知る由もない。
そんな意味不明な特技を取得しているアイツは、最早俺なんて手に入れても仕方ないだろうと思う豪華な装備を蓄えてもなお、俺を狙ってくる。これも理解不能だが。
アイツが最初に来た時は、満足な装備がされていないと俺の目から見ても感じた。そのせいか野獣の如く眼光で襲ってきた。しかし俺はアイツの特技レベルを感知する術を持っているが、それによると、その時のレベルは2だった。その程度のレベルじゃ俺を手に入れられる筈もなく、呆気なく引き下がった。
二回目に来た時の特技レベルは最高の10になっていたから少し警戒したが、アイツの装備は盗賊てぶくろだった。狙われた俺を心配した装備仲間から、盗賊てぶくろの上位互換であるマジシャンハンドというものがあると聞いていたが、アイツの装備はそれではなかった。俺は盗まれなかった。
三回目も前回の反省を全くしていないのか、同じ塩梅で襲ってきた。案の定、前回と同じ結果になった。ただ、三回目を迎えても俺を狙う目つきは一回目と同じだった。
案の定、また俺の目の前に現れた。
今回で四回目だ。
その執着心はどこから湧き上がってくるのか俺にはわからないが、その執拗さに呆れている。
だが、前回までとは雰囲気が違う。
目つきは一緒だ。端正な顔立ちをしているから一見善人だと騙されそうになるが、相変わらず目の奥がドス黒い。しかし口角がいつもより五度ほど上に上がっている。何故だ。不気味だ。
……
そうか、マジシャンハンドか。
四回目にしてそいつを手に入れたのか。
面白い、受けて立つ。
いざ、尋常に勝負!!
「
……
っっっつ!」
……
コイツのガッツポーズを見ることになるとは、な。持ち主であった士官候補生にもバレない程に素早く、小さくしやがった。
俺は負けた。負けて持ち主が変わってしまった。もうこのカルナスには居られない。あのオペレーターの姉ちゃん、可愛かったのに。もう見られなくなるのか。これも自分で移動手段を持たない者の運命か。仕方あるまい。コイツの執念も尋常じゃなかったしな。早速俺を装備した。とても満足げな顔をしている。しかし、元々装備してた防具のほうが防御力高い。可笑しなヤツだ。
だが、まだコイツの様子がおかしい。
俺を手に入れて満足したんじゃなかったのか。まだ目の奥がドス黒い。視線の先はあの可愛いオペレーターの姉ちゃんだ。まだ何か企んでいるのか
……
?
「
……
あれをレナへの手土産にするか」
な、何だと
……
!?
姉ちゃんの大好物、ショートケーキにまで手を出すのか!?それは姉ちゃんにとって月に一回のご褒美で、毎月情報通の仲間に美味しいケーキ屋をリサーチさせて食べ比べするぐらい大好きで、それを楽しみに仕事を頑張ってるんだぞ!?そのレナとやらがどんな人かは知らないが、きっと同じくショートケーキが好物なんだろう。またどうせ仲間の元に帰るのだから、地球の美味しいケーキを食べさせてあげたい気持ちは分からなくもない。だが手土産にするなら盗むのではなく、自分が食べたいとでも言って頭を下げたほうが良いと思うのは俺だけか。
……
ん?今何か聞こえたな。何の音だ?
よく見たらコイツ、右手の甲押さえて泣きそうな顔しているぞ。ドス黒い目の奥がだんだん灰色になっていく。
姉ちゃんは姉ちゃんで、鬼の形相でコイツを睨みつけてるし。
ははぁ、さては盗るのに失敗したな?
姉ちゃんのケーキは机の上にあるし、あんたに渡すケーキはないと言わんばかりの顔してるしな。さっきの音は、コイツの手を叩き落とす音だったのか。俺を盗めたからと言って調子に乗ったのかは知らないが、とんだ因果応報だな。ざまぁない。
……
っておい、そう言ってる傍から提督が持っている、彼の好物である松茸が入っているお吸い物を盗るんじゃない!それは提督が食べる今日の夕飯だ!コイツ立ち直りが早すぎるぞ。そして父親の好物まで盗るのか。親子だぞ、好物を知らないわけがないだろう。本当にどうなってるんだ、提督の息子は!?
……
俺、これからずっとコイツの行動に突っ込み入れ続けるんだろうか。この調子だと忙しい日々になりそうだが、こんな理由で忙しくなるのは心の底から望んでいない。
今後の俺に幸在らんことを。
広告非表示プランのご案内