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浦山野あずま
575文字
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一次創作
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底におわすモノ
とあるダムが干上がった。雨量が足りなかったならばさもあらんことだが、その年のその地方の雨量は、平年よりも多いくらいであった。
ダムの底に村がそのまま沈んでいるのはよくある話だが、そのダムの底から出てきたものは村ではなかった。村が出てくるはずだったのだ。しかし、下がった水面から顔を覗かせたのは、仏像であった。つるりとした銅製と思しき顔には錆も藻も見当たらない。丁寧に手入れされたような顔をしていた。
しかし、沈んだはずの村の家々はどこに?あの仏像はどこから?答えられる者は誰もいなかった。居場所が確認できた村の元住人は、数日前に最後の一人が亡くなったところであった。
仏像の肩の辺りまで露出した時に、声をあげる者がいた。とある大学の史学科の教授である。
「あの仏像の様式は、現存するどの仏像とも一致しません。文献にもない。あれは過去に全く類を見ないものだ」
世論は荒れた。世紀の発見だと叫ぶ者、どこぞの宗教団体の不法投棄を疑う者、果ては宇宙船の擬態した姿だと言い出す者までいた。
本格的な調査隊が派遣されようかとなった矢先、ダムの水位が上がった。仏像が現れてから一度も雨は降っていなかった。
完全に水位が戻った後に、ソナーによる調査が行われた。そこには大仏の影はなく、打ち捨てられた村落の家々の影が見て取れるだけであったそうだ。
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