shirajira
2024-02-16 20:31:35
5318文字
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ヒグマになったビマ、通称ビグマのビマヨダ

バレイベ前に書くだけ書いて放置してた、タイトルまんまのネタ

紆余曲折あってカルデアで付き合うことになったビマヨダ、弟や友人のことを思うと誰にも言わずに内緒にしておいた方がいいだろう、と話し合って決めて、マスターにも話していない。
交際自体は順調で体の関係もあるし、それぞれ割り切りができるので日中は今まで通りの関係を、夜や休みが重なった日にひっそりと恋人同士としての関係を楽しんでいた。

でも誰にも言ってないんで、本当に休みが合わない。珍しくビマの厨房番とヨダナの周回の休みが重なったと思っても、マスターから「ビーマ!悪いんだけど高難易度のクエストに付き合ってくれる?💦」って言われる。
お互い最優先事項はマスターで、って決めた上で交際してるので、マスターに乞われたらごねるわけにはいかないし、ヨダナも普通に見送るんですね。ビマがいなきゃいないでヨダナは他にしたいこともたくさんあるんで、まあ仕方ないかって感じで。
ヨダナはビマが自分の物になったというだけで結構満足してるというか、まだ頭も心も追いついてないところあるし他の娯楽にも滅茶苦茶目移りしてるので、このくらいの距離感でいいかと思ってるんだけど、ビマはそうでもなかったりする。

そもそもビマは自分のしたことで人に喜んでもらいたいという気持ちの持ち主なので、ヨダナにも色んなことしてあげたいし、喜んでほしいんですね。
美味しいものたくさん食べさせたいし、周回で疲れてるなら世話してやりたいし、あとできれば子供の頃みたいに手合わせしたりとか、他愛もない話をたくさんしたりしたい。セックスだって当然したい。
だってこんな関係になれるのなんて二度とないだろうし。神性持ちのビマは記録を持ち越して現界することも可能かもしれないけど、ヨダナはそうじゃないから。ビマがヨダナのことをよく知るチャンスなんて、今しかないから。
でも付き合ってることは誰にも内緒なので、食堂であれこれ食べさせることも、食べてる反応を真正面から見ることもほとんどできないし、手合わせも他の鯖が大丈夫かって気にしてきそうだし、そもそも休みが合わないので世話もろくに焼けない。夜に抱き合って眠っても、ヨダナのところにはよく友人たちが朝ごはん一緒に食べようって誘いに来るので、早朝にどちらかが自分の部屋に戻っちゃう。
まず自分は第一にマスターの鯖であるし、別に恋人を束縛する趣味があるわけでもないし、仕方のないことだと思ってるんだけど、でもビマは少しもやっとしてるというか、強欲なヨダナが特に何とも思ってなさそうなので、もしかしてこんな気持ちになってる俺がおかしいのか?って悶々としている。

そんなある日。ビマが霊基異常でヒグマになります。
その日はビマは非番で、でもヨダナは周回があって朝から「わし様もう海岸は見飽きたぞ~他にもっと水場が似合う働き手がおるだろうに……」ってぼやきながらマスターに周回に連れ出されてて、ビマは自室でぼんやり、どんどん長くなる一方の、ヨダナに食べさせたい、でもまだ食べさせることができてない料理のリストを眺めてた。
そしたらなんか……ヒグマになってたんですね(雑導入)。

気づいた途端にびっくりして思わず自室から飛び出すビマ。カルデアの廊下を爆走するヒグマ。巨体のくせに素早いので誰も捕まえられないし、怪我人こそでないものの大惨事。
ビマの意識はあるんだけど、ヒグマの思考が邪魔をしていつもと同じような思考ができなくなってるんですね。完全にパニックになってしまっている。
そんな中周回から帰ってくるマスターたち。騒がしいけどなんだなんだと思ってたところにヒグマ、襲来!
ビマは「マスター、俺だ!ビーマだ!助けてくれ!」と思って駆け寄ったんだけど、マスターを庇うようにヨダナが前に出てきたのを見て、あっ!ってなっちゃうんですね。
何で他のやつといるんだよ!お前は俺のものなのに!取られた!取り返さなきゃ!というヒグマの執着で頭がいっぱいになっちゃったビマ、ヨダナに突進してそのままヨダナを引きずって走り去ります。
「うおおおおおやめろ!!わし様はおいしくない!食うならもっと食い出のあるやつにしろ!ビーマとか!」というヨダナの断末魔と呼ぶにはふざけている悲鳴が響き渡るカルデアの廊下……

ビマは自分の部屋にヨダナを連れ帰ると、寝台にヨダナをポイっとするんですね。ヨダナは痛い!とか何するんだ!とか滅茶苦茶喚いていてうるさい。一方ビマは自分の物を取り返したぞ!って気持ちが大きいのでご満悦。
でもあんまりヨダナがうるさいんでビマはちょっと小突いて黙らせようとするんだけど、その時にハッと気づいてしまうんですね。今の自分の手じゃヨダナを傷つけちゃうかもってことに……
せっかく仲が深まったのに、これじゃまた子供の時みたいに傷つけて嫌われちゃうかもと思って固まっちゃう。
ヨダナは自分をさらったヒグマが急におとなしくなったので、あ?よくわからんが逃げるなら今か?その前に一撃くらい食らわせとくか?って様子見をしてたその時、ダヴィンチちゃんの声で館内放送が流れます。
『現在カルデア内で逃げ回ってるヒグマの正体がわかった!ビーマだ!霊基異常みたい!』

ヒグマを見るヨダナ。確かに毛の色がビマの肌の色と同じだし、ちょいちょい紫の毛が混じってる。というかよく見たらここビマの部屋じゃん。
「ビーマ……?」
呼び掛けたらヒグマが子犬みたいな声で、きゅーんって鳴いた。
あ、これマジでビマなんだ。気づいてしまったヨダナ、大爆笑。
「どわーっはっは!おま、お前ビーマ、獣のようなやつだとは思っていたが、く、熊になったのか!ヒグマになったビーマ、ビグマということか!」
笑いすぎてヒィーッwwってひきつった声出しながら足バタバタさせて笑い転げてるヨダナ。ひとしきり大笑いしたあと、あれ?ってなる。
いつものビマならヨダナはもうとっくにどつかれてるんですよね。なのにビマは微動だにせずベッド脇でなんかショモ……ってしてる。元気がなさそう。
これでも一応恋人なので、心配になってくるヨダナ。どうしたのだ、って手を伸ばそうとしたところで、部屋の外が騒がしくなる。

「ドゥリーヨダナ、大丈夫!?」
「まだ食われていないか」
「旦那ぁ!待ってろ、今あの馬鹿をぶっ飛ばしてやる!」
マスターと親友たちの声に、お、ってなるヨダナ。でも次の瞬間、滅茶苦茶ビグマが唸るんですね。ドアの方を睨んでいる。
それで何かヤバそうだなと思って、ヨダナは咄嗟に「わし様は無事だ!心配するな!」って声を張り上げる。
「ただちょっとお前らが来るとビグマが暴れそうだ!部屋には入らん方がいい!」
「ビグマ……?」
「ヒグマのビーマだからってことかあ?そもそも何でビーマのやつ、旦那を部屋に連れ込んでるんだよ?」
『ヒグマは自分の獲物に執着するって言うからねえ』
「あの野郎、旦那のこと自分の物だと思ってんのか!?一度殺したから!?」
「落ち着けアシュヴァッターマン!」
アシュヴァッターマンはドアの向こうで大騒ぎしてるけど、ヨダナはさすがにそれだけの理由で執着されてると思ってないので(というかそもそもあの決闘をビマの方で引きずってると思ってないので)、こいつ……ちゃんとわし様のこと自分の恋人って思ってたんだな……まあわし様がこいつのものなわけではなく、こいつがわし様のものなのだが!ってちょっと照れちゃう。照れついでにビグマの耳の辺りを掻いてやったら、ビクッ!ってした後にビグマが滅茶苦茶頭を押し付けてきた。

マスターたちとドア越しに話して、とりあえずビマが戻るまではヨダナは周回免除になりました。
急な休みにやったー!ってなるヨダナ。思わずビマに抱きついて撫で回し、「よくやった!」とか言っちゃう。
ビマはヨダナが褒めてくれたし撫でてくれるのでご機嫌。完全に思考が熊に寄ってしまっている。

それで三日くらいは二人というか一人と一匹でのんびり過ごすんですね。と言ってもビマはほぼ何もできないので、ヨダナは端末で本を読んだり、ビマの腹に寄りかかって昼寝したりしてるだけなんですけど。
ビマはヨダナにずっとくっついてて、ヨダナが本を読みながら撫でてくれるのに目を細めたり、自分に寄りかかって寝ているヨダナの顔をじっと眺めていたりする。

途中で暇だな~ってヨダナがビマの部屋を漁って、ビマが作ってたヨダナに食わせてみたい料理リストを見つけちゃったりもする。
ヨダナからすれば知らん料理ばかりなので、「何だこの呪文は?」って言いながら端末で一つ一つ検索をかけて調べるんですね、暇なんで。
「たまごふわふわ……何かと思ったらマスターの故郷の料理なのか、ほおん」「オーギョーチ……?ゼリーとは違うのか?」とか言いながらヨダナが料理を調べてるその反応をビマはじっと見て、感触がよさそうなやつを今すぐ作りたくなるんだけど、ヒグマなので何もできず……ただヨダナのころころ変わる表情を見ている。

なんか自分たちには珍しいくらい穏やかな時間が流れてるし、このままでもいいのかな……って気持ちがちょっぴりビマにも湧いてくるんですけど、そうは思ってないやつがいるんですね。
三日で飽きたヨダナです。

「なあビーマ、お前いつ戻るのだ?」
ビグマの手に生えた大きな爪をちょいちょいつつきながら、うんざりしたように呟くヨダナ。
「最初は面白いと思ったし、静かなお前は癪に触ることも言わなくていいと思ったが……これではせっかく共にいても、愛を囁き合うことも、まぐあうこともできんではないか」
お前の料理も食べれないし。
口調とは裏腹に、ヨダナが寂しげな顔をしてるのを見て、ビマは初めて「戻らないと……」って思う。
思っても戻り方はわからない。どうしよう……って思ってたら何かヨダナの様子がおかしいというか、「んー」とか言いながらビマの下腹部辺りを見ている。
「わし様、獣とヤる趣味はないが……まあ獣である前に恋人ではあるわけだし……ううん、わし様が主導権を握ればなんとか……?」
このトンチキ、この状態の俺とやる気か……!?衝撃が走るビマ。
こんなちょっと触れただけで相手に怪我させそうな体でやる気はないし、何より戻った後にヒグマのお前の方がよかったとか言われたら怒りのあまり肉団子にしてしまうかもしれないし、とにかく絶対嫌だ!!!!の気持ちになるビマ。
幸いその日はビマの下半身が襲われることはなく、ビマはとにかく……!とにかく早く戻らないと……!って念じながら、ヨダナに寄り添って眠る。

起きたら元に戻ってた。腕の中で眠るヨダナと、ヨダナを抱く腕が見慣れた自分のものになってることにビマがほっとしてたら、ヨダナが起きた。
「ん? お、おお~! 元に戻ったか! やれやれ、いつまでヒグマの世話をさせられるのかと思ったぞ!」
ヨダナが喜んでくれるし、ビマも嬉しかったんだけど、ヨダナが「マスターたちに報告しなきゃな。はあ~また周回三昧の日々か」って言うから、あ……ってなっちゃう。
ずっとあのままではいられなかったとは思うけど、次ヨダナと二人きりであんな穏やかな時間を過ごせるのはいつになるかわからなかったので。

でも散々周りに迷惑かけたし、早く復帰しないとな、マスターも俺やこいつがいなくて困ってるだろうし、って自分を納得させてたら、ヨダナがこっちをじっと見てる。
何だ?と思ったら、ヨダナがにんまり笑うんですね。ろくでもないこと考えてそうな顔。
「や~めた」
「は?」
「マスターに今すぐ報告するのはやめだ。明日にするぞ」
今元の姿に戻っているからと言って、またすぐヒグマの姿にならないとは限らないだろう。ヨダナが得意気に言う。念のためもう一日様子を見てみようと。
「マスターをぬか喜びさせるのは可哀想ではないか。確かに治ったと確認できてから報告した方がいい」
「だが……
「なに、まだ三日しか休んどらん。もう一日くらい休暇があってもいいだろう。その分、明日以降貢献すればよいのだ」
お前も病み上がりのようなものなのだから、無茶はしない方がいいぞ、ってさも善良ぶった言い方をされて、こいつこういう浅知恵がよく回るよな……とか思うビマ(口にしかけたけど賢明にも言わなかった)。

それでもビマは悩んだんだけど、結局ヨダナの話に乗ってしまい、お休み続行しちゃう。二人でゆっくりお話したり、端末で動画見たり、ビマがお前に迷惑かけたから詫びにって言えば周りにも怪しまれないはずだって、ヨダナに食べたいものを尋ねたりするんですね。
あとちゃんとえっちなこともしました。いつもより時間をかけて……
こんな風に二人でゆっくり過ごすのは初めてで、新鮮だしとても満たされちゃう。

充実した休みを過ごして、翌日からは日常に戻るビマヨダ。
でも丸一日一緒の休みの楽しさが忘れられなかったので、話し合って、マスターにだけは交際のことを報告して、こっそり休みの都合をつけてもらうようになりました。
めでたしめでたし。