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HAZURE_Mapo
2024-02-15 23:30:43
2557文字
Public
SO2文章 物語を彩るモノたち
物語を彩るモノたち【狼狽える剣】
SO2に出てくるモノ視点の話。登場キャラはディアス・レオン・レナ。 ※物が喋ってます
「
……
じいさん、これはあんたが鍛錬した剣なのか?」
「そうじゃ。近年は儂のことを老いぼれだの、儂の鍛えた剣には錆が付いている、もう刀匠として終わりだの言われておるがな。しかしこれは儂が手掛けた剣の中でも最高傑作と言っても過言ではない。自信作じゃ。きっとお主の力になるだろう。
……
どうじゃ、感触は」
「
……
悪くない。むしろこれまで街の中にある武具店を片っ端から回ってきたが、これほど感触の良い剣はなかった。
……
そうだな、これを武具大会で使わせてもらおう」
「おぉ
……
ありがとう。この剣もお主のような名高い剣士に使ってもらえて、きっと喜んでいるはずじゃ。どうかよろしく頼む」
「あぁ、この剣で必ず優勝する」
この時、この会話を静かに聴いていた。
私を造ったギャムジー爺、安堵した顔をしていた。無理もない。誰も見向きしてくれないと落ち込んでいるギャムジー爺を心配した、幼い孫のソフィアまでもが武具大会の登録選手を探していた。そこにエクスペル随一の剣豪であるディアス・フラックが現れた。名前は噂で聞いた事はあったが、まさかこれほどの手練れが武具大会に出場するとは思わなかった。これで断られたら刀匠としての看板を下すところだっただろうが、私は見初められた。
そして当然の如く、武具大会は優勝した。
私はそのまま使用者である彼の武器として収まる事になり、彼は真の主となった。
私自身も主が所持するに相応しい剣と言う事を自負している。
これまで多くの魔物を討伐してきたが、刃こぼれ一つ起こしていない。むしろ多くの魔物を斬ったことにより、以前より切れ味が鋭くなっていると我が身ながら感じる。
まだまだ、まだまだ主の力になれる。私は主が持つに相応しい武具になりたいのだ。
◇
武具大会が終了した数ヶ月後の現在、紋章兵器ラクールホープとやらが完成するまでの間、魔物の群れを食い止めるため前線基地で連日連戦が続いている。
今日は魔物が落ち着いているが、今後どうなるかわからない。だから今のうちに主を含む前線部隊は休息を取ることになった。
その休息の合間に、主は私の手入れをしてくれた。主は真剣な表情で私と向き合い細かな傷などを確認しているが、表情とは裏腹にどこか童心に戻ったような感覚が見て取れる。恐らくこれが癒しのひと時なのだ。私と主、お互いの。
そんな時だった。
「こんなところにいたの、ディアス。連日の魔物討伐で疲れてるのにごめんね。少しお願いがあるんだけど
……
」
「
……
レナか。こんな遅い時間にどうした」
「実はね、レオンがディアスの剣を持ってみたいって言ってるの。少しだけなら、いいかな?」
「どういう風の吹き回しだ
……
」
「レオン、武具大会でディアスの試合を見ていたんだって。その時は何の興味も湧かなかったんだけど、前線基地であの時より間近でディアスの戦ってる様子を見て、自分も剣を持ってみたくなったそうなの。もちろん、真剣は危険だから断られる可能性のほうが高いことも伝えたわよ。それでもダメ元でお願いしたいって。ほら、レオン。私の後ろに隠れてないで、直接ディアスにお願いしようね」
「う、うん。ディアスお兄ちゃん。お願い、します」
「
…………
」
私を、この小僧に、持たせる、だと?
笑わせてくれる。まだ成長途中の未熟な身体に私が持てる筈もない。それに前線基地で度々主の仲間と歓談していた際の此奴を観察していたが、人を見下した言い様が常の此奴に、私を持つ資格などないわ。この様な奴は性根も曲がっているに違いない。自分の捻くれた物言いを改めてから出直してもらいたいところだ。主もきっと同じ思いだろう。
「
……
こっちに来い」
「! うん!」
……
ん?主よ、どうした?
まさか、私を持たせるつもりか?
「
……
持ってみろ」
な、何?何を言い出すんだ?
何故、何故こんな、こんな人の心を踏み躙るような小僧に!?わからん
……
わから、
ぎゃあっ!
「わ
……
おも、重たい!重たいよ!」
「お前がまだ一人で持てる訳ないだろう。オレがお前の後ろから支える。
……
持ち方はこうだ」
「わぁ
……
凄い、剣士になったみたい!」
「少し素振りでもしてみるか」
「本当!?
わ、わ、わわっ!わーっ!」
ぐぇぇぇ
……
いくら、主が主力となる素振りでも、小僧の分散される弱々しい力と、主の力強くて洗練された二つの異なる力が、同時に私に伝わって、そのうえ上下に振られて、気持ち、悪い
……
◇
「ディアスお兄ちゃん、本当にありがとう!」
「私からもお礼を言うわ。疲れているのにありがとう、ディアス」
「大したことはしていない。もう夜も遅いから早く戻れ」
「わかったわよ。レオン、戻ろっか。それじゃあね、おやすみ」
「おやすみなさい、ディアスお兄ちゃん」
「あぁ」
やっと戻ったか
……
それにしても主よ、何故こんな事を引き受けたんだ。魔物討伐よりよっぽど酷使された気分だ。大事にされていたと感じていたのだが、それは私の思い違いだったのか。
そう落ち込んでいた時に、主の手が私の柄にそっと添えられた。
「
……
すまなかったな。オレ以外の手に触れられる事はお前を造った爺さん以外になかっただろう。ましてや子供だ、小さすぎる手の感触や力の伝わり方に違和感を感じた筈だ。そしてアイツは大人が多い環境で育ってるらしいからな。自己顕示欲が旺盛なのも相まってあんな性格になっているんだろう。
ただ、子供の人生には大人以上に様々な分岐点がある。身近にいなかった大人でも何かの偶然で導いてやる機会があれば、今は曲がっている道だろうが真っ直ぐな道に軌道修正出来るかもしれないと。今回の経験がアイツの人生の一端になればと思ってやった事だ。分かってくれ」
主の声が聞こえてきた気がした。
主は、私の考えが分かっていたのか。
主は、小僧の未来を思って行動していたのか
……
私は、私の事しか考えていなかった。
主の心意気、しかと受け取った。
私もまだまだ未熟者。主の考えを理解し、主に相応しい武具になるよう精進することをここに誓う。
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