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ガイベル
2024-02-14 15:15:03
2736文字
Public
お話
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Happy Valentine’s Day!
バレンタインデーのサニバジ
カレンダーによると本日はバレンタインデーらしい。
今のサニーにとっては数日後に控えている恋人の誕生日の方がよっぽど頭を悩ませる一大イベントであるのだが
……
、世間的にはそんな事は関係がない。カレッジではこの日について、謎の盛り上がりが起こった。
『東の小国では恋人に限らず親しい友人や家族にチョコレート菓子を配る日になっているらしい』
などという話がどこからか広まり、この地域で既にあるものとは別の文化として
"お菓子がもらえるなんてハロウィーンみたいでワクワクする!"
"みんなで持ち寄ってパーティーとかやろう!"
というような具合だ。
……
なにも用意をしていない自分も流れで巻き込まれ、何故だか帰る頃にはそれぞれ誰から渡されたかも把握が難しいほど紙袋いっぱいの市販菓子を抱えるハメになった。
普段こちらではみないような海外のパッケージのものもいくつかある。たけのこ
…
?
ジャンクなものは結構好きだけど、お菓子なら僕はどちらかというと親しい人たちの手作りの方が好ましく思う。家にいるバジルも元々甘いもの、そんなに好きじゃないし。
彼に至っては菓子より花でも持って帰った方がよっぽど喜ばれそうだというのが想像に難くない。
腕がたくさんあれば良かったのだが、あいにくとサニーが現実で使役できる手は頼りない細腕2本のみで、それは現在菓子袋に占領されてしまっている。
……
余ったものは、今日会わなかった友人たちにあげるでも、それこそハロウィーンよろしく近所のこどもたちに配るでも、何でもいいか。
帰宅後、キッチンで夕食の準備をしているバジルにただいまと声をかけ、紙袋をリビングのテーブルにどさりと置いた。季節的にも別に溶けたりはしないだろうし、すぐ腐るようなものでもない。ひとまずの置き場として悪くはないだろう。
料理がひと段落したのかこちらの様子を見に寄ってきたバジルにただいまのハグと、頬へのキスをする。彼はちょっと冷えてるね、と言いながら僕の頬を手のひらで包んで撫でてくれた。外から帰ったのだから、それは、まあ。
それからバジルが置いてある紙袋に興味深そうに目を向けたので、ことの経緯を説明して"食べたいものがあったら好きなだけ食べていい"と伝えた。
そうすると、お菓子の袋を手に取りながら
「こんなにいっぱい貰ってサニーくんてばモテモテだね」
だなんて茶化してきた。仮にも恋人の、少し他人事のような言葉になんだかムッとして、バジルのおでこにコツンと頭突きを喰らわせてぐりぐりさせる。
「
……
嫉妬した?」
自分がこんな聞き方をしてもきっと彼には
『サニーくんてば、かわいい!』などと思われるだけなんだろう。反応が目に浮かぶようだ。
そう思っていたら、僕の顔を見ていたバジルは何かを考えるように伏し目がちになった後、ふいに僕の唇にちゅ、と軽いキスをして、
「
……
ちょっとだけ、するよ。嫉妬」と答えた。
そして今度は僕の肩に顔を埋めると小さな声で
「キミは、素敵な人だから
……
」と続けた。
思っていたよりすごく恥ずかしい事になった気がして顔がすごく熱い。
それでも、今すぐにバジルの顔を見たい。
「
……
バジル」
「
………………
。」
「バジル ねえ、キスしたい」
声に応えるように僕の肩から少し顔を上げた彼の返事を待たずに口づけた。
お互いの鼓動が聞こえそうなぐらいぎゅっと抱きしめあって、ずっとこのままでいたいと思った。
バジルは僕の胸に顔を埋めながら小さな声で
「サニーくん、ずっと傍にいて
……
どこにもいかないでね
……
」と繰り返す。
そんな彼の背を撫でたりしてあやしながらしばらくそうしていると、突然何かを思い出したかのようにハッとして身体を離される。
「サニーくんごめん、牛乳を買うのを忘れてて、シチューがまだ完成してないんだ!」
は?牛乳?
ほんとにごめんね、今日はサニーくんの好きなお肉も焼くし、デザートも作るから
……
買ってきてくれる?とうるうるした上目遣いに頼まれる。
それを使うタイミング、絶対今じゃないだろ。
さっきまでどこにも行かないで、傍にいて
……
などと言っていたのはこの口か?と思いながらバジルの両頬をつねって伸ばす。意外とよく伸びる。
「ごへん、ほんほにごめんへ」
ほっぺを伸ばされたままの彼がむにゃむにゃ何事か言っているがよくわからない。
仕方がないからさっさとお使いを済ませに行くか。
「ほかには?」
「うーん、特になにも」
気をつけて行ってきてね、という言葉と共にマフラーをぐるぐる巻きにされた。
せっかく両手が身軽になった事だからついでに色々見てこようかな。そう考えながら扉を開けた。
◆◇◆◇
牛乳と、サニーの帰りを待っている。
鍋と共にキッチンに佇んでいても仕方がないので、彼が放置していったお菓子を整理することにした。
結構な量の袋の数々に、サニーくんは本当に色んな人に好かれるなと思った。
一緒に出かける時も、彼が知り合いに声をかけられたと思ったら何事か頼まれた後にお礼と称して色々貰っていることを知っている。
……
この市販ファミリーパックの大袋は兄弟や家族の多い人用のものだったんじゃ
……
などと思いながら、足の早そうなものや溶けやすそうなものをより分ける。
その中に気になるチョコレート菓子があった。
サニーが好きなものを食べていい、と言っていたことを思い出し、その大袋を開ける。
バラバラと出てきたそれは一つ一つが小さくて、キャンディなようなつつみにくるまれている。
四角い形の上側にはアルファベットが刻まれていた。
ランダムに入っているらしいそれは、さながらパソコンの黒いキーボードのようで、組み合わせれば簡単な単語程度は作れそうだ。
ぱっと思いついたままにそのチョコレートたちを机の上で整列させる。
「
……
なんつって
…
」
自分で作ったその配列を見ていたらなんだかちょっと顔が熱くなってきた。サニーくんが帰ってくる前に部屋の換気でもしよう。
窓を開けると今の自分には心地よい冷たい風が頬を撫でるように吹き込んでくる。
バレンタインか
……
、ぼくも何か用意するべきだったのかな
……
と今更すぎることを考えながら、窓から見える綺麗な夕焼けを眺めた。
終わり.
_____
バレンタインってよくわかんないけど、
聞くところによると日本の2月のお祭りで
ブラックスペースあたりではstrangerがアルファベットチョコレートの【I.M.S.Y.O.U.N】を恵方とかいう方角に立っているオモリに「向き合って!!!」と言いながら投げつけてくるイベントらしい
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