鶏屋栄/夢鮪 20↑
2024-02-14 01:04:56
776文字
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一線を踏み越える話

バレンタインにかこつけて書きました。
疾走感があります。
本橋と個性強め強気夢主

キスをするより、チョコレートを舌で溶かした方が心地よいらしい。じゃあ、チョコレートを溶かしながらキスをしたら?
「ね、気にならない?」
前提を説明して、同意を求める。
「んー……別に?」
すげなくスルーされてしまった。キスの口実だとわかりやす過ぎたかもしれない。別にいいのだけど。相手は本橋だし。
「おいで。」
呼べば当たり前のようにそいつは私の元へ来る。ソワソワした表情が可愛い。あんな誘い文句を言ったあとだから、私のことが好きなのかしら、なんて勘違いしそうになる。
躊躇いを押し込んで。チョコレートをひとつ、口に放り込んで。
リードを引っ張った。胸ぐらを掴んで唇を合わせ、腕を掴んで強引に座らせる。
前提をしっかり覚えているのだろう、本橋の厚い舌が伸びてきた。意外にも私より体温の高い本橋の舌でチョコレートがとけてゆく。きもちいい。脳がふわふわして、チョコは甘くて。
本橋の口の中に塗りたくるようにチョコを押し込んで味わう。ひとつじゃ足りない、ふたつ目に手を伸ばして、口を離す。足してからまたチョコと唾液で溢れた本橋の口を塞いだ。あまい、きもちいい。もっとほしい。本橋の目もこころなしか蕩けていて、同じ心地良さを感じてくれていればいい、と思う。
本橋の舌先をちゅう、と吸えばその口に溜まったチョコを流し込まれる。とろりと口内を流れるその感覚に背中がびりびりと痺れた。ごく、こくんと飲み込んだそれの甘さにうっとりして、言葉が出ない。こんなに心地よいなら、ずっと口を繋げていたい。
「部屋、いこ」
いつ誰が入ってくるとも分からぬリビングより、ノックで確かめられる部屋の方が遥かに安全だ。机に広げられた本橋特製のチョコレートを持てるだけ持って、早足で本橋の部屋に入る。
ドアを閉めて、それからすぐ本橋の口を塞いで。飽きるまでずっと、繰り返していた。