鹿
2023-12-31 19:48:57
2139文字
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ある暑い日の新選組

11月なのに暑すぎる日に書いたCPなしぐだぐだ新選組のわちゃわちゃ話

「暑い」
「言うな」
「暑いね……
「言うなっつってんだろ」
某月某日、カルデア新選組屯所。ここはいわゆるぐだぐだ部屋と呼ばれる黄金茶室の隣、カルデアが南極から彷徨海、果てはストームボーダーに移ろうと、変わらずボイラー室横のカルマを背負わされる部屋である。
「暑いと言ったら余計に暑くなるって言うんだろうけどね、黙ってても暑さが和らぐわけでもないよ。むしろ無言でいる方が気が滅入る」
「俺はお前のお小言に気が滅入ってるが?」
新選組の総長と副長があまりに無益な争いをはじめようとしたため、三番隊隊長は部屋の隅の給湯スペースに逃げ込もうかと思ったが、中にあった麦茶を飲み尽くし唸る箱に成り果てた冷蔵庫が余計に暑くて断念した。
「第一これは君がレイシフト先であの小さい信長公を拾って編成してたせいじゃないのかい」
「使えるもん使って何が悪いんだよ。ぐだぐだ粒子がカルデアの機関に誤作動を起こさせるとか知らねえよ。技術顧問だって何これ知らなーいっつってたろ」
「投げやりになってましたねえあれは……
そもそもぐだぐだ粒子なる謎物質の出所も作用も、カルデアでは解明が(見ていると頭が痛くなるという理由で)進んでおらず、異常な放熱を起こすボイラーの修理が終わるまで、被害拡大を防ぐために先のレイシフトメンバーはここに隔離されているのである。
「みんなへとへと新選組ですね。煉獄、どうでしょう、ふたりでズバババーッと風でも起こしてみるのは」
「室内で何するつもりなの主」
「はあ全く……これが新選組の現状かと思うと座の近藤さんに申し訳が立ちませんね……
「うるせえよ沖田」
「ごめんね沖田ちゃんたち、今ツッコむ余裕無いわ」
「ああ、いいね沖田くんたちは……涼しそうで……
室内の熱気は凄まじく、水着霊基持ちは早々に着替えていた。生前の感覚を引きずりがちな近代サーヴァントにとって、霊基や霊衣の切り替えは体感温度に大きな影響を与えるらしく、この二人(煉獄と分離しているので実質三人)は男どもに比べて圧倒的に元気である。
「だから私は前々から言ってたんですよ、夏霊衣を仕立ててもらいましょうって。この現状はぐだぐだ粒子のせいではなく、皆さんの怠慢ゆえと言わざるを得ません」
「怠慢……サボりということですか?ノーマル私」
「そうですよオルタ私。カルデアには続々と新しいサーヴァントが召喚されています。いつまでも現状に留まっていては、レイシフトにだってお呼びがかからなくなるかもしれません!最近毎日マスターとカジノに出かけてるニトクリスさんや蘆屋さんだって別霊基や夏の装いを……
それは単に所持スキルの問題だろうと男性陣は思ったが、口に出す気力はなかった。代わりに煉獄がいや関係なくない?と言ったが、話が盛り上がってきている沖田たちには聞き入れられなかった。
「というわけで『第一回!マスターの心にガッツリ刺さる夏霊衣を考えて目指せ新選組大勝利〜!ミーティング』を開催します!」
「わー、ぱちぱち。ほら煉獄も」
「はいはいぱちぱち」
一体どこから持ってきたのか、ホワイトボードにでかでかと作戦名を書きつけながら沖田が宣言し、沖田が賑やかす。男たちは沈黙する。
「夏服の男性サーヴァントも増えてきましたし、生半可なインパクトでは太刀打ち出来ませんよ!とりあえずジェット付けときます⁈」
「ノーマル私と被ってしまうのは良くないのでは?」
「うーんそれは確かに、しかしまだ誰もやっていない方向性の夏服あるいは水着とは……
「そうです。ですからここはやはりビーム……
「それこそあちこちと被るでしょうが!」
霊衣を着る本人は放ったらかしのまま盛り上がるふたりの沖田たちに、男たちはいよいよぐったり新選組である。
「もー!土方さんたちも何か意見出してくださいよ!」
「なんでもいい」
「勝手にやってて」
「じゃあ土方さんは赤フン一丁、斎藤さんはギリッギリの丈の黒ビキニで。クレーンさんに発注かけてきます」
「「待てコラ」」
気力を使い果たしたかに見えた土方と斎藤も思わず立ち上がって抗議した。そもそも今待機命令が出ていることも忘れて赤フンと黒ビキニの注文書を提出しに行こうとする沖田を羽交締めにする。暑さはますますひどくなるばかりだ。
「まあまあ沖田くん落ち着いて」
「山南さん、だってこの人たち真面目にやらないんですよ」
「てめえはなんでそこまで真剣なんだよ!」
「せめて誠って文字も入れてあげるのはどうだろう」
「山南ィ!」
「総長⁉︎」
「おお、積極的な発言です。まじんさんポイントをあげます」
「主、何その制度、いつ作ったの」
「さすがですね山南さん。じゃあ山南さんは浴衣に日傘の未亡人スタイルで……
「何無難な衣装獲得しようとしてんだ山南コラ!」
「そうですよ!誠の旗に集った同志、ネタ化する時は一緒でしょう⁉︎」
「聞いたことないなそんなの……
新選組総長突然の裏切りか、暑さで朦朧とした故かわからぬ発言に、屯所内はますますヒートアップするばかりである。
その熱量にはカルデア技術顧問も辟易し、もう修理終わったけど報告またあとでいいか……と思わずスルーしたほどであった。