ree_1116
2017-12-05 22:24:18
5995文字
Public
 

からさちさんへ(^-^)

勝手に書いてみました…イメージ違ってると思いますが許して下さいっっ

「はぁ、はぁっ、」

このままでは、とただただ駆ける。
相手の思い通りに誘導されていることくらいわかってた。
それでも、立ち止まるわけにはいかないというのに、

「クソ、」

どうする?どうする?

足を止めた先は、行き止まり。完全に追い詰められた。辺りを囲まれていることもわかってた。

「は、はぁっ、」

まだ使えるきっと、と掌を翳す。
歯を食いしばり、息を潜めて、集中する。

此処ではない、何処か。

「居たぞ!」

何処かへ、

「取り押さえろ!」

誰か、


誰か、







「お?おお?」

突如聞こえたのは、何かが落ちた音っつーか、どん!みてぇな音だった。
空は快晴。波は穏やか。
ついさっきはどでかい雹なんか降って来やがってそりゃもう大変だったが、今はなんてことない普通の海だってのに。

「なんだぁ?」
「なんだろうな?」

一緒に並んで釣りしてたルフィが手摺りからひょいと降りて、音のしたほうへと行くから俺もなんとなくついて行く。空から何か降って来たって感じの音だったから、真上を見てみたが、そこにも雲一つない、青。

「うおっ、」

なんだろうな、と空を見てたから前を歩くルフィのやつが止まったことに気付くのが遅れて、とんと背にぶつかった。って?

「ルフィ?」

急に止まるなと言おうとした声は違うもんになった。
立ち止まったやつの気配が、

「どうしたぁ?なんかあったのか?」

だから、とそいつの先を覗き見た瞬間、

「はああああああ??????」

疑問符が行きかった。
って、なんだこれ?なんだこれ?

床。甲板。
そこに転がっているのは、トラ男だ。大の字みてぇに倒れ込んでてその上に、女。
って、女?

「誰だ?」

バルトロメオの船にこんないい女居たか?
いや、ってかなんでこんなことになってんだ?
俺たちに気付いた女は表情ないままこちらを睨み、トラ男のつかあれ気失ってんのか? 喉元に刀を突きたてる。まるで、脅しだ。って、なんで脅す必要があるってんだ?

「動かないで」

聞こえた声は何処か張りつめてるような気がした。

「おいおい、落ち着けっての」
「動くなと言ったはずよ」

いやだからよ待てと思って一歩前に出た途端、制止の声と共に刃先を喉に食い込ませるってなんだっての?
確かにだ。バルトロメオだって言ってた。なんであんなやつと先輩が同盟なんてとか相手があいつなんてとか。それはもう悔しそうにってか羨ましいみてぇに。ルフィ先輩と仲良くしやがって、とかなんとかそりゃもう色々言ってたけどよ。何処までもルフィのファンらしきやつらが、トラ男のこと良く思ってねぇのはわかってた。だからってよ、それはねぇんじゃねぇの?いくら気に食わねぇからってまるで殺すみてぇな……ってちょっと待て?ロメオんとこのやつなら、ルフィを睨むなんてなくね?あれ?ってことは、どういうことになるんだ?

わらわらと人が集まってくる。何?どうした?とロビンやフランキー、ゾロも俺の横に並ぶ。
まるで一触即発な女にゾロが刀に手を掛けた。

……もう一度言うわ。動かないでわかるでしょう?」

動けばこの人がどうなるか、とこちらを向いたままの女は、更に刃をトラ男に突き刺す。プスリと刃先が食い込んだ先からじわじわと、血の色が見えた。本気だ。って、どうすんだよこれ。つか、この女はなんだ?何処から出て来たってんだ??

……ん?」

その時、気絶してたと思っていたトラ男が、ゆっくりと目を開ける。じっと見た先は、ルフィだ。そうして、自分の上に居る女へと視線を向け、ひとつ頷いた。反撃か、と思ったが、

「お前、」

ルフィが、一歩前に出る。
俺たちには動くなと、片手で制しながら。
一歩前へ、

「聞こえてなかったの?動くなと言ったのよ」

女はじっとこちらを見た、まま。
静かに淡々と声を出す。
無表情に思えたそれが微妙に崩れたのは、その直後だった。

「トラ……ローか?」
「え?」

って、おいおいおいおいなぁに言ってんだよルフィ。ローかって、そいつ女じゃん。つか、トラ男はそこに居んだろと突っ込もうとしたけど、

……麦わら屋さん、久し振りね。元気そうでなにより。あなたが居るということは、ここはあなたの船ってことでいいのかしら?」

ってーーー!!認めた?え?認めたってことはどういうことだ?
この女、トラ男なのか?は?
そういえば、トラ男と同じ服着てるし、刀を握った指にも同じ文字が見えてるけどよ。いや、ってかえ?

「俺の船じゃねぇ」
そう。ここはどこ?」
「どこって、海の上だろ?」
……そうね。質問が悪かったわ。どこへ向かってるの?」
「ゾウだ」
……え?」
「ドレスローザから出て、ゾウに向かってるとこだ」
……どういうこと?」

いや、だからどういうことはこっちの台詞だっての。

「お前どうしたんだよ?」

そうそう、どうしたんだよ?

「そんな怖い顔して」

一歩。またルフィが前に出れば、く、と顔を顰めた女は更に刀を傾けた。

「動くなと」
「何そんな怖がってんだよ?」
「動かないで。この人、殺すわよ」

ぐぐっと柄を握った手に力が籠ったのがわかった。
トラ男は動かない。ただ、倒れたまま。見てるだけ。
つか、マジでどうすんだってのと隣りにいるゾロを見れば、なんてことない顔をしてて、今にも殺されそうになってるトラ男は、何故かふと笑んで目を閉ざした。

……本気よ」
「馬鹿だなぁ」

そんな脅しに屈することなく近付いたルフィは、手を伸ばした。
そうして、その動きに一瞬、身を引き掛けた女を、

「っ、」

抱き締めた。

「な、何をっ」
「ここにお前の敵は居ねぇよ」

だから、安心しろと。ぽんぽんとまるであやすかのように、背を撫ぜ、また馬鹿だなぁと聞いたことのないような優しい声で、笑った。







……私、ドレスローザに居たの」

暫くルフィに抱き締められていた女は静かに、そう言い出した。
トラ男に突き付けていた刀を鞘に納め、一度俺たちを見回してから。

「ドレスローザ?」
「そうよ……だから、よくわからない」

ここにいるのがってことか?

「取り合えず退いてくれないか?」
「あ、ああごめんなさい…………あなた、」
「怪我してる」
「え?」
「ROOM」

下敷きになったままのトラ男が能力を使って呼び寄せたのは、ガーゼとかそういうもんで。

「ほら、腕」

出せと、女を膝に乗せたまま、治療を施していく。

「あなた私なの?」
「そうみてぇだな」

って、なにか納得し合ってるけど??

「結局どーいうことなんだぁ?」
「さぁな」

まぁいいじゃねぇか、とゾロはそのままどっか行っちまったけどよ。

「いや、だから」

どういうことなんだっての?







「多分、時空というか次元を飛んでしまったのね」

淡々とすげぇことを言ったのは、ロビンだった。

「って、ロビン。んなこと出来るってのかぁ?」
「でも現に、二人いるでしょう?」
「まぁそうなんだけどよ」

女の手当が終わり、俺とルフィ、トラ男、ロビン、フランキーとで輪になって座り込んだ。珍しく気を利かせたバルトロメオがコーヒーでもどうぞと運んできて、改めて今起こっていることを確認しようって流れになっての今だ。

女の話しでは単身ドレスローザに乗り込んで追い詰められ、どうしようもなくなって、発動できるかわからないままだったけど能力を使って、飛んだという。そうして、ここにきてしまったと。

「ここではない何処かに何処でもいいから、誰かの元にと思ってシャンブルズを使ったの」
「で、突然俺の上に落ちてきたってわけか」
……さっき、ゾウに向かってると言ってたわね」
「おう、そうだぞ!」
「ということはあなたは本懐を遂げたってこと?」

本懐?

……ああ、麦わら屋たちや沢山の人たちのおかげでな」

トラ男は、隣りのルフィを見て微笑む。その笑みに返すようにルフィも笑ったけど、あ!と突然何処かに行っちまった。腹でも減ったのか?この場で大人しく話し聞いてるようなやつじゃねぇし、まぁいいか。そんなルフィの背を見てた女は、ひとつ頷き、何とも言えない顔をしてトラ男に、

「そう……おめでとう」
「ありがとう」

祝う言葉を使った。
なんとなくドフラミンゴを倒したことなんだろうなぁとは思う。よくわかんねぇけど。

「お前は単身と言っていたな」
「ええ、そうよ。一人で乗り込んだの。ペンギンたちにはゾウに向かわせて一人で。なんとかなると思ってたけど、このありさまよ。命を捨てる覚悟はあったけどまだ何も成しえてない。だから死ぬわけにはいかないと思って」
「あいつを討ち取る気だったのか?」
「違うわ。まずは工場の場所とパンクハザードの位置を知りたくて」
「ってことは、カイドウとぶつけようって魂胆か」
「ええ。SADの取引を使おうと思った」
「俺と同じか」

ふむ、とひとつ。
トラ男は何か考え込むみてぇにしてから、続けた。

「七武海にはなったのか?」
……心臓百個集めてね」

って、んなことしたのか?そんな可愛い顔して???

「それも俺と同じか

って、トラ男もやったのかよ。

「海軍ならと思ったけど結局パンクハザードがどこにあるのかわからなくて」
「それで直接ドレスローザに乗り込んだってのか?」
「ドレスローザには工場がある。ということは、SADが運び込まれてるってことでしょう。港で張っていればその船は必ず来る。密航して、島の位置を掴もうと思ったのよ。でも、港にそれらしき船は来なくて、偶然見つけた地下に降りたところで幹部に見つかって顔は見られてないから私だとは気付かれてないとは思うけど」

く、と歯を食い縛る。
その時のことを思い出しているのか。それとも、この先どうすれば、とでも考えているのか。
表情に、場の空気が神妙になったってのに、

……お前、何歳だ?」

突然、そんなこと言い出したのは、トラ男で。
って、お前。年ってな。今そんなこと聞いてどうすんだよと思ったけど、

……25よ」
「そうか。俺は26だ」

いや、だからよ。それがどうしたって、

……そういうこと?」
「多分な」

いや、だから君たち。なにがそういうことなんだっての?

「七武海になってから、半年くらいか?」
「そうね」
「で、待ちきれなくて動いちまった」
「ええ」
「焦り過ぎだ。後少し待てば、とある作戦に召集される」
……そう、わかったわ」

だからよ、何二人で。
まぁトラ男同士だからなんか通じ合ってんのかもだけどよ。

「体力が回復したら……能力を使って戻る」
「ああ。そうしろ」

ってなんか簡単に言ってるけど?

「おいおい、戻れんのか?」
「さぁ、どうかしら。でも、きっと大丈夫よ。仲間たちのことを思って、船にあるものと入れ替わる。そして、海軍の狗として暫く大人しくしてるわ」
「それがいいだろう」
「ええ」

よくわかんねぇけど、一応、なんかまとまったみてぇだ。
いいところで、ロメオんとこのやつが皆さまお食事ですよ、と呼び掛けてきたから、お開きになったんだけど。

「トラ男ー」

何処かに行っていたルフィが戻ってくる。
そうして、

「ペタするぞ」

と、トラ男に言って張り付けたのは、絆創膏だった。
そういや、女に首筋斬られたんだったな。

「痛くねぇか?」
「痛くねぇよ」
「そか。なら、良かった」
「ああ」

そんな二人のやり取りを見てた、女がふふっと笑う。

「なんか仲良しね」
「ええ、そうなのよ」
「素敵ね」
「ええ」

って、なんだ?

そのままルフィは行くぞ飯だ!とトラ男の手を引き、引っ張るなと言いつつもトラ男はその手を否定することなく。
そんな様を見ると確かに仲良くなったなとは思う。以前とはどこか雰囲気が違うってか。トラ男がやわらかいってか。でも、それって素敵なのかぁ?

「少し妬けるわ」
「トラ男くん?」
「ええ私がまだ果たしてないことを成し遂げて今を生きてる」
「あなたはこれから成すのでしょう?」
「そのつもり。だけど同じ結末になるかはわからないでしょう……あんな顔も出来るのね」

知らなかったとロビンと二人並んで、ルフィに引っ張られてるトラ男を見てる。
分かり難くではあるが確かに笑っているのが、少し離れたここからでもわかった。

「私ね」

とん、とひとつ。
トラ男と同じ刀を担ぎ直して、視線を海へと向けてから、

「ここに来る直前まで絶望しかなかった後悔してた。誰かに助けを求めるみたいに祈った先に男の自分がいるなんて思っても見なかったけど。おかげで、希望が出来たわ。戻った先、知りたかったことが、知れる。きっと麦わら屋さんとも再会出来る。……この世界のローが出会えたのなら、私もあなたたちに出逢えるのかもしれないわよね」
「出会えたとして、その時あなたはどうするの?」
そうね。彼のように麦わら屋さんと恋でもしようかしら」

へ?

「私もあんな風に笑えるのかしらねえ?キャ、」

今なんか思ってもねぇ言葉を聞いたようなと思った瞬間、ロビンと笑い合ってた女の腰にぐるぐると何かが、ってルフィの腕なんだけどよ、が巻き付いて一気に引き寄せられてた。

「何やってんだよ、トラ子。お前も早く来いって飯だ飯!!」

片手はトラ男と繋がったまま、強引に引っ張り寄せた女を抱きかかえ、めーしっめーしっと船内へと入って行ったけどよ。いや、なんだ。

あのよ、ロビン」
「なに、ウソップ」
「ルフィと恋するとかなんとか聞こえたんだけどよ」
「ええ、そうね。言ってたわね」
「彼のようにってトラ男
「あら、気付いてなかったの?」

気付いてなかったって、お前。んな、驚いたみてぇな顔しないでもいいじゃねぇかよ。気付くかよ、んなこと。しかもルフィだぞ。トラ男だぞ。普通気付かねぇだろっっ

きっと彼女も」
「あ?」
「いいえ、なんでもないわ」

何処からともなく吹き抜ける風に、ロビンは髪を押さえながら、

「彼女もトラ男くんと同じような結末が待っているといいわね」
「そうだな」

でもきっと、

「大丈夫だろ。あいつも向こうの世界の俺たちと同盟組むんだろうしな」
「ふふ、そうね」


トラ男と同じ道なりを歩んでいるなら、きっと絶対、いつの日か


「トラ男みてぇに笑えるさ」



2017.12.05 Ree.MORITA