ree_1116
2017-11-08 15:20:28
3451文字
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甘いもの(ルロー)

ルローワンライ。お題『甘いもの』遅刻してしまいましたが、参加させて頂きました。相変わらずの謎空間航海中です。ありきたりなものですが、宜しければどうぞですっっ

「いーやーだー!!!」

全く、何処の子供だってんだ。
さっきから、いうことを聞くわけもないやつが、また駄々を捏ねてる。チョッパーも困り顔で、それでも懸命に言い包めようとしてるが、さてどうしたもんかなぁ、なんて咥えてたタバコを深く吸い込んだ時、扉が開いた。

……なんの騒ぎだ」

うるせぇと言わんばかりの顔でやって来たのは、ローだ。
つか、お前。目の下真っ黒だぞ。もしかして寝てねぇってのか、こいつ。
昨日、立ち寄ったとある冬島。そこで、ずっと探していた本に巡り合えたとかで珍しく分かり難くはあったが、嬉しそうな顔してやがった。船に戻ってからは、アクアリウムに閉じ籠って飯すら忘れて読みふけっていたのは、知ってる。俺が寝る頃にも、朝目を覚ました時だって、ずっと閉じ籠ってたのも、知ってる。ってことは、今の今までずっと読んでたってのかぁ?んで、この騒ぎが煩くて文句のひとつでも言いに来たってかよ。全く、こいつもなぁ。

「あ、トラ男っ!!」

助けてくれ、と駆け寄ったチョッパーを抱き上げたところで、当然気付く。

「なんだ、麦わら屋?」

むすっとした顔の、やつ。
未だ口を尖らせ、嫌だと態度でも現しているやつ。
寝てろと言われたにも関わらず、だ。

「聞いてくれよ、トラ男~っっ」

話しはぶっちゃけ簡単、だ。
ルフィが風邪を引いた。熱もそれなりにかなり高い。
なんかだりぃと言ったやつを船医が診て、薬飲んでゆっくり寝てれば治るぞ、とちゃんとそいつに合う薬を調合してくれた。これ飲んで、と渡した粉薬。四角い紙の上に置かれたそれを、指でちょいと含んだところでの、完全否定。嫌だ苦い飲まねぇ、と本当に子供のように駄々捏ねやがって。最初こそはちゃんとベッドで横になってたってのに起き上がって、俺は嫌だの一点張り。

「ああ~……

チョッパーから話しを聞いたローは、片手で顔を覆って、呆れた声を出した。
成程な、とひとつ頷き、未だ完全否定体勢のルフィを見て、一言。

「馬鹿でも風邪は引くんだな」
「だよなぁ」
「って、なんだよっお前らっ!!」

馬鹿と言われたやつは、俺は病人なんだぞっ!なんて抜かしてやがるが、病人思ってんなら大人しく医者のいうことを聞いてくれっての。とそこで、疑問ひとつ。そういえば、ルフィって風邪ひいたことねぇとか言ってなかったか?

だから、言っただろ」

手に抱えてたチョッパーを床に下ろし、少し首を傾げてからルフィに詰め寄る。

「トニー屋にも、黒足屋にも、言われてただろ、お前」
「あ?」
「冬島に着いてすぐに、だ。俺も言っただろ」

ああ、言われてたな。俺も言った。
着いた真っ白な島にテンション上がりまくったのか、ルフィは何も羽織らず飛び出した。氷点下何度だと思ってんだこいつはアホか、とコート片手に追ったが、ぴょんぴょん飛びまくって捕まえるまで相当時間掛かったんだよな。あんな中、いつもの格好でなんて。まぁ、チョッパーんとこでもこいつコート着ないで動き回ってたし。仕方ねぇなとは思ってたんだけどよ。まさか、風邪ひくとは思ってもなかった。あのルフィが。

「どれ」

呆れたままだったやつは、それでも、診せてみろと言わんばかりに屈んだ。
目線を合わせてから、掌で額を覆って、38,2分寝てろ、とルフィの胸を押すが、頑なになってるやつは動かない。

「いいか、麦わら屋。風邪は万病のもとと言われるほどの病気だ」
「そうだぞっルフィ」
「いい子に寝てれば治るとお前の船医が言ったんだろ?なら、その通りにすべきだ。医者のいうことはちゃんと聞け。お前を思っての言葉だ」
「っっ!そうだぞっっルフィ!!」
「次の島までまだ時間はある。今のうちにちゃんと治しておかねぇと冒険出来ねぇだろ」

な、と頭をぽんぽん撫ぜてから、うう、となったルフィをうまいことベッドに誘導して、取り合えずは座らせた。そして、受け取った薬を差し出す。

「これ飲め」
「嫌だっ」
「なんで嫌なんだ?」
「苦ぇ」
「効く薬ってのは、苦いのが当たり前なんだ」
「不味いっ」
「薬だからな」
「飲みたくねぇ」
「トニー屋の調合なら間違いなく治る。そうだな、これ一回飲んでちゃんと寝てれば明日の朝には治ってる」
「でもよ」
「お前は、お前の船医を信じてねぇのか?」
「信じてるに決まってるだろ」
「なら、飲め。ほら、あーん」
あーん」

おお、すげぇなトラ男。
なんて、チョッパーが感嘆してる。
まぁ、確かにすげぇな。あのルフィがある意味いいなりだ。
さすがだな、とか言ってるが、まぁあれはあれだろ。
さっきから、いつもと違うもんがあるもんなぁ。
なんだよ、優しい声出しやがって。ローのやつ。

「苦ぇ~」
「水飲め。ごっくんしろ」
「う、うん」
「飲んだか?」
「飲んだぁ~」
「いい子だ。じゃあもう一回あーん」
「う?あーん?」

再び、開かれた口に、ついと口唇をなぞるようにしてから押し込まれたのは、

「甘い」
「そうか、良かったな」
「飴?」
「ああ」

コロコロ、とルフィが転がすように口を動かし、へへっと笑ってやがる。
さっきまであんなに頑なになってたってのによ。嬉しそうにしやがって。

「じゃあ、横になれ。寝てろ」
「おう」
「時期、熱もさがって楽になる。トニー屋にちゃんと感謝しろよ」
「うん、チョッパーありがとなっ!!」
「うっうん!」

嬉しくなんかないぞ、といういつものやり取りもなく、チョッパーは嬉しそうだ。
そんな二人のやり取りを見て、黒足屋と俺を呼ぶからなんだと思ったら、こいつが起きたらなんか作ってやってくれという。了解だと引き受ければ、俺肉がいいなんて言うから、わかってんよ、と頷いた。そうして、

「麦わら屋」

言われた通りちゃんとベッドに入り込んだルフィに、近くにあった椅子を引き寄せ、腹を撫ぜながら、改めてという感じでローが声を掛けた。

「薬は苦いよな」
「うん」
「どうすれば、飲まなくて済むかわかるか?」
「風邪ひかねぇ」
「そうだな。どうして風邪ひいたのかはわかるか?」
「昨日コート着なかったから?」
「そうだ。あんな寒いところであの格好はない。次からはちゃんとコート着てから島に降りろよ」
「わかった」
「いい子だ。ちゃんと治ったら、もっと」

お?
おお??


「甘いもの、やるよ」


腹から胸元、首筋、頬を通って口唇に辿り着いた、指先。
ぷにっと軽く押し付けてから、な、と明らかに微笑んだローに、ルフィが、う、と息を詰め、喉を鳴らした。

ああ、もう全くだな。
なんだってんだ。
甘いものってよ。
何やる気なんだっての。

「俺、ちゃんと寝てる」
「ああ」

言い切ったやつは、既にうとうとし始めていた。なんせ風邪すら引いたことのないやつだ。薬なんて飲んだこともなかったんだろうし。すぐさま効き始めたんだろう。
なのに、何故か目を閉ざさない。どちらかというと目を閉じないように必死になってるようにも見えるが?

「トラ男~

呼んだやつは、腹の上を彷徨ってる文字が刻まれた手を緩く握って、じっと横のやつを見てた。

……眠れ」
「う~、でもなんか勿体ねぇ」
……傍にいるから」
うん」

うん、うん。
何度か頷いてから、完全に目を閉ざした。

「すげぇな、トラ男。ルフィ寝た俺も医者なのに」
気にすることはねぇよ」
「え、でもさサンジ」
「あれは、医者だからって出来るもんじゃねぇ」
「う?」
「恋人だからこそのもんだろ」
「あ、そっかぁ」

いつの間にそんな仲になったんだか。
それでも、空気が変わったのなんてまるわかりだった。
あのルフィが、あのローとなぁとは思ったけど。
幸せそうで何よりってな。

「俺たちは邪魔になるから出てようぜ」
「そうだなぁ」

あのチョッパーまでも何処かほんわりと二人を見てる。
そこにあるのは、恋人たちの空間だ。
関係を変えたからって、然程変わることなんてなかった。ただただ自然なまま二人で居るだけで。甘い雰囲気なんてどこにもなかったってのにな。

「見せ付けやがって」

ご馳走様。


2017.11.08 Ree.MORITA
甘いもの=恋人たちの空間ってことでお願いします……
ちょっと変な文章になってしまいましたが、最後までお付き合いありがとうございましたっ