ree_1116
2017-07-06 17:22:57
2898文字
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恋は焦らず(ルロー)

数年前に書いてた記憶喪失な書き掛け…そのうちどうにかしたいな…




「ん~」


大きく伸びをして、空を見上げた。
何処までも果てしなく続く青に、綺麗とうっとり見詰めたのにはわけがある。
この船にしては、珍しい程に静かだから、だ。
こんな午後はいつ振りかしら、と考えてやめた。海賊になってから、初めてに違いないわ、と雲ひとつない空に笑って、サンジくんが持ってきてくれた炭酸に手を伸ばす。
海図も描いておきたいとこだけど、今はこの静けさを堪能したい。ゆっくりと過ぎる時間を楽しむことを決め、目を閉ざした。 けど、と思う。
こんなに静かなのも、なんか怖い。


「そもそもなんでこんなに静かなのかしら??」


不意に浮かんだ疑問に、ここに来る前までのことを思い出す。
ロビンは、読んでおきたい本があるのと言って図書室に篭ったのは知っている。ゾロは相変わらず甲板で寝てた。サンジくんはいつものように夕食の仕込みで、自分の城に居る。フランキーは、ドックのもののメンテナンス。チョッパーは薬の在庫確認するとか言ってたような?えと、他のやつらは、何してるのかしらと何気に視線を動かしてみれば、船尾にブルックとウソップの姿が見えた。どうやら釣りをしているみたい。


「・・・一番騒がしいやつが居ないわね」


何があってもなくても、何処に居るのかすぐさまわかるような、やつがどこにも居ない。
本人曰くな特等席にでも居るのかしら、とそちらへと顔を向けてみたけど、影すら見えない。ってことは、何処か室内に居るんだろうけど。


「なぁんか、らしくないわよねぇ」


いつもであれば、余程ひどい雨でも降らない限りは外に居ることを好むやつが、居ない。
嫌な予感がするけど、静かだし。


「・・そーいえば、」


もう一人の船長の姿も、と思ったところで静寂を突き破る叫び声が響いた。


「うおおおおおおお!!!」


ああ、やっぱり。
この船に静寂は似合わないけど、何分もったかしらと腰掛けていたものから立ち上がり、どうかしたの?ととりあえず声を掛けてみたけど。


なによ、あれ。


「うあ!ナミ!!!!!ナミーーーー!!!!」


はいはい、何度も呼ばなくたって私はここに居るわよ、と肩をあげてから階段を下りた。
つか、ほんっとなんなのかしら。
とんでもない顔してる。そいつの腕には、もう一人はと思った船長。
珍しいこともあるもんよね、と思うのは担いでいるやつが大人しくしているからだ。いつもであれば、あんなことルフィがすればなにがなんでも否定するくせに。抱かれたまま。


「ナミーーー!!!」


目の前。
トラ男くんを抱えたままのやつは、また私を呼ぶ。
だから、何よ。折角静かだったのに、と文句のひとつでも言ってやろうと思ったけど。
なんとなくやめた。
なんか、いつもと違う。
だから、


「どうかしたの?キャプテン」


何かあったの、と問い掛けてみる。
すると、大変なんだ!とこれまた大きな声。
そんな大きな声出さなくても聞こえるわよ。
何をそんなに焦ってんのかしら。全くもう。


「トラ男が知らないって!」
「は?」
「だから、トラ男がっ!!!」


と、そこで抱きかかえている人を、床に置く。
すとんと降りた人は、首を傾げた。


「知らない?」
「そうなんだっ知らないって!!」


だから俺っ俺!!と変な動きをする。
言われた当人はきょろきょろと辺りを見回してから、踵を返した。
それに気付くことなくルフィはまだ変な動きをしてて。


一体何これ?


「知らないって言って俺どうしていいのかわかんなくて。でも、それで、それでよ!」
「どーどー。先ず落ち着いて」


どうにも混乱しているらしいやつの肩をぽんぽんと叩けば、うんうんと大きく頷いて深呼吸をした。ふぅ、とどうにか少し落ち着いたとこで何があったのか問う。


「で、トラ男くんが知らないって何を知らないっていうの?」


何がなんやらだけど、それでもあのトラ男くんだって知らないことくらいあるだろうし。何をそんなに慌てることがあるのよ、と聞いてみれば、ルフィはあっけなく一言で答えた。


「俺」
「は?」
「俺」
「はい?」
「だから、俺だって!」
「はぁ?」
「俺のこと知らないって!!!」


言うんだ!!と、それはもうすっごい顔して。
つか、それって、


「あんたまたなぁんかやらかしたんじゃないの?」
「やらかす?」
「トラ男くん構い倒してるでしょ」


ずっと。
この船に乗ってから、ずっとずっとずっと。
いい加減にしろとか、聞き分けろとかそれはもうよく耳にした。
うんざりしてる顔もそれはもうよく見たし。


「あんた、嫌われちゃったんじゃないのぉ?」


と、からかうように言えば、う、と珍しくあのルフィが言葉を詰まらせる。
あら、なんか悪いこと言っちゃったかしらと思う程。落ち込むから、今度はこっちが慌ててしまう。


「あのね、ルフィ」
「や、でもよ俺のこと知らないって言うし、自分のこともわかんねぇって」
「え?」
「なぁ、トラ男・・・・ってトラ男居ねぇ!!!!」


やっとそこでトラ男くんが何処かに行ってしまったことに気付いて、あわあわ探し出すけど。


「ちょっと、待って」


今、なんて?
ルフィのこと知らなくて、自分のことがわからないって?
え?
ええええ?


「ナミ、トラ男何処行ったんだっ」
「だから、ちょっと待ってよルフィ。今言ったことってほんと?」


ルフィが嘘つくなんてことはない。
知っているからこそ、問い詰める。


「ほんとだって!」


だから大変だって言ってんだろって、あんた・・・なんで、


「何でそんなことになってんのよーー!!!」


居なくなったトラ男くんはすぐさま見つけた。
まぁ、船にいるんだし。完全に居なくなるなんて海に落ちる以外にはないのだけど。
しゃがみ込んで、チョッパーとなにかしら話しをしている。ちゃんとそこに居たトラ男くんにルフィはすごく安心した顔をした。全く、とその様子を見て困ったもんね、と思いながらも、何があったか教えてちょうだいと言えば、うんうん、と大きく頷いて一生懸命教えてくれた。
ルフィの話しは、案の定というか。そんな感じだった。
なんでも、うわ~ってトラ男くんに抱き付いたら、後ろにあった水槽に頭を思い切りぶつけたらしい。


「なにそんな勢いで抱き付いてんのよ」
「や、だってよ」
「まぁ・・いいわ。とりあえず、いいわ。それより」


と、少し離れた位置に居るトラ男くんを見れば、いつの間にかチョッパーを抱き上げていた。
まるでぬいぐるみを抱くみたくキュッと。


「どうしようかしらね」


よくよく見なくても、いつもと何処か雰囲気が違う。
チョッパーを抱き上げている姿は、和むとしかいいようがないのだけど。


ルフィの話しが、真実なのだとしたら。
いえ、本当のことなんだろうけど。
だとしたら、トラ男くんは





「あの静けさは嵐の前触れだったのね・・」