ree_1116
2017-06-08 20:10:47
3694文字
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指輪(ルロー)

ルローワンライ【指輪】いつものルローです(笑)

そこはとても、華やかでいて、誰もが笑みを浮かべ、花々が舞い、とても幸せな空間だった。
だから、つい、なんとなく。





「遅くなっちゃってごめんね」
「いいってことよ」

そう言って豪快に笑った人は、今回の主役の一人、だ。
私は初めて会う人。なんでもうちの傘下の一人。ナミよと告げれば、航海士の泥棒猫だなと握手がなされ、そして改めての謝罪と、お祝いの言葉を連ねた。


「おめでとう」
「ありがとう」


連絡が来たのは数日前。それにルフィが行こうー!と乗って、進路を変えたんだけど。なんだかんだで、結局は遅刻。式が始まるという時間には間に合わなくて、

招待されたのは、結婚式。
都合が合えば是非、というもの。
目の前の人は白いタキシードを着て、その向こう、花嫁が居る。って、あの子見たことあるような??

「で、麦わらは?」
「あ、あああいつなら」

私と一緒に居るのはウソップとロビン。久し振りだなぁなんて挨拶の後の言葉に、またごめんねぇと一言添えてから、ふと視線を向けた先。

「港にトラ男くんの船があったから、そっち飛んで行っちゃったのよね」
「トラ男?ああ、トラファルガーか」
「ええ」

先ずは挨拶に行くわよと言ったってのに、ああ!!!と叫んだと思ったら、もういなくなってた。まぁもう仕方ないと区切って私たちだけ先に、会場へと来たんだけど。

「って、トラ男くんが居るとは思ってなかったわ」

うちの同盟相手だからとか、かなと思ったけど。
それもなんか変じゃないと思ったら、

うちのやつの幼馴染なんだと」
「え?あ、ああ

成程。
見たことがあると思ったら、そうだ。パンクハザードで見たんだわ、あの子。
ドフラミンゴファミリーの子。
愛と情熱の国で、この人と恋に落ちての今ってことかしら。素敵。敵同士だったはずな、二人が結ばれるなんて。

「まぁ取り合えず、挙式は終わっちまったが、これから披露宴だ。ゆっくりしていってくれ」
「ありがと」
「うおおおおおおお!!!!チョッパーーーーーーーーー!!!!!」
「は?」

そこに突然の大声。誰よと思うこともない、間違いなくうちの船長だ。
って、何よあれ?
声の方向を見れば、片手にトラ男くん担いでる。
で、チョッパー探してるって、なに?

「あ、ナミ!!チョッパーはっ!!」
「チョッパーなら、」
「どうかしたのか、ルフィっっ」

呼ばれたのが聞こえたのか、チョッパーが駆け寄ってきて、良かったぁとルフィは担いでたトラ男くん下ろした。てか、すっごい顔してんだけど、トラ男のやつ。ルフィが何かやらかしたのかしらと思ってたら、

「トラ男の左手がねぇんだっ!!!」
「は、はい?」
「えーーーーー!!!手がないーーーーー!!!!!」
「ミンゴに切られたからかもしんねぇ!!」
「麦わら屋、それは右腕だ」
「あ、そか。えと、でもないんだっ!!!!」

何言ってんの、と思ったけど。確かに、トラ男くんの左腕がない。肘から、下。すっぱりと。でもこれって、

「ねぇ、ルフィこれって」

トラ男くんの能力なんじゃないの?と思ったから言おうとしたってのに。

「俺、探してくっから!!!!!」

なんて、いつも通り人の話しなんか聞かないやつがまた港のほうに、飛んで行っちゃった。

全く」

そんなルフィを呆れたみたいに、溜息落としてるけど。
てか、

「なんで、こんなことしたのよ?」
「え?なんだ、ナミ?」
「だって自分で能力使って切り落としたってことでしょ?」
「えええーーーー!!そうなのか、トラ男っ!!」
これは、戒めというか、自分に嫌気がさしたというか、馬鹿なことやったというか」
「なによ、それ」
「そうだぞ、トラ男。片手がないと不便だろう」
……突然来やがったから、驚いて」
「ん?」
「いや、なんでもねぇ。とにかく、トニー屋に診てもらうことでもねぇし。騒がせたな」

悪かったと、新郎であるサイって人の肩叩いて、何処かに行こうとしたけど。

「っあ、」
「えっってなによっ!!」

いきなり、変な声あげたってか。なくなってる左手押さえるみたいにした。え?なに?痛むの?え


「あの野郎」
「どうしたんだ、トラ男」
なんでもねぇ」

なぁんか、顔赤いんだけど。んで、顰めてんだけど。
何よ?

「おい、トラファルガー。もうすぐ披露宴始まるからな」
わかった」

ROOMと能力を展開させたトラ男は、ひとつ頷いて消えた。







「何してんだ、てめぇは」

戻ったのは、自室だ。自分の船の、自分の部屋。
かたいベッドの上に座り込んでるやつを睨み付けながら言えば、なんでもなく、ししし、と笑いやがった。

「見つけたぞ」
ふん」

ほら、と見せ付けるかのように差し出されたのは、左手。俺の。
隠したってのに、何わざわざ探し出してんだ、てめぇは。
と、文句のひとつでも言ったやろうと思ったってのに、出来なくなった。

「っ、」

そいつが何を思ったのか、俺の切り離した手首を舐めたから、だ。
ああ、クソ。さっきのもそうか。

「トラ男の手、」

いつもはあまり見せないような悪い類の笑みを浮かべて、手首に這わせた舌をつつ、と掌、指へと動かし、そうして、はむ、と口唇で包んだ先には、

「ぁ、」

擽るように、口内に含んだものを舌先で触れる。
左手。薬指。そこにあるのは、

「なぁ、トラ男」

これってよ、とやはり悪い男の顔のまま。
ああ、クソ。
だから、隠したってのに。切ったってのに。お前に見つからないようにしてたってのに。



つい、なぁんかと思って、嵌めてしまったのは、指輪。
余りにもベビー5が幸せそうにしてたから、そういえば俺も指輪もらったななんて、ほろ酔い気分で、ずっと棚の奥にしまい込んでいたものを、出した。そうして、なんとなく、指に嵌めてみた。それが、数分前のこと。思った以上にしっくりと指に馴染んだものに、綺麗だななんて思って。ベッドに寝転がって、披露宴までまだ時間もあるし、結構酒も飲んでしまったから、少し眠ろうと思って目を閉ざした。微睡の、中。聞こえた、声。こちらへと近寄ってくる足音。気配。え、と眠りに落ちていた思考を無理やり強引にたたき起こした。マズイ、と思って、咄嗟にとった行動がてめぇの能力で、左手を切り離し、隠すということだった。その直後、わかっていた気配が俺の部屋にやって来て、なくなっている左手に大騒ぎしたと思ったら一気に担がれて、トニー屋の名を叫び始めて、戻って来ての今、だ。

馬鹿だと思う。
今思えば、ただ指からはずしてそっちを隠せば良かったってのに。余程頭が回ってなかったのか、動揺したのか。馬鹿なことやらかした。本当に馬鹿だ。

別に受け入れたわけでもなく、頷いたわけでもない。
ただ、これと貰った、もの。
結婚なんてお断りだと言ったにもかかわらず、俺の手元にやって来た、幸せの象徴の輪。
その時、言われたことを思い出したからこそ、隠した。
なのに、

「ししし」
「笑うな」
「だって、これってよ、そーいうことだろ」

渡された時、ちゃんと断った。
なのに、そいつは、ならさ、と続けた。

「お前がその気になったら、この指輪してくれよって俺言ったもんな」
違う、それは」
「ししし」

だから、笑うな。そして、抱き付いてくんな。そんな、嬉しそうに。

「俺たちも式挙げるか?」
断る」
「ん?じゃあ、誓いのチューだけでもしとくか?」
「いや、だから」

そういうことじゃなくてだな、と思ったってのに。

「んっ」

抱き付いたままのやつは、だけでも、と言ったことをしてきた。
ちゅ、っと軽く、啄むように触れられたのは、口唇だ。

「麦わら屋、俺は」
「後は初夜だな」
「だからなんでそうなる?」
「え、そーいうことだろ?」

頷いてねぇだろ。ちゃんと人の話しを聞け。馬鹿。
声になるはずの言葉はやはり音にすらならず。
ぐりぐり抱き締めるやつに、困ったなと思いながらも、片手のまま抱き返してるってなんだろう、俺。

「あぁ、クソ」
「ん?披露宴するか?」
「しねぇよ」
「そか?」
「んじゃ、」

初夜だなって、押し倒すなってんだ。
なんでこんなことになったと思っても、もう遅い。
ベビー5の横に並んだ男のような顔で、麦わら屋が笑ってる。
きっと俺も似たような顔してるのかもしれない。

ああ、もう、

結婚する気になったら指輪してくれと言ったやつからもらったもんを、確かに指にしたのは、俺だ。だから、馬鹿だなと思ったってのに。大馬鹿だなと思ったってのに。

「これ、」

なくなっていたものが、元に戻る。
俺とつながった、左手に。
その薬指に。
また愛おしそうにキスしてくるやつを、クソクソ思いながらも、目を閉ざした。


2017.06.08 Ree.MORITA

お付き合い、ありがとうございました(^▽^)