ree_1116
2017-04-22 20:51:08
2959文字
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風邪(ルロー)

ルローワンライお題【風邪】参加させて頂きました。いつもながらにお題にかなってるか微妙ですが~そんなんでも宜しければ…



「あっついなぁ」
「おう、暑いなぁ」
「ほんとあついなぁ」


いつもよりも、穏やかな日ってか、暑い日。
ウソップとチョッパーと三人で、手摺りに腰掛け、少しでも涼もうと釣りをしてたけど。マジで暑いなんてもんじゃない。だから、皆が皆、水着姿。ナミたちは上のパラソルの下に居てブルックのバイオリンを聴いてて、ゾロはこんなんだってのに昼寝中。サンジが今かき氷作ってくれたけど、あっという間に溶けちまった。プールでも出すかぁとフランキーが言ったのは、数分前だ。今その準備をしてる。だから、そろそろ釣れない釣りも終了だな、と甲板に飛び降りたところで、チョッパーがふらふらとし出した。


「あーつーいー」
「おい、大丈夫かチョッパー?」
「う~ん」


って、目くるくるになってるし。


「チョッパーは暑さに弱いもんなぁ」
「俺も溶けそうだぁ」


ゴムだから、と陽の当たってる場所から影になってるところにチョッパーと一緒に行こうとしたけど。ふらふらしてたチョッパーがぱたんと倒れ込んだ。


「って!おい!!!」
「チョッパー!」


相変わらず目はくるくるになってて、うーうー言ってる。
って、これって?


「お、おい熱中症じゃねぇか、これ?」
「え?ねっちゅー?」
「病気だっ病気!」
「ええーー!ウソップそれほんとかっ!!」
「わかんねぇけど、取り合えず医者をっ」
「医者ー!!医者ーーー!!」
「って、医者はこいつだーーーー!!!!」
「どーすんだよっおいチョッパーどーすればいいっ」
「無理だろっええと、ナミかロビンか、」
「ナミかロビンかっ!わかった!」
どうかしたのか?」


名前が出たやつらを呼びに行こうと思った時、どこからともなくひょいと現れたのは、


「トラ男っ!!」
「医者居たーーーーー!!!!」
「居たーーーーー!!!」
「だからなんだって、トニー屋?」


皆が皆、水着着て暑い暑い言ってんのに。そいつは、きっちり服を着て。こんなに暑いってのに涼しい顔してたけど、ぱたり倒れ込んでるやつを見て、顔を顰めた。近寄り、膝をつく。大丈夫か、と問いながら、額に手を当て、様子を診てるけど。


「トラ男、チョッパーが」
「ああ」
「ねっちゅーしょーってやつなのか?」
違うな」
「違う?」
「風邪だ」
「風邪?」
「ああ」


ゆっくりとチョッパーを宥めるように撫ぜながら、抱え上げるからどうするんだと聞けば、寝かせると一言。そのまま、医務室に入って行ってしまったから、ウソップの頼んだぞぉという声を聞きながら、後を追った。


「この数日の気候の変化に耐えきれなかったんだろうな。特にトニー屋は毛皮を着てるようなもんだし」
「そ、そか。なぁ、トラ男」
「ん?」
「治るのか?」
「安静にして薬を飲んで、ゆっくり休めば治るから、んな顔すんな」


こつん、と額を突かれる。
バカだな、と笑ったから、あ、大丈夫なんだとわかった。


「取り合えず、黒足屋に言って水をもらってきてくれ」
「水だなっ!わかった!」
「頼んだ」


チョッパーは相変わらずはぁはぁ暑いうーんうーん言ってるけど、トラ男がその度頭を撫ぜたり、腹をぽんぽんしているからか、なんとなく安心した顔してるし。それを見て、もっと安心したから言われた通り、水をもらいに隣りのダイニングへと行く。サンジに伝えれば、そっかと頷き、粥でも作るかと冷蔵庫を覗き込む。俺は受け取った水をもってまた医務室に戻れば、うーんうーん言ってたチョッパーはもう眠っていた。


「寝た?」
「ああ」


だから、静かになと指一本口唇にたてたトラ男の横に並ぶ。
俺の持ってきた水にタオルを浸けてきゅっと絞ったものをチョッパーに乗せる。
なぁんか、不思議だった。
ずっと、微笑んでるってか、緩く笑ってるってか。
こんなトラ男も珍しい。
椅子を引き寄せ座ってから、タオルを置き終えた掌はまたチョッパーのどこかしらを優しく撫ぜてて。


「なんか、」
「ん?」
「トラ男、優しいな」


と、言えば。
一瞬、驚いたような顔したけど、


「俺はいつだって優しいだろ?」


なんて、言ってやっぱ笑う。


「トニー屋が自分用に調合した薬があったから、軽く飯を食ったら飲ませて、熱が引くまでゆっくり休ませればいい」
「そか」
「後は、暑さにもやられてるから少し体を冷やしたほうがいいかもな」
「それなら、サンジがひょーのーとかいうの作ってくれるって言ってたぞ」
「そうか」


会話を交わしながらもやっぱトラ男の掌はチョッパーを撫ぜてて。
ふと、思い出した。
そういえば、


「なんだ?」
「ん、俺にもそうやってしてくれてたなと思ってよ」
ああ、」


二年前。
なんとなくだけど覚えてる。時折、浮上する意識の中。そのたびに、誰かの手が指が、俺に触れてくれてて。なんかほっとしたんだよな。だからきっと、今チョッパーもそんな感じなんだろう。人の体温ってすごいんだな。


そんなことを思いながら、隣りで座ってるやつを見れば、どこかいつもと違う、顔。
医者の顔なのかな、とふと思って、好きだなと改めて、感じた。
だからつい、


おい」
「ん、だってよ」
「だってじゃねぇだろ」
「チューしたくなっちまった」
馬鹿」


頬に掠めるだけの、キス。
だってなんかよ、トラ男いつもと違うし。
俺の時もこんな顔しててくれたの知ってる。薄く開いた視界の先に、安心させるような顔があったことも覚えてる。不安にさせないよう、微笑んで、


「ん?」


ゆっくりゆっくり、宥めるように動いてた掌が、不意に止まって。
なんだ、と思った瞬間、ふと触れたのは口唇で。


「お、」


驚いた俺に、悪戯が成功したみたいに笑うから、


「なんだよ」
「先に仕掛けてきたのはお前だろ」


なんて、まだ笑ってるからこの野郎とぐぐっと距離を詰めたってのに、


「うぐっ」
「駄目。我慢しろ」


いい子だから、と顔を押しのけられた。


「そろそろお前は外に出ろ。うつるかもしれねぇからな」
「えー?トラ男は?」
「俺は医者だ」
「そか」
「そうだ」


なんて、なんの根拠もない返答だったけど、妙に納得したから、踵を返す。
ドアを出る前に、一度だけ振り返れば、やっぱいつもとどこか違うトラ男が居て。
なぁんかいいな、と思った。
俺もあんな風に、してほしいな。


「俺も風邪ひきてぇな」
「バカ言うな」
「だって、トラ男優しくしてくれるんだろ?」
「だから、バカなこと言うな」


不謹慎だろと言ったくせに、



「風邪なんてひいたらキスしてやんねぇぞ」



と、また悪戯っ子みたく笑うから、



ぜってぇ風邪ひかねぇと思った。



2017.04.22 Ree.MORITA

風邪お題でこんなんのもありですかね
優しく看病してるお医者さん?なローさんを見てちょっと嫉妬しちゃうルフィさんの予定だったんですが、案の定キスしちゃってそーなってくれませんでした

読んで下さってありがとうございました。
ネタかぶってないことを祈ってます