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ree_1116
2017-04-06 21:35:03
10798文字
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怪盗るろー(ルロー?)
ついったーにて話題?になった怪盗なルロー。パロです。パロって書いたことないのですごく難しかった…そして、萌え所皆無なものに…そんなものでも宜しければ~…なお、出会い編です。
瞬間。
目を、奪われた。
『ルフィ、聞こえてる?そろそろ時間よ』
「おーわかってるって」
『こっちはいつでもオッケーよ』
無線を切って帽子を被り直す。
ちらりと覗いた窓の向こうには幾多もの赤が煌めき、おお今日もすげぇなと、ししし、笑い、改めて、向かう先を見た。
今日の獲物は、DR作、花詰む少女。
【Das Mädchen, das eine Blume aufnimmt】
きっと展示場にも警察官が犇めき合うんだろうなと思ってたってのに、今回はちょっと違うらしい。少数精鋭とかなんかとナミが言ってた。
「つまんねぇの」
折角すげぇ面白い手考えたってのにな。準備も万端にしたってのに。
ケムリンも色々考えてんだなぁとは思うけど、
「俺を捕まえられるわけねぇっての」
誰にも、俺を捕まえるなんて無理だ。
この先の夢がある。
大いなる、夢が。
だからこそ、
ゴーンゴーン、
想いを未来に馳せたその時、鳴った音に、ヤベっと意識を切り替える。
予告時間だ。
「急げっ俺っっ」
この先、続く廊下を一度右に折れ抜ければ、そこが目的地だ。
獲物がある。
何故か展示室の廻りの廊下には警察官を配備してないという情報を手にしたからこそ、一気に駆け抜けようと思ったのに、
「うわっ!」
「っっ!」
一度だけ。
折れた先で、何かに衝突した。
何かって、
目深に被った帽子が落ちる。
勢いのまま、前のめりに倒れ込んだ。大理石の廊下についた手が冷たい。
って、
「あ、悪りぃ」
「
…
」
俺、何謝ってんだってのと自分に突っ込みながらも、下敷きになったやつを見て、思わず息を呑んだ。
金色、だ。
すげ、
一瞬にして、目を奪われた。
満月見てぇに見開かれた、瞳。
綺麗、という言葉を初めて理解したような、
そんな、
「あ、」
でも、刹那の間にその色は消え失せた。
気付けば、下敷きになってたはずの人が、居なくなってて、
「え?ええ??」
辺りを見回せば、影一つ。
さっき、俺が覗き込んだ窓際に、でかい三日月を背負って立っていた。
「おい、」
お前、
声を掛けようとしたけど、音にならなかった。
すと、伸ばされた指。
羽織ってるものを摘み、その分だけ、月明かりが閉ざされる。
肌の色ではないその指先がゆっくりと動き、それに伴って月を隠すかのように摘んでいたものがパサリ、と落ちた。薄らと柔らかく光が射し込み、緩やかに舞った指先は自分の胸元に翳され。
口唇が、笑みの形を為したと思ったのと同時に、頭を下げた。
静寂の中、月光の中、優雅にお辞儀をした。
「ぁ、」
ピピピ、
完全にそれだけになってしまった俺を戻したのは、無機質な電子音で。
何やってんのよっあんた!!!というナミの声。
「悪りぃ今、」
行くから、と伝えながらも視線を外した月へと戻したけど、満月の存在は何処にもなく、
「夢?」
そんなはずねぇよな、と思いつつも、早くやることやっちまわねぇとと、目的地に駆けた。
誰にも捕まらないと思ってたのに、
奪うのは俺で、奪われるなんてないと思ってたのに、
月に惑わされたような、妖に会ったような、そんな僅かな刻だった。
「で、何か言うことは?」
ニコニコと笑ってるナミさんの拳は煙が立ってた。
そんなナミさんも素敵だぁ!と思ったが、まぁその言葉は控えておこう。
なんせ今はお説教中だ。予告を出した。準備万端に乗り込んだ。今回も余裕だななんて、言ってたやつは失敗した。どうやら、先を越されたらしい。
予告時間。少し遅れて登場した時には、展示室の中は、誰も立ってなかった。数人の警察官は床に沈み、なんだ?と首を捻りつつ、俺たちが先に乗り込んで片付けてくれたのかなと壁に掛かった獲物を見たけど、そこには目的のものはなく。違うものが貼られていた。犯行声明のカード。
「まっさか同業者に先に盗まれるなんて!馬鹿!!とっとと盗んじゃいなさいよっ!!」
「んなこと言ってもよ
…
月が綺麗でつい」
なんて言い訳を言うルフィも珍しいってか。ま、今まで失敗なんてねぇしな。
いや、それよりも月が綺麗ってらしくねぇってかなんだ、うん、らしくねぇよな。
「予告出して、先越されるなんてっ!!!」
「だからよ、悪かったって」
「うっさい!」
「ずいまぜんでじだ
…
」
「どうしてくれんの?」
「どうって?」
「確認できないじゃない!」
「あ、そか」
「そか、じゃないわよっっ!!」
そこで、三度雷が落ちた。あ〜あ、と肩をあげたのはウソップ。どうするよと視線が訴えてる。
取り敢えず、怒ってるナミさんも素敵だけどこれ以上ルフィの頭に拳骨が落ちるのも可哀想だしな、と口を出すことにした。
「で、ナミさん。その同業者ってのは?」
「怪盗ハートよ。ルフィが見たカードの特徴から言って間違いないわ」
「ああ
…
最近ちらほらと新聞で見掛けるな。神出鬼没で盗みの手口がわからないってあれだろ?」
「そうそう。痕跡は何も残さない。でも、犯行声明のカードだけ残していくっていう
…
」
「へぇ。なぁ、ナミ。それってルフィみてぇな特殊能力持ちじゃねぇのか?」
「かもね」
「マジックみてぇなことやらかすとか記事には書いてあった記憶あるけど
…
それにしてもなんでそいつ俺たちを出し抜いたんだろう?」
「そうなのよね
…
」
「だよなぁ。実際、盗むはずだった花摘む少女ってやつ、然程価値のあるもんじゃねぇんだろ?あの美術館にはもっとすげぇのあったってのによ。態々、予告出したもんを先に盗むって」
「なによそれ。挑戦状ってことかしら?」
「さぁな
…
次の獲物はもう決まってんだろ?」
「それなら、今調査中よ」
「次も重なったら、なぁんかあるかもな」
「
…
そうね」
「んじゃ次も会えるかもしんねぇのか!!」
って、おいおい。
「なんだよ、ルフィそれ」
「え?だってそーいうことだろ?」
「まだわかんねぇって」
「えー!」
「そうよ、ルフィ。次、またばったりなんてあったら今回の屈辱を返してやりなさい!!」
ほんとなんだ、ルフィのやつ。
そんな言い方じゃまるで、
「いや、やり返すとかよりよ。どーすんだよ、今回の獲物」
「次会ったらとっ捕まえればいいのよ」
「って、ナミお前な
…
」
「おっいいな!それ!」
「いいなって
…
次も出てくるかなんてまだわからねぇだろう」
はぁと、ウソップが疲れてる。
ま、こちらとしてはすこぉし借りれればいいだけなんだけどな。問題なのはその捕まえるってのがとてつもなく困難な相手だってこと、だ。展示されてるものとは違う。怪盗ハートは、俺たちと違って盗んだものは返却しないやつだ。それをわかってるのかわかってないのかナミさんとルフィはやる気満々だ。いや、張り切ってるナミさんも素敵なんだけどな。
本当に次の獲物も重なるのか。
どうして、今回は重なったのか。予告を出したものを先に盗むなんて。余程、欲しかったってことなのか?あの絵が?確かにかわいらしいレディが描かれている。背後に浮かぶ海と空と花畑も美しかった。でも、ウソップのいう通り、あの絵自体に然程、価値はつけられてない。同じ場所にもっと高価なものがずらりと並んでたってのに。そんなにあれが欲しかったってのか?でも、俺たちに盗られることを良しとせず、先に手に入れたということは、どうしてもあの絵が欲しかったってことなんだろう。そこらから探れば、何かわかるかもな。
とにもかくにも、俺達にはあの絵がある意味必要だ。だからこそ、どうにかして一度手にしなければならない。その事実は変わらない。
「おっと」
ちらりと時計を見れば、もういい時間だ。
日常が始まる時刻。
ここまでだな、と踵を返した。
「じゃあ、そろそろ俺は行くな」
「あ、そう?」
「開店準備しないと」
その店に出会ったのは、ほんの偶然だ。
なんとなく、いつもとは違う道を選んだ先にひっそりとあった、小さなカフェ。
別に、モーニングにおにぎりセットがあったとかそういう理由ではない。こんなところに、と思った。連なった見た店名。オールブルーと刻まれた看板に、へぇと興味を持った。好きなのかな、と漠然に。そんな切欠で、なんとなく入った店。いつの間にか、常連になってしまっていた。
「いらっしゃい
…
って、ローか」
からんころん、という音をたてて扉の中に入れば、店主がつまらなそうに言った。最初の時もそうだった。なんだ野郎かと俺を見て、同じ顔をしていたことを思い出しながらも一番奥の席に着く。
「いつものか?」
「ああ」
「お前さ、おにぎりばっかじゃなくてよ、他のもんも食えっての。旨いぜ、うちのメニューは」
どれも、と水を置きながらもメニュー開けよなんて言ってるが、
「旨いのは知ってるけどな」
「ふーん、じゃあちょっと新メニュー試してみてくんないか?」
「新?」
「ライスバーガーなんだ」
「へぇ」
「決まりだな。奢ってやるからよ」
「あと、コーヒー」
「かしこまりました」
ふふん、と何が嬉しかったのか鼻歌を歌いながら、カウンターへと戻っていった。
相変わらず、人のいない店だ。
雰囲気もいいし、流れる音楽もいい。味もいうことなしだというのに、こんな奥まった場所にあるからなんだろう、ほぼ客を見たことはない。一度、なんでここにしたんだと聞いたことがあったが、金がなかったんだと笑っていた。一本先には、大通り。せめてそこらに店を構えれば、役所や警察署があるし、もう少し行った場には大学もあるから、それなりに人が来るってのに。
「勿体ね」
とは思うが、俺としては有難い。
静かなこの空間を気に入ってる。
各テーブルは、うまい具合に個室のように壁が囲い、実際他に客がいても気にはならない。
今日も、この後暫くここで本でも読もうと思っていた。
なんせ疲れてる。昨日の今日、だ。
ここに居れば、飲むことも食うことも金を払えば、やってもらえるし。
夜までこの空間にと思ってたけど、
からんころん、と音が鳴った。
「いらっしゃいませっ!!!」
声からして女なのだろうことはわかる。
お好きなお席へどうぞという声すら弾んでるから、それを耳にしながら持ち込んだ本を捲ろうとしたが、影ひとつ。俺を覆った。
「ロー、」
「
…
ベビー5?お前、どうして」
「ペンギンに聞いたのよ。昨日からずっと連絡いれてるのに」
「気付いてなかった。悪かったな」
「悪いと思うなら、もうやめてよ」
言うなり、ぱさりとテーブルの上に落とされたのは、新聞。
向けられたページは一面ではないが、見えた文字に、ああ、と思った。
「しかも、今回は麦わらの一味が予告出したもの先に盗ったって話じゃない。なにやってんのよ、あんた」
「何って、」
バカと言いながらも彼女は俺の向かいに座った。
頬杖をついて、あからさまに怒ってる表情を浮かべてる。
知ってた。心配をかけてることくらい。
でも、今回は
「
…
お前、ちゃんと記事読んだか?」
「なによ?」
「絵のこと」
「
…
絵って、」
疑問符を浮かべたまま、自分が置いた新聞を手に取る。
そうして、
「
…
あ、」
「お前にと思って、」
「やだ
…
嘘、」
「あとで取りに来いよ。鍵もってんだろ?」
「
…
う、うん。あ、ありがとうロー」
僅かに、涙を浮かべた彼女はそれでも笑ってた。
嬉しい、と一言添えてから、でももうやめなさいよ、といつもの彼女に戻る。
「ねぇ、大丈夫なの?報復とかされない?」
問うてきたことは、何を指してなのかわかる。
気掛かりはあるが、まぁ大丈夫だろうと思う。なんせ、同業者だ。
「大丈夫だよ」
「でも、」
「し、」
気配に気付いてゆび一本立てれば、気付いた彼女も口を噤んだ。
「お待たせしましたぁ」
そこにやってきたのは、いい香りを伴った料理、だ。
ほらよ食え、と置かれたものは、試してみてくれといっていたライスバーガーだが、
「おい、サンジこれ。なんで熊なんだ?」
「レディのためのメニューなんだよ。お前の為じゃねぇ」
「ふふふ、可愛い。食べるの勿体ないわね」
「ありがとうございます。えと、ローの友達かな?」
「あ、私は幼馴染なの」
「へぇ、幼馴染!じゃあ!!」
「
…
手出すなよ」
「って、まだ何も言ってねぇだろっ」
「そいつは近々結婚するんだ」
「へ?」
え?嘘?という顔をしたサンジに、ベビー5は幸せそうに微笑みながら、左手を見せた。薬指。綺麗な色。
「おめでとう。んじゃ、そんなレディにはこれをサービスだ」
どうぞお姫様と置かれたのは、桃のスイーツだった。
「わぁ、ありがとう。美味しそう」
「いいえいいえ、お召し上がりください」
「おい、コーヒーは?」
「今、お持ちしますよクソ野郎」
ベビー5にだけごゆっくりと告げて、背を向けやがって。
「面白い人ね、お友達?」
「いや」
「そう。食べてもいいのかな、これ?」
「いいんじゃねぇか」
そうして、彼女はそれはもう美味しそうに食べ、サイと約束があるからと夜行くねと残して、店を後にした。
「ここに居たのかい、トラファルガー」
これでやっと静かに本を読めると思ったってのに。
からんころんという音の後、いらっしゃいませぇというだるそうな声に続いて聞こえてきた名指しにうんざりした。
面白くなさそうな顔をしたやつがやってきた。
「
…
なんだ、何か用か?キャベンディッシュ」
「何か用って、昨日も現れたらしいじゃないかい。しかも横取りしたとかなんとか。その真意を知りたくてね」
「
…
お前まだ俺がそうだと思ってるのか?」
「思ってるね」
言い切って、勝手にさっきまでベビー5が座っていた場所に腰を下ろす。
「ああ、マスター。僕にもコーヒーを」
「はい、クソ野郎」
「相変わらずだな、ここのマスターは」
ふぅ、と大袈裟なまでに肩をあげ、で?と問いかけてきた。
何が、
「で、なんだ?」
「予告を出されているものを盗りに入るなんて今までなかったじゃないかい。余程、欲しかったのかい、その絵が」
「俺が知るか」
「知ってるだろう」
「知らねぇって。そんなに真意を知りたいなら、捕まえて聞けばいいだろ」
「君が予告状を出してくれないから探偵の呼び出しはないんだよ。出せよ」
「だから、俺に言うな」
「だから、君に言ってんだろ」
「全く、」
最初から、だった。
次の日、朝。君だろ、と問われた。
ほんと、全くだ。失敗した。治してやるんじゃなかった。
そこで、ついひとつ欠伸が出た。
ほら、と言わんばかりの顔をする。
見たことか、と笑う。
「お疲れなんじゃないのかい?」
「明日レポート提出なんだよ」
「ああ、そういえばそうだったね」
「って、やってねぇのかよ」
「忘れてたよ」
「どうりで疲れた顔してねぇな」
「君のおかげで、安眠できるようになったしね」
感謝してるんだよこれでも。
なんて、言うなら放っておいてくれねぇかな、とマジで思ってる。
毎回毎回、次の日には、こうやって俺のもとに来やがって。
「お待たせしましたぁ~」
それでも、他の誰かが近寄れば、その話しは一切なくなる。まぁそれはある程度有難いとは思ってはいるが。
「ん?」
ほらよ、とコーヒーを置いたやつは、さっきはベビー5に釘付けで気付かなかったのか、ひとつを見つけて、へぇとその場に居座った処か、俺を押し、隣りに座り込んだ。
「これ、昨日のやつだろー。麦わらの一味を出し抜きやがって」
マジマジと新聞記事を見る。
そうして、
「俺さ、ファンなんだよなぁ麦わらの」
なんて言い始めた。
「盗っ人のファンって、お前」
「えーだってよ。予告出して警察手玉にとってまんまと盗み出すなんてよ。すごくね?」
「すごくないね」
「なんだ?面白くねぇって顔しやがって?」
「実際、面白くないだろう。予告状も暗号になってないし。手口と言えば、特殊能力頼りの力技。僕が面白くないねっ!」
「って、ロー
…
なんだ、こいつ?」
「ああ、知らなかったか?そいつは、探偵なんだ。自称」
「探偵?」
「なんだい、その目は。疑ってるのかい?」
「いやいや、へぇ探偵ね」
と、目の前のキャベンディッシュを見ながら、俺のコーヒー飲みやがった。
「サンジお前いい加減仕事に戻れって」
「他に客もいないし、いいじゃねぇか」
「人のコーヒー飲みやがって」
「ああ、悪い悪い。後でおかわり持ってきてやるって。で、探偵さん」
「あ?」
「あんたの目から見て、この一件どう思う?」
とんとん、と指さしたのは、開きっ放しになっている新聞記事。
昨日のこと。
麦わらの一味のファンってことは、なんでこんなことになったとでも問いたいのだろうが。
何故、こだわる?
「どうもこうも、ハートがその絵をどうしても欲しがったってことだろう」
「だよな。やっぱ」
「それ以外何があるというんだい?」
「んじゃさ、なんでハートってやつはこの絵が欲しかったんだと思う?」
「さぁね」
「さぁって、お前探偵だろ?」
「探偵でも、わからないことだってあるさ。なんせ、推理するにも色んなものが足りない。だからこうして、」
そこで一度、俺を見てから、口をへの字にして、視線を逸らした。
にしても、ここに通うようになってから結構経つが初めて聞いたな、麦わらの一味のファンだなんて。どこかいつもと違うように思えるのは気のせいだろうか?こほん、とキャベンディッシュが咳払いをひとつしたことで、この会話も適当に終わるのかと思ったが、話しは続いた。テーブルの傍らにあった灰皿を引き寄せ、懐からタバコを取り出し、火を灯す。到底辿り着けるわけねぇだろうと、聞き流しながら、熊を食う。旨い。
「こうして?」
「
…
いや、なんでもない」
「んだよ。だってよ、この絵ってあんま価値のないもんなんだろー?」
「それをいうなら、僕としてはどうしてその価値のないものを麦わらの一味が狙ったのかも気になるけどね。君は気にならないのかい?ファンなんだろう?」
「え?いや、だってよ。麦わらの一味は返却するだろ?」
「だから、何を狙っているわけでもないと?」
「盗みを楽しんでるんじゃね?」
「そんなわけあるか。何かしらの意図があってのことだろう。まぁ僕が本気で調べ上げれば、その意図は見えてくるとは思うけどね」
「本気で調べる予定はない、と」
「面白くないからね」
「こだわるな」
「探偵だからね」
「意味わかんねぇなぁ」
「面白いことを先に追ってるだけだよ」
「先に追う面白いことってなんだよ?」
「ハートさ」
「麦わらには興味がなくて、そいつにはあるのかよ?」
「今は予告状を出してくれるのを待ってるんだ」
「は?予告?だって、ハートは予告なんか出さないだろ?」
「一番最初に一度だけ。予告状が来たんだ。いやぁ面白かった!!」
「予告状なら、麦わらの一味が出してんだろ?」
「麦わらは駄目だね。なんせ、暗号になってない。面白かったよ、本当に。解読していくのにあんなに胸高まったことも久し振りだった
…
」
「暗号?」
「また出してくれないかなぁあんな見事な暗号」
だからって、こっちをちらちら見るなっての。
「でも、結局は犯行予告の暗号だったんだろ?」
「いや、違うよ」
「違う?」
「犯行日時に狙うものはしっかりと記載されていた。問題はその言葉の後ろにあった様々な文字さ」
「や、待てよ。盗みに入るのに、犯行日時以外に何を残す必要があるってんだぁ?」
「あるだろう
…
なぁ、トラファルガー」
だから、俺に振るな。
「解いた先にあった言葉は【宝箱】。何を指すのかはまだわからないが、それが犯行を繰り返す何かに繋がることは明白だ。わざわざそれを暗号にして残している時点で、誰かに向けたメッセージだと思っている。最初に一度だけってのも何かあるんだろうね。トラファルガー」
「知らねぇよ」
実際。最初に一度だけってのは特に意味なんてなかった。
ベビー5に、バカねと言われて、それもそうかと思ったからだ。
でも、それがうまい具合になっている。一度だけの、予告状。示した暗号。犯行の度に、取り上げられている、事実。
「いやぁあの暗号を解いたあと、大変だったんだよなぁ。新聞記者に囲まれてさ」
なんて、思い出して浮かれ出したキャベンディッシュに、サンジがなんだこいつ、と呆れてる。病気なんだといえば、ああそうなんだとなんでもなく笑って、ひとつ長くなった灰を落としてから、やっと終わるのかと思った話しを更に続けた。
「ハートを追ってるってことは、結構詳しいんだ?」
「え?あ、ああ
…
それなりにね」
「どんなやつなんだよ?俺、麦わらの一味の現場には何度か行ったことあるんだけどよ。ハートってやつは見たことねぇんだよな」
「それもそうだろう。ハートは一度しか姿を見せてないからな」
「一度?最初だけってことか?」
「ああ、その時だけだ。その後は、犯行声明だけ残して獲物を手にするだけでね」
「最初の一回をお前は見たのかよ?」
「警察に呼ばれてね。現場に行ったんだ。いや、驚いたよ」
「そういえば、マジックみたいなことやったとかは聞いたことあるな」
「そう、まさしくマジックだった。まぁ特殊能力の類だとは思うが、異空間のようなそんな感じだったね。気付けば、盗まれていた。すと何処からか降り立ったと思ったら、指を動かしただけで獲物は消えていてね。同時にやつも消えていたんだ」
「
…
へぇ」
「ロングコートを身に纏い、深くフードを被り、その下には帽子も被っていた。ライトのおかげで顔は見えなかったけど、すっとした出で立ちだったな。そうだなぁ
…
君の横にいるやつのような感じだったよ」
「ローみたいな?」
って、おい。
「んじゃ、男だってことか?」
「間違いないよ」
「なんだ、つまんねぇの」
ちぇ、と吐き、灰皿にタバコを押し付け、俺のコーヒーを飲み切ってから、そいつは立ち上がった。
「レディじゃねぇのかぁ」
そこかよ、お前は。
「んで、探偵さん」
「は?」
「まだ、そいつの正体には辿り着けてねぇってことでいいんだな?」
「辿り着いてるさ。これでも心配しているんでね」
「はぁ?なんだよ、それ。探偵が怪盗の心配って」
「色々あるんだよ」
「変なの」
その言葉を最後にサンジは仕事に戻っていった。まだ何かしら話したかったようだが、からんころんと鳴ったから、だ。
「サンジー飯食わせてくれーー!」
「はいはい。肉か?」
「おう!肉くれ!!」
声に、顔見知りのやつでも来たのかと思いつつ。
ゆうるりとコーヒーを飲んでるやつを見た。
なんだよ、心配って。
「彼には気を付けたほうがいいと思うよ。何かしら害があるわけではないと思うけどね」
「は?意味わかんねぇな」
「君はそれでいいよ」
ふふ、と笑って、カウンターへと戻ったやつを見るから、俺もなんとなく、見た。
「
…
え?」
思わず声になったのは、驚きから、だ。
コーヒーを落としているやつ。
そいつの、前。
座って、流れる音楽に合わせて体を揺らしている、男。
あれは、
「どうかしたのかい?」
「あ、いや
…
なんでも、」
ないのか?
これはなんだ?
見覚えがある。
昨日、見た。
間違いない。
あの帽子は、
「へぇ、この季節に麦わら帽子なんて珍しいね」
「
…
あいつも麦わらの一味のファンってやつなんじゃねぇのか?」
いや、違う。
帽子だけじゃない。
ちらりと見える横顔。
あの顔は、
「
…
本当にどうしたんだい?」
「いや、」
こんなことってあるのか。嘘だろ。いや、でもそうなると、
くるくる廻りだした思考に、それでもこの席は一番奥にあるし、こちらを向くことがなければ気付くこともないだろうと、一応椅子の端に移動する。持ってきた本を廊下側に積み重ねてみた。少しでも、とそんなことを思いながら。
でも、
「ほらよ、ロー。コーヒーだ」
さっき、おかわり持ってきてやるといったやつが言葉通りに運んできた。その姿を追って、カウンターに座ったままのやつが、何故か振り返って、
「あっれーーーー!」
真っ先に、目が合った。
たたた、と狭い店内を駆け寄ってくる。
うわぁとそれはもう嬉しそうな声を出して、目をキラキラさせて、間違いなく俺だけを見てる。
「?なんだ、ルフィ。ローと知り合いか?」
「いや、知ってねぇけど、昨日会ったんだ!!」
「え、そうなのか?」
「会ってねぇ」
「って、言ってるぞ、ルフィ」
「いいや、絶対お前だってっ!!」
うわぁうわぁと何度も繰り返す。
確信してるのがわかるが、それでも誤魔化すしかない。ってか、こいつも何考えてんだ。他に人がいるってのに。あれが、お前だったとしたならば、てめぇだって正体を隠さねぇと駄目な立場だろうに。
失敗したと思った時には遅かった。
獲物を手に、能力を使って一気に飛んだ。事前情報から、そこには誰もいないと知っていたから気を抜いていたのかもしれない。降り立った、先。ぶつかってきた、男。瞬間的に、麦わらの一味だと思った。たがえることなく、そいつは麦わらだった。まさしく、今目の前にいる男の顔をしていた。あんな至近距離では、顔を見られていて当然だ。でも、お互い立場があるからこそ、誰に言うこともなく、だと思っていた。仲間内には告げることはあっても、だ。なのに、って
…
ああ、そうか。やっぱそういうことなのか?サンジもグルってんなら、さっき執拗にハートのことをキャベンディッシュに聞いていたのも頷ける。要するに、昨日の絵のことだ。でもあれは、
「え、」
どうするどうする思いながらも、思考を巡らせていたからこそ、気付いてなかった。
気付いたのは、触れられたから、だ。
すと、手。テーブルに置き去りになっていた、指先。
俺の手を、そいつは掌に乗せ、
「好きだ!俺と付き合え!!!」
「「「は?」」」
とんでもないことを言い出した。
そんな出会いだった。
2017.04.06 Ree.MORITA
*
*
怪盗るろー
…
出会い編。
パロって難しいですねぇ
…
それなりに長いお話しになるだろう一話目ですが、続きません(笑)
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