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ree_1116
2017-01-27 23:05:23
3665文字
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寸止め(ルロー)
ルローワンライお題【寸止め】いつも以上にただただ恥ずかしいだけのルローに仕上がってます…ローさんがそれはもうらしくないってか、お前本当にあの死の外科医か?ってか、26か?ってくらいにらしくないです。そんなんでも宜しければ~どうぞです…ほんと恥ずかしいだけの二人しか居ないです…
「ん?」
くい、と手を引かれた。
おい、と呼んでも、何も言わずただただ手を引くだけのやつに、疑問を抱きながらも、別にとも思ってた。何処に連れて行かれようとしても、ここは海の上。こいつの船。行く場所なんて限られているし、もしかするともう直ぐおやつだぞとさっきトニー屋が教えてくれた通り、おやつの時間になったから、ダイニングへでも向かうのかと、ただただ引かれるがまま、着いて行った、先。
ずっと背しか見せなかった麦わら帽子が、くるり、とこちらを振り向く。同時に繋いでいた手は離され、その手は何故か肩にやってきた。なんだ、と思ったが左右の肩に置かれた両のそれは、ぐっと下へと力をこめたから、座れってことか?となんでもなく腰を下ろし、甲板、手摺りに背を預ける。俺が素直に座り込んだからか、何処かほっとしたような面持ちでそいつも屈み込んだ。
そうして、やってきたのは、沈黙だ。
何か用があったからこそ、皆がわいわい騒いでいる場から離れたのかと思ってたってのに何もないというか。言葉がない。聞こえてくるのは、波の音とクルーたちの声。時折、風向きの所為なんだろう。甘ったるい匂いが漂ってくる。黒足屋のやつ、今日は何を作ってんだ、と何気に甘い香りのほうへと気を逸らせば、ぐい、と両頬を包んだ掌に強引に気を戻された。つか、なんだってんだ?
「麦わら屋、」
「 ぞ、」
「え?」
「だからよ、キスするって言ったんだっ」
キス?
キスって、
「あ?」
「駄目か?」
「いや、駄目じゃねぇけど」
驚いた。
麦わら屋に告白されたのは、それなりに前というか
…
まぁ、前だ。言葉に何処か懸命な顔に、嬉しいと感じたから、頷いた。そんな俺に、今日から恋人だなって何処か照れた風に笑ったから、そこでああ本気なんだなと思って、更に嬉しくなったことは覚えてる。でも、だからといって、何か変わったかといえば、何も変わらず、だった。あえて何処が変わったかと問われると、距離感だろうか。気付けば隣りに居る。前もよく気付いたら隣りに居たが、そのときとは距離が違った。不意に指先が触れたり、何処かしら触れ合って。何気に横のやつを見れば、嬉しそうにしてるから、これでいいんだな、と思った。一緒に居れるだけで幸せなんて。何処かくすぐったくて。関係を表す言葉がひとつ増えたとしても、きっとずっとこのままなんだろうな、なんてことを考えていた。所詮男同士だとも思ったけど、これはこれでいいな、と感じていた。気付けば傍らにある、体温。熱い、温度。笑えば、笑い返してくれる。そんな些細で、子供染みたようで甘い関係に、ぬるま湯につかったように心地よく、気持ちよくて。このままで、とも思っていた矢先に、
キス。
キスって、
思い至って、何故か心臓が跳ねた。
「んじゃ
…
するぞ?」
「お、おう」
改めて、宣言され、なんと返していいのかわからず、そんな答えをしてしまったが、未だに心臓は跳ねてる。けど、確実に縮まる距離に、ああ本当にするんだ、と実感して、また心臓が跳ね上がった。
ゆっくりゆっくり近付いてくる、知った顔。
なのに、いつもと違う、顔。
黒目がでかいと今更なことを思って、そこに自分しか映ってないという現状に、また心臓がおかしくなる。真っ直ぐに近付いて来た表情が、角度を変える。
って、う、うわ、
「ま、待て」
それは、触れる直前。
つい、出てしまった声に、じわじわ近付いていた顔がピタっと止まった。
「なんだよ?」
「あ、いや
…
」
なんだ?
え、ええと、だな。
「目、」
「めぇ?」
「閉じたほうが
…
いいか?」
って、何聞いてんだ俺はと自分で突っ込みたいくらいのものに、恥ずかしさが一気に増した。
そもそも、キス程度でなにこんなになってんだ、俺は。
なんで、こんな、
「あ~
…
どっちでもいいぞ」
「
…
そ、そうか」
「おう」
どっちでも、どっちがいいんだなんて、おかしなことで悩みだしてしまう始末。
「いいか?」
「
…
ああ」
んじゃ、とまた改めてみたいに麦わら屋は言って、膝をたてたままの足が邪魔だったのか、そこに手を置き、くい、と外側に押し、その合間に入り込んできた。
って、近い。本当に、近い。いや、キスするんだからこの距離は当たり前というか当然なことだってのに、だからって足の間にこいつがいるとか、初めてというか。こんな近いのは、初めてのような気がする。
二人きりで。
誰も居ない場所に連れてきて。
身長の差を嫌ったのか、俺を座らせて。
キスするぞ、なんて。
って、キス。
本当に、
するんだ、とまたわかっていることで、心臓がおかしい所か、全身が固まる。
ぐぐっと間際に迫ったやつに、思わずぎゅっと目を瞑り、頭が後ろに下がった。思った以上の勢いで、仰け反ったらしく、ごん、という音が派手に響く。痛、と零した俺に、触れる刹那に居たやつが、だいじょぶか?とぶつけた箇所を撫ぜる。
「何やってんだよ?」
「悪い」
「や、悪かねぇけどよ」
さわさわと、後頭部を撫ぜる掌が知っている体温よりも、熱くて。
思わず、じと見詰めるみたく至近距離に居るやつを見上げれば、やっぱいつもとは違う、顔。
「麦、」
「し、」
黙れとでも言わん声に止められて、開き掛けた口唇は、元の位置に戻る。閉ざした俺に、ゆっくり微笑んだやつは、ゆうるりと撫ぜあげていた掌を、別の用途に使った。
引き寄せられる。
目の前のやつが、瞳を閉ざす。
「っ、」
ああ、触れる。
今の今まで。ずっと。
そんな素振りなんてなにひとつなかったってのに。手を握るにしたって、あんな子供が手を取るみたいにしか触れてこなかったやつが、キスしたいと思っただなんて。
キスしたい。
あの麦わら屋が、俺に。
確かに恋人にはなった。けど、それは心だけのもので。何かを求めるでもなく、何を欲するでもなく、ただただ隣りに在れ、というだけの情の繋がりなのだと思っていた。それはとても心地良く、緩やかで穏やかで。このままでもいいなと思ってた。こいつも、それを望んでいるのだと思ってたってのに。
どうして、今、今日、キスしたいなんて思ったのだろうか。
何もなかった、普通の日だ。なんでもない、日常しかなかった、日。
何が切欠だったんだ。キスしたい、なんて。
キス、
「わっ、」
「って、なんだよっ」
「わ、悪い」
三度、触れるはずだったものが離れる。
というか、俺の手がそいつの口唇を覆ってた。
何やってんだ俺は、と謝罪は声になっていたが、完全に口を尖らせてるのが手の平越しにわかる。
「
…
ごめん」
「嫌なのか?」
「嫌じゃねぇって」
「なら、」
なんで。
当然の疑問だ。
俺だって、こんなことされりゃ、そう思う。
でも、だって、お前
…
、
「
…
ど、」
「ど?」
「ドキドキして、」
って、ガキか俺は。本当に。
キスなんて、ただ口唇が触れるだけの行為、だ。
今までだって、なんてことなかったし、こんなになることもなかった。
でも、
「お前と
…
キスするんだなと思ったら変に緊張して、」
その、とか。
あの、とか。
言い訳染みたことばかり紡ぐらしくもない俺に、ぐぐ、と眉間に皺を寄せて、首を傾げてる。
でも、
「ばっかだなぁ」
次の瞬間、へらっと笑った顔が声が、何故かすごく愛おしいものに向けるような響きで、表情で。
「キスでそんなになっててどーすんだよ、お前。そんなんじゃ、えっち出来ねぇだろ」
「え、ち?」
「え?駄目か?」
「いや、駄目じゃねぇけど、」
俺に?
と、変な問いかけをしてしまった自分に笑えば、目の前のやつも笑った。
いつものように、ししし、と。
その顔に、心が砕けた。ほっとしたとでもいうんだろうか。思いっきり篭っていた力が抜けたというか、
だから、と今度は俺から仕掛ける。
頬に手を触れる。指でなぞってから、静かに笑んで。
顎をあげた。
目を閉ざした。
キスしたいと、告げるために。
「トラ男、」
わかったやつの声に、さっきまであんなになってたってのに、今は待ち遠しくただただ閉ざした先の熱が触れるのを待っていた。
けど、
「麦わら屋?」
いつまで経っても触れてこないから、どうしたと目を開ければ、
「って、お前」
そこには真っ赤になったやつが居て、
「なんだよ、お前」
「トラ男が、ドキドキするなんていうから、」
俺もドキドキしちまった、なんて。
「馬鹿だな」
「うっせ」
可愛いと思って、触れたいと思って、座り込んだ先から、身を起こす。
早く、と首に抱きつき、先を欲した。
2017.01.27 Ree.MORITA
寸止めになってますかね??(汗)
ほんと恥ずかしいだけのものでスイマセンでした。
最後までお付き合いありがとうございました
…
!!!
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