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ree_1116
2016-12-15 22:18:59
1854文字
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雪(ルロー)その2…
ルローワンライお題【雪】…2本目…
ふと、気付いて外へと出た。
なんてことはない、突然暗くなったからだ。
もしかして荒れるのかしら、とナミのところへ、確認の為に出たのだけれども。
甲板。
僅かに揺れる、船体。
明らかなまでについ数分前まであった空の色ではなくなっている。
雨か、嵐か。
これから到来するかもしれない自然を思って見上げようとしたけど、その途中目に入ったひとつの影。
赤いコートを身に纏い、何故か体を揺らしている、船長の背。
頭にすっぽり被っているトレードマークが、右に左にと留まることなく、動く。
その様子に、これからやって来るものは脅威にはならないものなのだろうと、ゆらゆら揺らめいている背に並び立った。
「ご機嫌ね、ルフィ」
「お、ロビン!」
隣りに並んで気付いたのは、鼻歌を歌っていたこと。
言葉通りの上機嫌。
いいことでもあったのかしらと、尋ねてみれば、彼から返ってきた答えは過去のことではなく、未来のことだった。
「雪だ!!」
「雪?」
「これから降るんだってよ」
ニコニコ、と。
待ち切れないという面持ちで告げられた。
「そうなの」
「ああ、だからここで待ってんだぁ」
俺、雪って好きでよと繋がる声も軽やかで、本当に好きなことが伝わって来る。
「一番最初の雪を見たいんだ」
「ふふ、素敵ね」
「だろ」
ししし、と笑う顔はまるで幼子のようで。
「ロビンも一緒に見るか?」
誘われた先の雪の風景に、ひとつ、思い出した。
「ねぇ、ルフィ
…
知ってる?」
それは、絵本だったと思う。
子供の世界。
散りばめられた、夢の色。
「うん?」
「一番最初の雪を掌に閉じ込めて、願い事を唱えるとその願いは叶うんですって」
多分、嘘。
そんなこと有り得ないのが、世の常というものだ。
それでも声になったのは、今目の前にいる人が、何処までも少年だからなのだろう。
「
…
本に書いてあったのだけど、あなたはどう思う?」
私は、彼に夢見ている。
だから、問うてみた。
案の定、返ってきた瞳は煌めいていた。
「流れ星にお願いするのと似てんな」
「そうね」
「そっかぁ
…
捕まえてみてぇな
…
最初の雪」
「何をお願いするの?」
ぐっと、握られた拳。
でもそれは次の瞬間、ぱっと、開かれて水を掬うように象られた。
「
…
内緒だ」
「あら?海賊王ではないの?」
事あるごとに、自らを指す言葉にだって、海賊王になる男、と胸を張る人だから願い事はそのひとつだと思っていたのに、
「海賊王は自分で叶えるもんだからいい」
「なら、」
何を、と問おうとしてやめた。
内緒と告げられている。
一度、そう声にしたのなら、ずっと内緒のままなのは知っている。
「ロビンちゃん、コート着た方がいいよぉ〜」
「
…
あ、そうね」
美味しい紅茶もはいったよ〜というサンジの声に、捕まえられるといいわね、と残しその場を後にした。
その僅か、数分後。
紅茶を頂いてた時に、外の色が変わった。
雪だ。
ふわりふうわり舞い散る白に、そういえば最初の雪を手にすることが出来たのかしらと、ダイニングの窓から様子を伺えば、両の手を重ね、嬉しそうに笑っている麦わら帽子が見えた。赤いコートの彼。そして、その横には
「トラ男くん?」
黒いコートを着た、同盟相手が立っていて。
その彼に、ルフィは重ねたままの掌を差し出し、ゆっくりと開いてから、何かを告げた。
「
…
あら」
その途端、雪の景色に頬を染めた、人。
バカ、と口唇が動いたのがはっきりと見えた。
向かい合ったまま、額を合わせ、微笑み合っている。
ルフィの掌は、トラ男くんの頬に。
トラ男くんの掌は、彷徨いながらもルフィの腰に、
「ふふふ」
「なに、ロビン?いいことでもあったの?」
「ええ
…
そうね。とてもいいことがあったわ」
きっと、
手にしたのであろう、最初の雪の結晶を。
そして、願い事の先には、トラ男くん。
何かを告げたルフィ。
何かって、私も嫌ね。
読唇術はお手の物。
だから、彼が彼に何を告げたのかわかっているのに、
「素敵ね」
「ん?雪?」
「ええ、雪の世界ってとても素敵」
「そうねぇ」
その白い無垢な世界で、成就された願い。
何処までも少年の彼が、願ったこと。
「内緒なんて、可愛いわよね」
「ん?」
「なんでもないわ」
なんでもない。
そう、これからそれが当たり前になるのだから。
2016.12.15 Ree.MORITA
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