ree_1116
2016-08-18 21:54:59
3012文字
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間接キス(ルロー)

ルローワンドロ第11回お題【間接キス】ありきたりな上に、いつもながらの、ただただ恥ずかしいだけのものですが…少しでも楽しんで頂けると幸いです…


とん、と。
置かれたものに、思わず首を傾げてしまった。

「なんだよ?」
「いや、」
「ラムネ、知らねぇのか?」

おやつだおやつ、と。
バニラアイスと一緒に置かれた、青い瓶。
シュワシュワ炭酸が浮かんでは消え、また浮かんでる。

懐かしいなと思って」
「だろ」

言えば、黒足屋は嬉しそうに笑って、踵を返す。
手にはアイスとラムネ。野郎共おやつだぞーと叫んでる。
その後ろ姿にご苦労さんと思いながら、よく冷えたそれを持ち上げた。
軽く振ると中でビー玉が踊る。
その様にまた懐かしいと思いつつ、一口。
コクリと飲み込めば、口の中で弾ける感覚。

「ほんと、」

懐かしいな。
いつ以来なんだろうか、なんて考えなくてもわかる。
ガキの頃、夏場になると母様が買って来てくれた。それをラミと一緒に何故か外に出て、暑い最中、並んで飲んだ。美味しいね美味しいね、笑いながら。翳せば、白い世界に、浮かび上がる、青。純粋に、綺麗だなと思って見上げた空には、太陽。眩しい、色。あれは、

「あっちぃーーー!!」

ゆうるりと辿り出した過去を掻き消した声は、とととっとあっという間に駆け寄って来る。
何をどうしてたのか、汗だくになってるやつは俺の横にすと、さも当たり前の様に座り込んで、置いていたラムネをなんでもなく手にして、そのまま、ググッと飲み込む。

「ぷはー!ウメーーーー!!!」
「って、お前な」
「ん?んん??」

ビー玉が邪魔してうまく流し込めないのか、クピクピ口唇を尖らせ、なんだよ?と俺を見上げる。美味いなこれ!と嬉しそうに溶けかけたバニラアイスに気付くことなく。まぁ別にいいけどな。それ、俺のなんだけど、お前のはあっちにあるってのに。まぁ、別にいいんだけど、

「おい!ルフィ!それはローのだ!お前のはこっち!!」
「え?あ?そうなのか?トラ男?」
「別にいいぜ、飲んでも」
「俺のと交換すっか?結構飲んじまった」
「だから、いいって。少し飲んだしな」

俺はこっちでいい、と既にドロドロになってるバニラアイスをと思った時、

「んじゃ、ルフィ。お前、トラ男と間接チューだな!」

なんて、笑い出したのは鼻屋で。

「それを言うならテメェは俺と間接チューだぞ、ウソップ」

と、微妙な顔で言ったのは、黒足屋だった。

「あ?これ、サンジのだったのか?」
「全く、」
「あはははっ悪い悪い。俺のはこれか?」
「そうだ。テメェのはこっちで、ルフィお前のはこっちだからな」

わかったか、と黒足屋は多分ロボ屋とトニー屋になんだろう、ラムネとアイスを携えて行っちまった。
笑ったままの鼻屋は、ナミ屋たちが陣取ってる所に自分の分の置き去りにされたおやつを手に座り込んだから、

「麦わら屋、お前のは、」

取り敢えず、あちらに置かれたものを、特に溶けかかっているアイスを食っちまえと声を掛けたってのに、

「どうした?」

麦わら屋が、動かない。
ラムネ瓶を持ったまま、かたまってるというか?
なんだ??

「おい、麦わら屋?」

肩を揺すれば、まるで長い夢から醒めたかのように、パチパチ数度、瞬きをしてから。
ギギギ、ギギギとおかしな動きで俺を見た。

「トラ男、」

その顔は、真っ赤で。

「俺、今?」

なんて、何を戸惑ってんだか。

「間接チュう?」

って、お前。

「う、うわ、」

だから、




麦わら屋に告白されたのは少し前のことだった。
瞬間、驚きはしたが心が素直に喜んだのもわかって、気付けば、頷いてた。うん、俺もと声になってた。嬉しそうに笑ったやつは、キュッと手を握って、そのまま暫く、繋いだまま。二人して、暮れる夕陽を見てた。それこそ、黒足屋に飯だと呼ばれるまで。
思い返せば、まともに触れたのはあの時の掌だけで。抱き付いてくることもあったが、恋人としての抱擁ではなく、子供が戯れてるような他愛のないものでしかなくて。当然、キスもない。だからって、ほんと。お前、

「そんなんじゃ、本当のキスなんて出来ねぇな」

仕方ねぇやつだなと、未だにポポポ頬を染めたままの年下の恋人にそう耳打ちすれば、はっと目を見開く。手が伸びてくる。

「出来る」

言い切った、刹那。
微かに、喉を潤したラムネの味を残しつつ、チョン、と触れたのは紛れもない口唇で。
子供だなと、稚拙なキスに笑みが浮かんだけど。
次の瞬間、あ、と思った。
黒。
黒い、吸い込まれそうな、瞳。
至近距離にある黒は、ゆっくりとゆっくりと、閉ざされる。
ああ、とまた感じて。
閉ざされつつある黒を、眺めながら。
完全に視界を閉ざせば、ゆうるりふうわりと包み込むように触れてきた。

「ん、」

ああ、なんだ。
出来るじゃねぇか。
間接でしかなかったもんに、あんなになってたくせに。

しっとりと重ね合わせたものは惜しむかのように、ツと舌を這わせてから、離れていく。
そして、しししと、笑いながら、

「今度、エッチしような」

なんてことを、言うんだ。

「いいよ」

俺も、そんなことを言うんだ。







「って、ちょっと待って」

今、とフルーツで彩られた炭酸を口に含みながら、向かいに居るロビンに問い掛ければ、可愛いわねなんて頬杖を付いて、笑ってる。って、ほんとちょっと待って?ウソップの所為でちゃんと見えなかったってか、まぁぶっちゃけ邪魔だったんだけど。ルフィの手がトラ男の頬を掠めた所までは見えたのよ。その指先がすと、耳をなぞったのも見えたのよ。私が居る角度からは、トラ男の後頭部ってかそこらしか見えなくて。だから、はっきり見えたわけじゃないんだけど。ほんと、ちょっと待ってちょうだい。あ?なんだよ、ナミと船長二人に背を向けて座ってるウソップがラムネ飲みながら笑ってるけど。何も邪魔するもののない角度から見てたロビンが、幸せそうに笑ってるってなに?可愛いってなに??なんかあそこら、雰囲気がピンクってかハート飛び交ってるってかそんな感じがするんですけど!!気の所為じゃないわよね?え?ええええ!!

「いやぁいいですねぇ」
「あら、ブルック」

いつの間にやら、四つ目の椅子に座ってたブルックは、ぐるぐるしてる私を他所にカタカタ笑いながら、手にしていたラムネを置き、徐にバイオリンをとった。って、

「いいって、」

何よ。
やっぱり、そーいうことなの?
ってか、あの二人って、そーなの???
いつから?え?嘘、


「僭越ながら、一曲、失礼します」
「いよっ!ソウルキング!!」
「ふふふ」

よくわかってないままのウソップと、全てを見ていたロビンが拍手を送ってる。
おーブルック!!いいぞーやれー!!と喜んでるルフィは隣りにいるトラ男と一本のラムネを交互に飲みながら、ニコニコニコニコしちゃって。なによ、もう。なによ、ほんっっとに。でも、そうね。まぁまぁいいわ。本当、嬉しそうにしてるし。幸せそうにしてるし。なんか、平和だし。

「では、聞いて下さい」

弦は何処か甘い響きから、始まって、

いつもより、柔らかな音色で我が船の音楽家が声にしたその曲は、



ファーストキスは、ラムネ色。




2016.08.18 Ree.MORITA
ありきたりな上に、また恥ずかしいだけのルローでスイマセンでした