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ree_1116
2016-07-04 21:55:44
3627文字
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【2人だけの合図】(ルロー)
ルローワンドロ第四回:お題【2人だけの合図】
初めて投稿させて頂きます。拙いものですが、少しでも楽しんで頂けると幸いです…
『知ってますか?』
不意に脳裏に横切った声に、知ってるよと心の中で答えた。
それはなんでもない、日。
波も穏やかで空は何処までも上機嫌。照り付ける太陽光線。真夏のような気候の最中。
新世界にあって珍しい類の、日だった。
客人として乗っているからってわけでもなく、持て余した時間。なら、とニコ屋に勧められた本を片手に、知らずと定位置になっているマストが立てられた場に座り込んで、何気にページを捲っていたはずだってのに。気付けば、文字を追っていた視線は違う方へと向かっていた。
そこに思い出した、ひとつの声。
ペンギン、だ。
『あんたは、』
から、始まって。
だから、と変なところで切られた。
いつの言葉だったのかは定かではないが、確かにそう告げられたことは覚えている。
それは、なんとなく自覚していたことではあったが、他人、しかもずっと俺の傍らに居たやつからの言葉となると身に染みるというか、やっぱそうなのかと納得してしまったが、
「でもな、」
と、思う。
思いながらも、視線の先のやつをただただぼんやりと眺めていた。
揺れる、麦わら帽子。
楽しそうに、笑ってる。
横には、鼻屋。天気もいいしよ、という会話は聞こえていた。釣りでもしようぜ、と何処からか竿を持ってきて始まった言葉通りのこと。いつもなら、そこらを駆けずり回っているやつらが一か所で糸を垂らしているってのも不思議だと思ったから、見ているに過ぎない。そう、それだけのことだってのに。思い出した、過去の声。
『あんたは、人にも物にも欲がない。執着しない』
突然言われて、なんだ?と思ったが、反論はした。
お前たちのことは大切に思っているし、執着もしてると思うがと答えた俺に、わかってますなんて言いやがって。
『でも、わかったんです。欲がないわけじゃなくて、ひとつに執着してしまうんですね。欲しいものは欲しい』
悪いか?
『悪くなんてないですよ。一途だなと思って』
一途って、
『・・・思うが侭に生きて下さい。俺は、俺たちはあんたについていくって決めてますから。だから、』
だから?
「・・・ああ」
思い出したのは、だから、から続いた言葉。
未だに見ている先には、麦わら帽子。
どうして、今、ペンギンの言葉を思い出したのか、よくわからないが、多分きっと、
「欲しいのか?」
何を?
誰を?
麦わら屋を?
麦わら屋を欲しいって、
「なんだ?」
わからない。
わからないものを考えてもどうしようもねぇと、視線の先を下へと傾ける。
実際どうでもいいことだと、膝に置き去りにしていた文字へと落とそうとしたってのに、
「うわああああああ!!!!!」
「わっ、」
突然の声と同時にドスンという音と、降ってきた水の大群。
「わわっ悪い、トラ男っっ!!」
駆け寄ってきたのは、鼻屋だった。
一体なんだと辺りを見回せば、甲板の上にでかい魚。ああ、あれを釣り上げた拍子に、海水までも打ち上げやがったってわけか、と多少力が抜けた手で取り敢えず借りた本から水を拭う。滴り落ちる雫が邪魔で、髪をかき上げたところで麦わら屋がぽかんとこちらを見ていることに気付いた。
「・・・どうした?」
「あ、え?や、なんでもね!」
そいつも海水を被ってるからかへにゃりと座り込んでいたが、なんでもね!!ともう一度大きな声で言って立ち上がる。
「ほんっとゴメンなぁトラ男。結構被っちまったな、着替えるか?」
「いや、この陽気だ。すぐ乾くだろう」
「タオルとか」
「平気だ、鼻屋」
「そっかぁ?」
「ああ」
それよりも、本のが気になる。
ニコ屋になんて言えば、と自分よりもそちらばかりを気にしてたが、
「なんだ?」
何故か鼻屋が俺をじっと見てたから、不思議に思い視線を上げれば、いやぁと笑う。
「水で服が透けるとよ、入れ墨が見えてなんかエロいってか。水も滴るいい男・・・って、痛ってーーー!!!」
突然、鼻屋が痛がったのは、麦わら屋の所為だ。
ズビシ、という効果音と共に何故か、鼻屋の頭をチョップしていた。
「って、何すんだよっルフィーーー!!」
「え?」
「え?じゃねぇよっ痛いだろっ」
「あ、・・ああ、悪い」
「悪いって・・お前なぁ」
はぁと肩を落とした鼻屋の後ろで、麦わら屋が盛大に首を傾げてる。どう見ても疑問符が行きかってるやつは俺と目が合うと、う、と息を呑んで、わぁぁぁぁ!!チョッパー!チョッパーー!!と医務室へと駆け込んで行った。
「なんだ?あいつ?」
「なんだろうな?」
「あら、すごい水浸しね」
そこにやって来たのは、ニコ屋で。
「悪い。本、濡れちまった」
「いいのよ」
「そうか?」
「ええ、何処にでも売ってるものだし」
「なら、買って返す」
「気にしないで。ルフィとウソップの所為なんでしょ」
いつものことよ、と笑う。
そうこうしているうちに、鼻屋は釣った魚を運び出し、濡れた甲板はジワジワとした太陽光で乾き始める。気付けば、骨屋のリサイタルが始まっていたが、そこに麦わら帽子はなく。
「だから、」
なんだよ、と盛り上がっている場から視線を逸らした時、
「ロー、ちょっといいか?」
呼んだのは、黒足屋だった。
なんだ?と首を傾げれば、ちょっとちょっとと手招きされ、深く考えることなくついていけば、たどり着いた先は、水槽に囲まれた部屋だった。皆が居る場ではなくあえてここを選んだということは、と中へと入れば、頼むと一言。え?と振り返った時には、もう扉は閉ざされていた。
「・・・トラ男」
中に居たのは、麦わら屋一人。
頼むと言われたからには、何かあるんだろうが、一体なんだ?
「あのさっ俺っ俺さ」
何処か懸命というか必死というか。
珍しい麦わら屋の様子に取り敢えず近寄り、ぐぐっと拳を握り締めたままのやつの前で跪けば、う、とついさっき見たように息を呑んだやつはそれでも、あのよ、と言葉を続けた。
「チョッパーがわかんねぇって」
「トニー屋が?」
「おう、ならトラ男に診てもらえってサンジが」
「黒足屋?」
出てきた名に、診てもらえという言葉。
そこにどうして黒足屋が出てくるのかは不明だが、とにかく医者に診てもらえってことなんだろう。見る限り、当然怪我なんてしてない。トニー屋がわからないなら、俺でもわからないだろうにと思いつつも何処か切羽詰まっている様子に一応と声を出す。
「具合でも悪いのか?」
「具合ってかなんだ、ええとなんかよ、息苦しいってか顔が熱いってか。でも、熱はねぇって」
「海水被ったからじゃねぇのか?」
「うーん・・でもよ、いきなり心臓がドクンってするんだ」
「・・・心臓か」
なら、抜いてみるかと思ったのに、何故か能力を使うはずの掌は麦わら屋の額に当てていた。
「うおっ」
「どうした?」
「また、ドクって!」
「?・・熱はねぇな」
「なんか、すげぇドクドクなってんだけど」
「どれ?」
脈がおかしいのかと今度はぐぐっと握り締められたままの、手を取る。手首に指を当てる。
「・・まぁ、脈は少し速いが」
「ト、トラ男、」
戸惑ったように呼ばれて、顔をあげればポッポッポッと麦わら屋の顔が火照り出すのがはっきりとわかって、
「俺、熱いってか苦しいってか、でもなんか」
「なんか・・なんだ?」
問い掛けながらも、何故か、
「・・・どした、トラ男?」
「あ、いや」
トクトク、と。
自分の心臓を音が聞こえる。
どうかしたのか、と顔を覗き込んでくるやつに、頬が異様に熱くなって、
「っ、」
なんだこれ、と思った瞬間。
麦わら屋の額が俺の額にコツンとぶつかっていて、息を呑んだ。
「・・・なんか、」
「なんだよ」
「苦しいけど、気持ちいいな、これ」
今までにない距離の、中。
何処か嬉しそうに。何故か幸せそうにしてるやつに、俺もだと返せば、そっかトラ男もかとへにゃりと笑ったと思ったら、笑みの形のまま、触れ合っていた。
あったはずの距離がなくなっていた。
いつの間にか、繋がっていた掌の先に。
トクトク、と少しだけ速い、音。
同じ速度で重なり、奏でられる、心。
それは、二人だけの始まりの合図だった。
『恋の、はじまり』
2016.07.04 Ree.MORITA
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最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
鈍感な二人が好き(笑)
一時間って厳しいです
…
ありきたりな内容の上、最後のほう、明らかに書き込み不足で
…
申し訳なく。
この場に一気書きしたので、誤字脱字とかあったらゴメンなさい。
ネタが被ってないことを祈ってますっっ!!
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