ree_1116
2016-02-20 01:07:40
1514文字
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無題(ルロー)

初見のお方は閲覧前に『はじめに』( http://privatter.net/p/1293798 )を、一読願います。 DR終焉間近。ここらのうちの子たちはいつもこんな感じ。というお話し。


ひとつ、ひとつと。
カウントダウンが進む最中、そいつはふらりと立ち上がった。
未だ覇気はまともに戻ってない。
それでも、しっかりと地面を踏み締め、拳を握り締め、自らの足で立ったやつをたいしたもんだと目線だけ動かして、見ていた。


「行けるか?」
「当たり前だ!」


問うた声に、瞬時に返してくる。
まるで獣だな、と思った。
がるるる、と唸るように落とし、見据えた先には、一人の王の姿。
そんな様に、今俺が此処に居ることすら気付かぬままなのだろうと、そんなことを思った。
問いに答えたのは、ただ単に聞こえたからであって、認識しているわけではない。それほどまで真っ直ぐに、ひとつだけを見ている。
進む、カウント。
国中、島中の声が願いが重なる、数字。
それに呼吸を合わせ、今にも飛び出さんとしているやつに、それでも、と言葉を告げる。
例え、耳に届いていなくとも、伝えておきたいと自分勝手に思ったから、だ。


「・・・・悪いが俺はもう動けねぇ。でも、まだ能力は使える。出来るだけお前のサポートはするつもりだ。先ずは、ドフラミンゴの元にお前を飛ばす」
「頼む」


こちらを見ずに返してきた言葉に多少驚きながらも、続けた。


「・・・俺は、この先・・何があってもどう転んでもお前と共にいくと決めた。だから、思う存分やって来い。・・・結局お前にすべてを背負わせてしまう結果になったことは謝罪する。悪かったよ。・・情けねぇ話しだがもうお前に託すしか・・だから、」


力強く立ち上がったやつを見ていたはずの視線は、気付けば下がっていた。己の情けなさを自らの言葉で突きつけられたように、俯く。届かなくてもいいから伝えたいと思っていたもんすら、途切れたってのに、


「・・・っ、」


ふ、と未だ感覚が戻りきってない右腕に、温もり。
は、と完全に下がっていたものをあげれば、真っ直ぐに立っていたはずのやつが、俺の前で屈んでいた。


「麦わら屋、」
「腕」
「え?」
「良かった、繋がってる」
「・・ああ、小人族の姫さんが治してくれたらしい」
「そか」


うんうん、と二度頷いたやつは、先程まで浮かべていた獣の形相を捨て、緩やかに笑っていた。
そうして、


「俺一人じゃねぇだろ」
「・・?」
「お前と一緒だろ。俺たち二人でやってきたじゃねぇか」
「そんなこと、」
「お前があそこまでミンゴを追い詰めてくれたからこその、今だ。ここから先は俺に任せろ」
「・・・麦わら屋」
「ああ、でもこの先も俺と来てくれるだよな」


ふ、とらしくない笑みを浮かべたやつは、首を少し傾げた。
右腕にあったはずの温度は、気付けば頬にあって、
俺の左腕も気付けばそいつの頬にあって、




「んっ、」




どちらからともなく、口付けていた。
優しい触れあいじゃない。決して、そんな他愛のないものではない、貪るように求め合うように、ひとつになることを望むように、深く深く口付ける。
互いに、もう体力なんて然程残ってないってのに、息まで切らしてなにしてんだかとは思ったが、そんなことどうでも良かった。今は、ただ、



カウントが、聞こえる。
ひとつずつ減っていく音を、耳にしながら。
ゼロになる間際まで、ただただ二人でひとつになっていた。


「トラ男、頼む」
「頼んだ、麦わら屋」


そうして、尽きた数字の刹那と同時に能力を展開させる。
交わった体温を残したそいつを飛ばす。








ドレスローザ、終焉まであと、数分。
運命を、関係を変えた、数秒の出来事だった。












それを今は、ひどく後悔している。