rei0103
2015-01-02 03:52:36
486文字
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無題


 静かだった。
 静かな夜だった。
 静かな寒い夜だった。
 静かな寒い雪の降る夜だった。
 静かな寒い深々と雪の降る夜だった。
 静かな夜だった。寒い夜だった。雪の降る夜だった。深々と雪の降る夜だった。
 足音も声も心音も呼吸のかすかなゆらぎさえ雪が吸い込んでいるような夜だった。
 静かだった。
 
 すべては静謐のうちに行われた。

 迸り滴る赤い鼓動すら吸い込んで、ただ白い雪に描かれた赤い花だけが残る。
 雪を踏む音も雪が吸った。
 静かな夜だった。寒い夜だった。雪の降る夜だった。深々と雪の降る夜だった。
 その夜、ガラスの瓶から舌が盗まれた。
 柔らかくしなやかでうつくしい、ガラスの瓶の中で腐敗の気配さえ見せない舌だった。
「ようやく見つけた」
 静かな夜だった。
「最後のパーツだ。君の舌だ。あらゆる言葉を乗せる舌だ。すべての言葉を乗せてきた舌だ。君の」
「君の、舌だ。さあもう一度歌ってくれ」
「あの声をもう一度聞かせてくれ」
「あの残響を世界に与えてくれ」
「あの光をもう一度見せてくれ」
「これで全部揃ったんだ」
「さあ、もう一度」
「ミク」