カロリーの問題はさておき、出されたものに対してしっかりと両手を合わせることは、大切な礼儀である。泉もやや遅れて、焼きいもを手に取った。
地元民しか知らないメロディーが流れる夕方のテレビ、冷蔵庫に貼られた「明日はお兄ちゃんがでる音楽番組」のメモ書き、Fight for Judgeのサビを延々と繰り返しながらフライパンを炒めるレオの母。なんてことのない一般家庭のテーブルで、柔らかな皮をぴりっと破き、上品にかぶりつく。口内いっぱいに、自然の甘みが広がった。ちっとも高級感のない、庶民的な風味だ。それでもここ最近で口にした食べ物のなかでは、なぜか一番舌に馴染み深く感じるのだった。