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らい
2020-10-06 21:04:00
2124文字
Public
レオいず
今日のレオいず♀㉒「ゴールテープは渡さない」
お題「チアガール」※泉女体化(性転換、呼称改変注意)
毎年、滞りなく開催されている夢ノ咲学院の体育祭。
帰国のタイミングが被ったレオと泉は、後輩たちの活躍を観戦することになった。コンビニで買ったおにぎりと、緑茶を飲みながら、グラウンドを疾走する仲間たちに「がんばれ~!」と叫ぶ───レオにとって、それはもう楽しい応援になるはずだったのだ。
「L♡O♡V♡E♡ゆ・う・くんっ♡」
「
………
。」
レオは、とにかく不機嫌である。駐車場でたばこを吸っている不良のような柄の悪い顔つきで、黄色い悲鳴を響かせる泉を眺めていた。
すぐ隣でポンポンを振っている泉は、どういうわけだかチアガールの格好だ。太ももを惜しげもなく露わにした短い丈のスカートで、障害物競争に挑戦している『ゆうくん』こと『遊木真』を応援しているのである。
なぜ、このような事態になっているのかといえば───単純な話だった。応援団の女子が職務放棄で参加せず、さらには残っているメンバーも体調不良で倒れてしまったため、欠員が出たのだ。
唯一の応援団は男子のみ。これはこれで女性層が喜ぶが、やはり男性ファンに向けた華が欲しいというのが、夢ノ咲側の本音であった。
遊木真は、今年の体育祭実行委員のひとり。どうしたものかと困っていたところ、レオたちが居合わせたというわけである。
「いや、別に無理してやらなくていいよ
……
。というか頼んでないからねっ!?」
「大好きなゆうくんが困っているところ、お姉ちゃんは見たくないのぉ!」
「そもそも泉さん、OBでしょ~!?僕、ほかの子にも声、掛けてみるつもりだから
………
」
「ほっ、『ほかの子』ぉ~!?無理無理っ、ゆうくんが他の女にお願いするぐらいなら、私がやるんだからっ!」
「い、泉さん~!?」
そしてチアガールの衣装を強奪し、『応援団・瀬名泉』が完成したというわけだ。
レオは、こめかみをぴくぴくと揺らしながら、グラウンドを見やる。『ゆうくん』が、立ちふさがる障害物たちに、果敢に挑んでいた。
「ああっ、だめぇ
……
っ!だめだってばぁっ、早く、抜いてっ!」
『ゆうくん』が、網に苦戦している。泉は「だめ、だめっ!そんなに激しく動いたらぁ
……
!」と切なげに叫んだ。
足に引っ掛かった網を一刻も解いてほしいようだが、いかんせん主語がない。周囲の男子たちがザワつきはじめる空間に、レオの眉は暴走族のごとく吊り上がる。
「そっ、そこ
……
っ!ああっ、そんなにおおきいの、くわえられないよぉ
……
っ!だめだめっ!このままじゃ、きちゃう
……
っ!きちゃうからぁ~っ!」
パンを上手に食べられない4位の『ゆうくん』が、5位の走者に追いつかれそうになる。レオは、食べかけのおにぎりを膝に落っことした。具のしゃけがブルーシートに散らばる。
「はぁあぁぁぁ~っ
……
!そんなに出されたら
………
っ!濡れちゃうっ、びしょびしょになっちゃうよぉ~っ、それだけはダメっ、出しちゃいやっ!お姉ちゃん、もうだめぇ~~~
……
!」
昨年まではなかった新エリア、水鉄砲噴射ゾーン。顔面に直撃をくらった『ゆうくん』の眼鏡が吹き飛んだ。しかし、どの走者も条件は同じ。高圧の水を浴びて転倒する者が続出するなか、『ゆうくん』は負けじと立ち上がる。バランスを崩した上位陣を、いよいよ抜いた。
観戦席が、わあっと盛り上がる。いけいけウッキ~!外野から、いつかどこかで聞いたことのある元気な声援が、太陽いっぱいに響き渡った。
「ゆうくんっ、いっちゃうっ!いっちゃうよぉ~っ!あっ、あっ、あっ、あああ~~~っ!」
そのままゴールに行き、逆転優勝を決めてしまった『ゆうくん』に、泉は歓喜の声を上げた。足が特別はやいわけでもない眼鏡の少年が、不屈の精神で一位を勝ち取る。そんなドラマチックな展開に、レオも素直に喜びたいところだが───隣で「はぁん
…
ゆうくん
…
っ!」と悦に浸っている泉を見ると、それどころではなくなってしまう。
「ゆうくん~っ!お姉ちゃん、嬉しくってカラダがビクビク震えちゃったよぉ~っ!お姉ちゃんのナカから溢れるBIG LOVE、受け取ってぇ~~~っ!」
泉は、ぴょんぴょんと跳ねた。元のサイズが小柄な少女に合わせたものだからか、胸の部分はぷるんと膨れている。揺れるスカートの下からのぞく太ももは眩しく、美しい脇が、瞳のなかで反射した。
「おお~
………
っ!」
周囲の男性陣たちが、熱っぽいまなざしで、チアガールの泉を見つめる。レオはこほん、と咳払いをして、すっと立ち上がった。
「セナさん」
「はあ?何よ。今ゆうくんにたくさんの愛を送ってるんだから、邪魔しないでよねえ」
「折り入って話がございます」
「えっ?ち、ちょっとぉ~
……
!?」
泉の手首をつかみ、レオは応援席を後にする。基本的には許してやるし、過度な束縛も極力しない方針だけれど、自由にも限度というものがある。ばかとか、チョ~うざぁいとか、文句を垂れる泉に、レオはふん、とそっぽを向いた。
永遠に借り物競争してやる。『鈍感ラブコメ主人公』をゴールテープに連れていくのは、一位のおれだ!
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