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らい
2015-12-12 17:14:20
2848文字
Public
りついず
たぶんの定義とは
りついず版ワンドロ・ワンライ企画様/テーマ「キスマーク」/司ちゃん視点のりついず
「うわっ」
瀬名先輩の上ずった声には、ずいぶんと慣れたものです。布団の中からそろりと伸ばされた凛月先輩の手。寝ぼけ眼のmonsterによる捕食に巻き込まれた瀬名先輩は、B級panic映画の被食者さながらに布団の奥へと引きずり込まれていきました。お姉さまがstudioに設置して下さった布団一式は、凛月先輩の数少ないお気に入りの一つです。Knightsがstudioに集まるたび、”Knights“の誰かを
―――
とりわけ瀬名先輩を捕獲しようとする行為は、もはや日常茶飯事のことでした。『つっこみ』を入れるまでもない『よくある出来事』ですから、瀬名先輩の指を赤ちゃんのように舐めようと、抱き枕がわりにして瀬名先輩の腰に両手を絡ませようと、「凛月先輩の習性だから仕方ない」の一言で済まされていたように思います。むしろ、恒例のcommunicationが始まったのだと、すんなり流すことにしているほどでした。現に、鳴上先輩は「相変わらずの仲良しさんね」と、私の隣で満面の笑みを浮かべていました。
要するに、瀬名先輩と凛月先輩のやりとりは、『相変わらず』で完結できる、ただの友人同士の戯れであったのです。
不自然に縮み、膨らみ、点火直後の気球のようにうごめく布団をぼんやりと眺めながら、私はpotato chipsの袋に手を伸ばしました。庶民の方々に好評を博しているというconsomme味を存分に噛みしめながら、私は目の前の先輩がたのことよりも、Leaderのことを考えていました。あの高慢ちきときたら、ドリフェスが近づいているというのに、今日も練習の場に来なかったのです。一体、どこで何をしていることやら。おおかた近所の公園でラジカセを担ぎ、住民の方々の奇異な視線を浴びながら、心ゆくまで踊り呆けておられるのでしょう。ああ、Leaderの姿を思い浮かべると、大声で叫び出したい衝動に駆られます!我らの王たるもの、確かなる威厳を見せて頂きたいものです!
―――
勢いに任せてpotato chipsの袋に手を入れると、中には既に小さな欠片しか残っていませんでした。どうやら食べ過ぎてしまったようです。heartの整理が付きかねる事象が生じた際、衝動的にsnackを胃に押し込んでしまうのは、私の悪癖とも言えました。
溜め息と共に隣を見やると、鼻歌を奏でながらmake upに興じておられる鳴上先輩の姿が見えました。鳴上先輩はpotato chipsに微塵も興味がないようで、あらゆる角度からmirrorを確認しています。鳴上先輩の何事にも動じないmentalを私も見習いたいものです。
私は上機嫌の鳴上先輩を横目に、すっかりと寂しくなった空き袋を手に取り、近くに置いてあるゴミ箱に捨てようとしました。非常にirregularな光景が飛び込んできたのは、その瞬間のことでした。
「んっ
…
ちょ
…
マジでやめてよねえ
…
っ」
「んゅ~」
「
…
あっ、くまくん、ちょっと
…
っ
…
これ以上はマジで
…
んんっ
…
!」
「もっと~」
「!やっ
…
!?ここ、どこだと思って
…
!あ、
…
っだめ、って、言ってるでしょ
…
っ!」
「いえならいいわけ~」
「ばっ ばかじゃないの!?ン、ねえ、ほんと、イヤなんだけど
…
!んっ
…
だめだって、ばぁ
…
!」
夢の世界を泳いでいたはずの凛月先輩が、瀬名先輩のほっそりとした首筋に、顔ごと埋め始めたのです。「ん、ん」と堪えるような声を上げる瀬名先輩は、monster状態の凛月先輩を押し退けようと身体をうねらせました。いやいやと首を振っているというのに、凛月先輩の奇行は加速する一方です。ムニャムニャと唇を押し当てながら、瀬名先輩の首筋を丹念に吸い上げているのです。指をくわえたり抱きついたりしているsceneは幾度も見てきました。しかしながら赤い舌を這わせ、甘い蜜を吸うように首を噛んでいるところを見るのは、私も初めてのことでした。
私が硬直しているあいだにも、凛月先輩の行為は次々とescalateしていきます。時折pianoを奏でる細長い指先が、瀬名先輩のunit衣装の隙間を縫って、大胆な侵入を試みようとしていたのです。
先ほどまで抱えていたLeaderに対する苛立ちは、この時は既に吹き飛んでいたように思います。外国の恋愛映画で繰り広げられるlove sceneならば至極当然の流れでしょうが、瀬名先輩と凛月先輩は”仲が良い友人同士”であるのです。果たして”仲が良い友人同士”でこのような行為に走るものなのでしょうか?
私はとっさに二人のもとに歩み寄り、恐怖の捕食者と化している凛月先輩から、被食者の瀬名先輩を引き剥がしました。やっとのことで難を逃れた瀬名先輩は、「ったく。こいつ、隙あらばすぐに引きずり込もうとするんだから」と乱れたシャツを整え、散々ついばまれた首筋を手で抑えていました。その指の隙間からは紅い跡が見え隠れしています。私は反射的に視線を逸らしてしまいました。羞恥心という名の青臭い理由からではありません。ただ、禁断の領域に踏み込んでしまった気がしてならなかったのです。
眉を吊り上げ、頬を紅潮させた瀬名先輩が、「チョーうざぁい!」、「俺はとっとと休憩に入るから、邪魔しないでよねえ!」とstudioを出て行ったあと
―――
凛月先輩はふたたび幸せな眠りに落ちていきました。すやすやと寝息を立てている姿に、猛威を奮っていたmonsterの影はありませんでした。数秒前までの出来事など夢物語であるかのように、穏やかな時間が流れ始めたのです。
そのことに安堵した私はいったん状況を整理し、こう思うことにしました。瀬名先輩と凛月先輩が行っていたことは、あくまで友達同士のcommunicationであるのだと。ようやくmake upを終えた鳴上先輩に対して、「瀬名先輩と凛月先輩は、本当に仲が良いのですね。まさかkissに発展するとは思いも寄りませんでした。まるで、coupleのように戯れるものですから」とjoke交じりの話題を振ったのも、そう信じて疑わなかったからです。ただでさえ予測不可能の異分子を抱えているというのに、これ以上、新手のtroubleを増やしたくなかったのかもしれません。Knightsは誇り高き騎士団のunitであり、marvelousの一言に尽きる先輩がたの集まりであるのだと、胸に刻んでおきたかったのです。
―――
鳴上先輩の返事を聞くまでは、そう思っていたのです。そう思いたかったのです。いま思えば、私が疑念を抱き始めたのはこの日が最初だったのかもしれません。
瀬名先輩の首に刻まれた印の意味は、もしかすると。
「やぁね、司ちゃん。泉ちゃんと凛月ちゃんは、ただのお友達同士よぉ。
……
たぶんね」
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