長月ユウ
2024-02-11 16:59:23
847文字
Public 夢小説
 

【徐庶夢】柑橘の香り

VR無双で徐庶の香りが話題になっていた時に書いたもの。エディットの名前が出てないので、夢小説っぽい感じになってます。

ふとした時に鼻をくすぐる柑橘の香りが元直様からするのに気づいたのは、付き合いだして少ししてからの事だった。
時々すれ違う女官たちからも似たような香りがすることもあるけど、同じ柑橘系でも違うようで、お香にそんなに詳しくない私でも元直様の香りとそれ以外という区別はつくようになった。
 男の人にしては珍しい趣味(?)だけど全くいないわけじゃないし、不快に感じるほど強いわけじゃないからやめさせるつもりもない。だけど、香を焚くようになったのは自発的なものなのか、他の誰か……例えば元恋人に感化されたとかだったらちょっと嫌な気分になりそうで。ぐるぐると考えては、一人で勝手に落ち込んでいた。


「前から気になってたんだけど……元直様、お香が好きなの? 」
 数日後、意を決して聞くと元直様はきょとんとして、
「どうしてそう思ったんだい? 」
「その……時々元直様から柑橘の香りがするから、好きなのかなって思って」
 それから、「あぁ」と何かを思い出したようにつぶやいた。
「実家の庭に植わっていた柑橘の香りが好きだったんだ。
 あの匂いを嗅いでいると気持ちが安らぐし、前向きになれそうな気がするから、今でも時々似た香りの香油を焚いているんだよ」
 だからその香りが好きなだけであって、他は全然わからないんだと、元直様は苦笑する。
「そっか、そうだったんだ……よかった」
「何がよかったんだい?」
「不純な動機だったらやだなあって思ってたから」
 適当な嘘をつくとすぐに見抜かれてしまいそうだから、軽く言葉を濁した。
「この香り、不快だったかい?」
 私は首を左右に振った。
「ううん、そんなことないよ。とてもいい匂いで、私は好き」


 少し甘くて、でも涼しげで優しい香り。
 元直様そのもののようで、大好き。


「ねえ元直様、もっと近づいてもいい?」
 その香りに包まれたくて。
「ああ。おいで」
 元直様が微笑み、腕を広げる。
 私も自然に笑みがこぼれ、彼に身体を預けた。



end.